65 / 96
最終章
グレイスとセレスティーナ《セレスティーナ視点》
しおりを挟む
私の意識は身体の奥深くに沈んでいきましたが、全てが閉ざされてしまったわけではありません。
何度も自分に呼びかけてくる声に気づいたのは、意識を失ってから1ヶ月ほどたった頃でしょうか。
何度も私の名を呼ぶ声は、あの時に駄目と強く叫んだ声ー
だけど、私はその声に応えることはしませんでした。
私の、私セレスティーナ・アルバムの精神は死んだのだと思われた方がいい。そう無意識のうちに判断したのです。
私の中にある、あの時の声ー
あとで彼女が、アル兄様に説明していたことで知りましたが、グレイスがセレスティーナとして生きてくれていることを知りました。
それは、私に身体を返す時のことを考えての事らしかったです。
正直言って、嬉しく思いました。
戻った時のことを考えてではありません。私のことを愛して下さるお父様やお母様、アル兄様が悲しむ姿を見たくなかったのです。
そうー
グレイスが私の身体に入っていなかったら、おそらく私は死んでいたでしょう。
それほどまでに、あの時の黒い靄の力は強く、残っていた私の精神はほんの僅かで、目覚めるのにも1ヶ月もかかったほどなのです。
そのまま、消滅してもおかしくなかった私セレスティーナの精神が、今こうやって表面に出ることが出来るほどになったのは、おそらくグレイスの聖女としての力だと思います。
膨大な聖女の力は、無意識に私のぼろぼろになった精神を癒そうとしていたのでしょう。
だから、私はその精神が元の通りに戻ったとしても、グレイスを追い出してセレスティーナとして再び生きるつもりはありませんでした。
私は死んでしまったのです。
たまたま、私を助けようとしてくれたのが聖女だったから、生き延びただけなのです。
あれからずっと私を探すグレイスを通して、あの靄がマーベラスの王太子だった人間であることを知りました。
愚かにもグレイスを死なせた人間が、死んでまでグレイスを苦しめるなんて。
あの靄の気配はあれ以来感じませんから、あの時のグレイスの力で消滅したのかもしれません。
どちらにせよ、私は静かに眠っているはずでした。
グレイスが私の身体で生きていることに関して、私は良かったと思いこそすれ、恨んだりしていません。
何故なら、もし私の身体にグレイスが入らなかったら、私はあのまま死んでいたのですから。
私が自分が無力な5歳児であることを理解せずに行動した結果なのです。
お父様やお母様、アル兄様を悲しませる結果を招いてしまった。それは私の罪なのです。
だから、グレイスがどうして私の中に入ったのかはわかりませんが、目覚めた時からずっと感謝していたのです。
それに。
私はアル兄様に溺愛されていましたし、兄様のことを家族として好きでしたが、今の兄様が私の中のグレイスを愛し、グレイスも兄様を愛してくれていることが嬉しくて仕方ありません。
だって、大好きな人たちの側にずっといられるのです。
もう過ごすことが出来ないはずだった未来を、こうして過ごしていけるのですから。
なのに。
皇女であるセレスティーナに、あんな下劣なことをする人間がいるなんて!
そのせいで、グレイスの精神が眠りについてしまうなんて。
グレイスを目覚めさせるためにも、アル兄様の力が必要なのです。
何度も自分に呼びかけてくる声に気づいたのは、意識を失ってから1ヶ月ほどたった頃でしょうか。
何度も私の名を呼ぶ声は、あの時に駄目と強く叫んだ声ー
だけど、私はその声に応えることはしませんでした。
私の、私セレスティーナ・アルバムの精神は死んだのだと思われた方がいい。そう無意識のうちに判断したのです。
私の中にある、あの時の声ー
あとで彼女が、アル兄様に説明していたことで知りましたが、グレイスがセレスティーナとして生きてくれていることを知りました。
それは、私に身体を返す時のことを考えての事らしかったです。
正直言って、嬉しく思いました。
戻った時のことを考えてではありません。私のことを愛して下さるお父様やお母様、アル兄様が悲しむ姿を見たくなかったのです。
そうー
グレイスが私の身体に入っていなかったら、おそらく私は死んでいたでしょう。
それほどまでに、あの時の黒い靄の力は強く、残っていた私の精神はほんの僅かで、目覚めるのにも1ヶ月もかかったほどなのです。
そのまま、消滅してもおかしくなかった私セレスティーナの精神が、今こうやって表面に出ることが出来るほどになったのは、おそらくグレイスの聖女としての力だと思います。
膨大な聖女の力は、無意識に私のぼろぼろになった精神を癒そうとしていたのでしょう。
だから、私はその精神が元の通りに戻ったとしても、グレイスを追い出してセレスティーナとして再び生きるつもりはありませんでした。
私は死んでしまったのです。
たまたま、私を助けようとしてくれたのが聖女だったから、生き延びただけなのです。
あれからずっと私を探すグレイスを通して、あの靄がマーベラスの王太子だった人間であることを知りました。
愚かにもグレイスを死なせた人間が、死んでまでグレイスを苦しめるなんて。
あの靄の気配はあれ以来感じませんから、あの時のグレイスの力で消滅したのかもしれません。
どちらにせよ、私は静かに眠っているはずでした。
グレイスが私の身体で生きていることに関して、私は良かったと思いこそすれ、恨んだりしていません。
何故なら、もし私の身体にグレイスが入らなかったら、私はあのまま死んでいたのですから。
私が自分が無力な5歳児であることを理解せずに行動した結果なのです。
お父様やお母様、アル兄様を悲しませる結果を招いてしまった。それは私の罪なのです。
だから、グレイスがどうして私の中に入ったのかはわかりませんが、目覚めた時からずっと感謝していたのです。
それに。
私はアル兄様に溺愛されていましたし、兄様のことを家族として好きでしたが、今の兄様が私の中のグレイスを愛し、グレイスも兄様を愛してくれていることが嬉しくて仕方ありません。
だって、大好きな人たちの側にずっといられるのです。
もう過ごすことが出来ないはずだった未来を、こうして過ごしていけるのですから。
なのに。
皇女であるセレスティーナに、あんな下劣なことをする人間がいるなんて!
そのせいで、グレイスの精神が眠りについてしまうなんて。
グレイスを目覚めさせるためにも、アル兄様の力が必要なのです。
141
あなたにおすすめの小説
悪女と呼ばれた死に戻り令嬢、二度目の人生は婚約破棄から始まる
冬野月子
恋愛
「私は確かに19歳で死んだの」
謎の声に導かれ馬車の事故から兄弟を守った10歳のヴェロニカは、その時に負った傷痕を理由に王太子から婚約破棄される。
けれど彼女には嫉妬から破滅し短い生涯を終えた前世の記憶があった。
なぜか死に戻ったヴェロニカは前世での過ちを繰り返さないことを望むが、婚約破棄したはずの王太子が積極的に親しくなろうとしてくる。
そして学校で再会した、馬車の事故で助けた少年は、前世で不幸な死に方をした青年だった。
恋や友情すら知らなかったヴェロニカが、前世では関わることのなかった人々との出会いや関わりの中で新たな道を進んでいく中、前世に嫉妬で殺そうとまでしたアリサが入学してきた。
奪われる人生とはお別れします 婚約破棄の後は幸せな日々が待っていました
水空 葵
恋愛
婚約者だった王太子殿下は、最近聖女様にかかりっきりで私には見向きもしない。
それなのに妃教育と称して仕事を押し付けてくる。
しまいには建国パーティーの時に婚約解消を突き付けられてしまった。
王太子殿下、それから私の両親。今まで尽くしてきたのに、裏切るなんて許せません。
でも、これ以上奪われるのは嫌なので、さっさとお別れしましょう。
◇2024/2/5 HOTランキング1位に掲載されました。
◇第17回 恋愛小説大賞で6位&奨励賞を頂きました。
◇レジーナブックスより書籍発売中です!
本当にありがとうございます!
【完結】優しいあなたに、さようなら。二人目の婚約者は、私を殺そうとしている冷血公爵様でした
ゆきのひ
恋愛
伯爵令嬢であるディアの婚約者は、整った容姿と優しい性格で評判だった。だが、いつからか彼は、婚約者であるディアを差し置き、最近知り合った男爵令嬢を優先するようになっていく。
彼と男爵令嬢の一線を越えた振る舞いに耐え切れなくなったディアは、婚約破棄を申し出る。
そして婚約破棄が成った後、新たな婚約者として紹介されたのは、魔物を残酷に狩ることで知られる冷血公爵。その名に恐れをなして何人もの令嬢が婚約を断ったと聞いたディアだが、ある理由からその婚約を承諾する。
しかし、公爵にもディアにも秘密があった。
その秘密のせいで、ディアは命の危機を感じることになったのだ……。
※本作は「小説家になろう」さん、カクヨムさんにも投稿しています
※表紙画像はAIで作成したものです
偽りの家族を辞めます!私は本当に愛する人と生きて行く!
ユウ
恋愛
伯爵令嬢のオリヴィアは平凡な令嬢だった。
社交界の華及ばれる姉と、国内でも随一の魔力を持つ妹を持つ。
対するオリヴィアは魔力は低く、容姿も平々凡々だった。
それでも家族を心から愛する優しい少女だったが、家族は常に姉を最優先にして、蔑ろにされ続けていた。
けれど、長女であり、第一王子殿下の婚約者である姉が特別視されるのは当然だと思っていた。
…ある大事件が起きるまで。
姉がある日突然婚約者に婚約破棄を告げられてしまったことにより、姉のマリアナを守るようになり、婚約者までもマリアナを優先するようになる。
両親や婚約者は傷心の姉の為ならば当然だと言う様に、蔑ろにするも耐え続けるが最中。
姉の婚約者を奪った噂の悪女と出会ってしまう。
しかしその少女は噂のような悪女ではなく…
***
タイトルを変更しました。
指摘を下さった皆さん、ありがとうございます。
捨てられ侯爵令嬢ですが、逃亡先で息子と幸せに過ごしていますので、邪魔しないでください。
蒼月柚希
恋愛
公爵様の呪いは解かれました。
これで、貴方も私も自由です。
……だから、もういいですよね?
私も、自由にして……。
5年後。
私は、ある事情から生まれ育った祖国を離れ、
親切な冒険者パーティーと、その地を治める辺境伯様のご家族に守られながら、
今日も幸せに子育てをしています。
だから貴方も勝手に、お幸せになってくださいね。
私のことは忘れて……。
これは、お互いの思いがこじれ、離れ離れになってしまった一組の夫婦の物語。
はたして、夫婦は無事に、離婚を回避することができるのか?
【完結】真の聖女だった私は死にました。あなたたちのせいですよ?
時
恋愛
聖女として国のために尽くしてきたフローラ。
しかしその力を妬むカリアによって聖女の座を奪われ、顔に傷をつけられたあげく、さらには聖女を騙った罪で追放、彼女を称えていたはずの王太子からは婚約破棄を突きつけられてしまう。
追放が正式に決まった日、絶望した彼女はふたりの目の前で死ぬことを選んだ。
フローラの亡骸は水葬されるが、奇跡的に一命を取り留めていた彼女は船に乗っていた他国の騎士団長に拾われる。
ラピスと名乗った青年はフローラを気に入って自分の屋敷に居候させる。
記憶喪失と顔の傷を抱えながらも前向きに生きるフローラを周りは愛し、やがてその愛情に応えるように彼女のほんとうの力が目覚めて……。
一方、真の聖女がいなくなった国は滅びへと向かっていた──
※小説家になろうにも投稿しています
いいねやエール嬉しいです!ありがとうございます!
政略結婚だなんて、聖女さまは認めません。
りつ
恋愛
聖女メイベルは婚約者である第一王子のサイラスから、他に好きな相手がいるからお前とは結婚できないと打ち明けられ、式の一週間前に婚約を解消することとなった。代わりの相手をいろいろ紹介されるものの、その相手にも婚約者がいて……結局教会から女好きで有名なアクロイド公爵のもとへ強引に嫁がされることとなった。だが公爵の屋敷へ行く途中、今度は賊に襲われかける。踏んだり蹴ったりのメイベルを救ったのが、辺境伯であるハウエル・リーランドという男であった。彼はアクロイド公爵の代わりに自分と結婚するよう言い出して……
婚約者が妹と結婚したいと言ってきたので、私は身を引こうと決めました
日下奈緒
恋愛
アーリンは皇太子・クリフと婚約をし幸せな生活をしていた。
だがある日、クリフが妹のセシリーと結婚したいと言ってきた。
もしかして、婚約破棄⁉
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる