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最終章
疑問《アレクシス視点》
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ベッドに横たわるセレスティーナの手を握る。
あの後、すぐにセレスティーナとディアナ伯爵夫人をベッドに運び、医師に診せた。
しかし、医師によると単に気を失っているだけのようなので、目覚めるまで様子を見たほうがいいと言われた。
だけど、僕にはこの光景に見覚えがある。
セレスティーナが5歳の時、突然倒れて1週間も目覚めなかった。そして、目覚めた時、自分をセレスティーナではなくグレイスだと言ったのだ。
あの時と似ている。
また目覚めないのではないかという、不安に押し潰されそうになる。
「セレスティーナ・・・」
「失礼します。殿下。伯爵夫人が目覚められました」
軽いノックの後、ディアナ伯爵夫人に付き添わせていたメイドが顔を覗かせた。
セレスティーナから離れたくない僕は、ディアナ伯爵夫人をこちらへ来させるように伝える。
彼女には事情を聞かなければならない。
責める口調にならないように、自分を律せれるだろうか。
すぐに、ディアナ伯爵夫人が部屋に訪れた。
「お姉・・・セレスティーナ様っ!」
僕に目もくれず、セレスティーナに駆け寄るディアナ伯爵夫人に、僕は自分の考えが正しかったことを知った。
彼女は、セレスティーナのことをお姉様と呼ぼうとしていた。
つまりはグレイスがセレスティーナの中にいたと知っているということ。
やはり、セレスティーナはそのことをディアナ伯爵夫人に話したのだな。
しかし、今はセレスティーナの精神が表立って出ていることを知っているはずだ。なのに、お姉様と呼びかけたということは、セレスティーナは諦めていなかったということか。
グレイスを呼び戻す。
セレスティーナは何故、せっかく戻れたのにそんなことを考えるんだ?
10年も眠っていて、やっと、やっと戻れたというのに。
もちろん、僕がグレイスを愛していることを気にしてくれてはいるのだろう。
しかし、それにしても、セレスティーナの考えに納得がいかないところが多い。
僕に言えていない何かがあるのか?
僕は、隣に立ちセレスティーナのことを心配そうに見つめるディアナ伯爵夫人を見上げた。
「伯爵夫人。話を聞かせてもらいたい。何故、セレスティーナと貴女は倒れていた?何故、セレスティーナが再び眠りから目覚めない?一体なにがあったんだ?」
「皇太子殿下。全てお話します。ですが、私もセレスティーナ様のお考え全てをお言葉でお聞きしたわけではありません。私の予測の部分があることはご了承下さい」
僕が頷くと、ディアナ伯爵夫人はセレスティーナに目を向けたまま口を開いた。
「実は・・・」
あの後、すぐにセレスティーナとディアナ伯爵夫人をベッドに運び、医師に診せた。
しかし、医師によると単に気を失っているだけのようなので、目覚めるまで様子を見たほうがいいと言われた。
だけど、僕にはこの光景に見覚えがある。
セレスティーナが5歳の時、突然倒れて1週間も目覚めなかった。そして、目覚めた時、自分をセレスティーナではなくグレイスだと言ったのだ。
あの時と似ている。
また目覚めないのではないかという、不安に押し潰されそうになる。
「セレスティーナ・・・」
「失礼します。殿下。伯爵夫人が目覚められました」
軽いノックの後、ディアナ伯爵夫人に付き添わせていたメイドが顔を覗かせた。
セレスティーナから離れたくない僕は、ディアナ伯爵夫人をこちらへ来させるように伝える。
彼女には事情を聞かなければならない。
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すぐに、ディアナ伯爵夫人が部屋に訪れた。
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僕に目もくれず、セレスティーナに駆け寄るディアナ伯爵夫人に、僕は自分の考えが正しかったことを知った。
彼女は、セレスティーナのことをお姉様と呼ぼうとしていた。
つまりはグレイスがセレスティーナの中にいたと知っているということ。
やはり、セレスティーナはそのことをディアナ伯爵夫人に話したのだな。
しかし、今はセレスティーナの精神が表立って出ていることを知っているはずだ。なのに、お姉様と呼びかけたということは、セレスティーナは諦めていなかったということか。
グレイスを呼び戻す。
セレスティーナは何故、せっかく戻れたのにそんなことを考えるんだ?
10年も眠っていて、やっと、やっと戻れたというのに。
もちろん、僕がグレイスを愛していることを気にしてくれてはいるのだろう。
しかし、それにしても、セレスティーナの考えに納得がいかないところが多い。
僕に言えていない何かがあるのか?
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「伯爵夫人。話を聞かせてもらいたい。何故、セレスティーナと貴女は倒れていた?何故、セレスティーナが再び眠りから目覚めない?一体なにがあったんだ?」
「皇太子殿下。全てお話します。ですが、私もセレスティーナ様のお考え全てをお言葉でお聞きしたわけではありません。私の予測の部分があることはご了承下さい」
僕が頷くと、ディアナ伯爵夫人はセレスティーナに目を向けたまま口を開いた。
「実は・・・」
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