89 / 96
最終章
最終話:手の中の幸せ《アレクシス視点》
セレスティーナがグレイスの生まれ変わり?グレイスは死んだ後にセレスティーナとして生まれ変わるはずだったのに、悪霊に捕らえられていた?
セレスティーナの語る内容に、理解が追いついていかない。
確かに、何故グレイスがセレスティーナの中にいたのかという疑問はあった。
グレイスは息をするように自然にセレスティーナとして過ごし、15歳となった。
だからセレスティーナの言うとおり、セレスティーナがグレイスの生まれ変わりだというのなら、納得できてしまう。
グレイスを愛している。セレスティーナのことは従妹だと、ずっと思っていた。
10歳も年下の、大切な従妹。
ずっとセレスティーナの見た目を通して、内側のグレイスを見ていたつもりだった。
だけど、今こうして話していると、僕が見ていたのはグレイスなのかセレスティーナなのか、分からなくなる。
何故なら、グレイスと話していた時と、変わらない。
10年間、ずっとそばにいて、僕に笑顔を向けていてくれた彼女のままだ。
自分の気持ちに混乱している僕に、セレスティーナは上半身を起こすと、ぎゅっと抱きついてきた。
思わず、そのまま抱きとめる。
「アル兄様がセレスティーナを従妹としてしか見れなくても、それは当たり前なの。だって、当時私は5歳だったんだから。15歳のアル兄様が当時の私を1人の女の子として見てたって言ったら、逆に引いてしまうわ」
セレスティーナがクスクスと耳元で微笑う。
くすぐったくて、身を捩った。
だけど言われた内容は、ストンと、僕の中に落ちてきた。
そうか。それもそうか。
セレスティーナが5歳の時に16歳のグレイスと出会った。同じ年代の彼女とセレスティーナを同じには見れなかったのは当たり前なのかもしれない。
それでも、引いてしまうと言われて、ちょっと拗ねた声が出た。
「酷いな。引いてしまうだなんて」
「ふふっ。だって、アル兄様。5歳よ?元々、アル兄様は私のことを溺愛して下さっていたけど、従妹でなかったら周囲から見たらアル兄様は危ない人だわ」
「酷いな。でもまぁ、確かにそう思われても仕方ないよな」
実際、僕たちの周囲の人間は、見慣れていたから何も言わなかったが、初めての人間は必ず驚いたような顔をしていた。
さすがに、皇族相手に何か言うようなことはなかったし、すぐに何もなかったような表情に戻っていたけど。
僕は腕の中のセレスティーナをぎゅっと抱きしめる。
ずっと、ずっと大切だった。
可愛くて仕方のなかった10歳も年下の従妹。
そして10年間、ずっと僕のそばで笑っていてくれた愛しい女性。
手の中に戻ってきた愛しくて可愛くて、大切な存在。
少しだけ体を離すと、セレスティーナの瞳が僕を見上げた。
僕が頬に触れると、銀色のまつ毛がふるりと震える。
僕はゆっくりと、その小さな唇に自分のそれを重ねた。
「よく戻って来たね。もう絶対に離さない」
∞∞ fin ∞∞
セレスティーナの語る内容に、理解が追いついていかない。
確かに、何故グレイスがセレスティーナの中にいたのかという疑問はあった。
グレイスは息をするように自然にセレスティーナとして過ごし、15歳となった。
だからセレスティーナの言うとおり、セレスティーナがグレイスの生まれ変わりだというのなら、納得できてしまう。
グレイスを愛している。セレスティーナのことは従妹だと、ずっと思っていた。
10歳も年下の、大切な従妹。
ずっとセレスティーナの見た目を通して、内側のグレイスを見ていたつもりだった。
だけど、今こうして話していると、僕が見ていたのはグレイスなのかセレスティーナなのか、分からなくなる。
何故なら、グレイスと話していた時と、変わらない。
10年間、ずっとそばにいて、僕に笑顔を向けていてくれた彼女のままだ。
自分の気持ちに混乱している僕に、セレスティーナは上半身を起こすと、ぎゅっと抱きついてきた。
思わず、そのまま抱きとめる。
「アル兄様がセレスティーナを従妹としてしか見れなくても、それは当たり前なの。だって、当時私は5歳だったんだから。15歳のアル兄様が当時の私を1人の女の子として見てたって言ったら、逆に引いてしまうわ」
セレスティーナがクスクスと耳元で微笑う。
くすぐったくて、身を捩った。
だけど言われた内容は、ストンと、僕の中に落ちてきた。
そうか。それもそうか。
セレスティーナが5歳の時に16歳のグレイスと出会った。同じ年代の彼女とセレスティーナを同じには見れなかったのは当たり前なのかもしれない。
それでも、引いてしまうと言われて、ちょっと拗ねた声が出た。
「酷いな。引いてしまうだなんて」
「ふふっ。だって、アル兄様。5歳よ?元々、アル兄様は私のことを溺愛して下さっていたけど、従妹でなかったら周囲から見たらアル兄様は危ない人だわ」
「酷いな。でもまぁ、確かにそう思われても仕方ないよな」
実際、僕たちの周囲の人間は、見慣れていたから何も言わなかったが、初めての人間は必ず驚いたような顔をしていた。
さすがに、皇族相手に何か言うようなことはなかったし、すぐに何もなかったような表情に戻っていたけど。
僕は腕の中のセレスティーナをぎゅっと抱きしめる。
ずっと、ずっと大切だった。
可愛くて仕方のなかった10歳も年下の従妹。
そして10年間、ずっと僕のそばで笑っていてくれた愛しい女性。
手の中に戻ってきた愛しくて可愛くて、大切な存在。
少しだけ体を離すと、セレスティーナの瞳が僕を見上げた。
僕が頬に触れると、銀色のまつ毛がふるりと震える。
僕はゆっくりと、その小さな唇に自分のそれを重ねた。
「よく戻って来たね。もう絶対に離さない」
∞∞ fin ∞∞
あなたにおすすめの小説
悪女と呼ばれた死に戻り令嬢、二度目の人生は婚約破棄から始まる
冬野月子
恋愛
「私は確かに19歳で死んだの」
謎の声に導かれ馬車の事故から兄弟を守った10歳のヴェロニカは、その時に負った傷痕を理由に王太子から婚約破棄される。
けれど彼女には嫉妬から破滅し短い生涯を終えた前世の記憶があった。
なぜか死に戻ったヴェロニカは前世での過ちを繰り返さないことを望むが、婚約破棄したはずの王太子が積極的に親しくなろうとしてくる。
そして学校で再会した、馬車の事故で助けた少年は、前世で不幸な死に方をした青年だった。
恋や友情すら知らなかったヴェロニカが、前世では関わることのなかった人々との出会いや関わりの中で新たな道を進んでいく中、前世に嫉妬で殺そうとまでしたアリサが入学してきた。
【完結】聖女を害した公爵令嬢の私は国外追放をされ宿屋で住み込み女中をしております。え、偽聖女だった? ごめんなさい知りません。
藍生蕗
恋愛
かれこれ五年ほど前、公爵令嬢だった私───オリランダは、王太子の婚約者と実家の娘の立場の両方を聖女であるメイルティン様に奪われた事を許せずに、彼女を害してしまいました。しかしそれが王太子と実家から不興を買い、私は国外追放をされてしまいます。
そうして私は自らの罪と向き合い、平民となり宿屋で住み込み女中として過ごしていたのですが……
偽聖女だった? 更にどうして偽聖女の償いを今更私がしなければならないのでしょうか? とりあえず今幸せなので帰って下さい。
※ 設定は甘めです
※ 他のサイトにも投稿しています
【完結】優しいあなたに、さようなら。二人目の婚約者は、私を殺そうとしている冷血公爵様でした
ゆきのひ
恋愛
伯爵令嬢であるディアの婚約者は、整った容姿と優しい性格で評判だった。だが、いつからか彼は、婚約者であるディアを差し置き、最近知り合った男爵令嬢を優先するようになっていく。
彼と男爵令嬢の一線を越えた振る舞いに耐え切れなくなったディアは、婚約破棄を申し出る。
そして婚約破棄が成った後、新たな婚約者として紹介されたのは、魔物を残酷に狩ることで知られる冷血公爵。その名に恐れをなして何人もの令嬢が婚約を断ったと聞いたディアだが、ある理由からその婚約を承諾する。
しかし、公爵にもディアにも秘密があった。
その秘密のせいで、ディアは命の危機を感じることになったのだ……。
※本作は「小説家になろう」さん、カクヨムさんにも投稿しています
※表紙画像はAIで作成したものです
奪われる人生とはお別れします 婚約破棄の後は幸せな日々が待っていました
水空 葵
恋愛
婚約者だった王太子殿下は、最近聖女様にかかりっきりで私には見向きもしない。
それなのに妃教育と称して仕事を押し付けてくる。
しまいには建国パーティーの時に婚約解消を突き付けられてしまった。
王太子殿下、それから私の両親。今まで尽くしてきたのに、裏切るなんて許せません。
でも、これ以上奪われるのは嫌なので、さっさとお別れしましょう。
◇2024/2/5 HOTランキング1位に掲載されました。
◇第17回 恋愛小説大賞で6位&奨励賞を頂きました。
◇レジーナブックスより書籍発売中です!
本当にありがとうございます!
【完結】 私を忌み嫌って義妹を贔屓したいのなら、家を出て行くのでお好きにしてください
ゆうき
恋愛
苦しむ民を救う使命を持つ、国のお抱えの聖女でありながら、悪魔の子と呼ばれて忌み嫌われている者が持つ、赤い目を持っているせいで、民に恐れられ、陰口を叩かれ、家族には忌み嫌われて劣悪な環境に置かれている少女、サーシャはある日、義妹が屋敷にやってきたことをきっかけに、聖女の座と婚約者を義妹に奪われてしまった。
義父は義妹を贔屓し、なにを言っても聞き入れてもらえない。これでは聖女としての使命も、幼い頃にとある男の子と交わした誓いも果たせない……そう思ったサーシャは、誰にも言わずに外の世界に飛び出した。
外の世界に出てから間もなく、サーシャも知っている、とある家からの捜索願が出されていたことを知ったサーシャは、急いでその家に向かうと、その家のご子息様に迎えられた。
彼とは何度か社交界で顔を合わせていたが、なぜかサーシャにだけは冷たかった。なのに、出会うなりサーシャのことを抱きしめて、衝撃の一言を口にする。
「おお、サーシャ! 我が愛しの人よ!」
――これは一人の少女が、溺愛されながらも、聖女の使命と大切な人との誓いを果たすために奮闘しながら、愛を育む物語。
⭐︎小説家になろう様にも投稿されています⭐︎
全てを捨てて、わたしらしく生きていきます。
彩華(あやはな)
恋愛
3年前にリゼッタお姉様が風邪で死んだ後、お姉様の婚約者であるバルト様と結婚したわたし、サリーナ。バルト様はお姉様の事を愛していたため、わたしに愛情を向けることはなかった。じっと耐えた3年間。でも、人との出会いはわたしを変えていく。自由になるために全てを捨てる覚悟を決め、わたしはわたしらしく生きる事を決意する。
聖女は記憶と共に姿を消した~婚約破棄を告げられた時、王国の運命が決まった~
キョウキョウ
恋愛
ある日、婚約相手のエリック王子から呼び出された聖女ノエラ。
パーティーが行われている会場の中央、貴族たちが注目する場所に立たされたノエラは、エリック王子から突然、婚約を破棄されてしまう。
最近、冷たい態度が続いていたとはいえ、公の場での宣言にノエラは言葉を失った。
さらにエリック王子は、ノエラが聖女には相応しくないと告げた後、一緒に居た美しい女神官エリーゼを真の聖女にすると宣言してしまう。彼女こそが本当の聖女であると言って、ノエラのことを偽物扱いする。
その瞬間、ノエラの心に浮かんだのは、万が一の時のために準備していた計画だった。
王国から、聖女ノエラに関する記憶を全て消し去るという計画を、今こそ実行に移す時だと決意した。
こうして聖女ノエラは人々の記憶から消え去り、ただのノエラとして新たな一歩を踏み出すのだった。
※過去に使用した設定や展開などを再利用しています。
※カクヨムにも掲載中です。
婚約破棄される前に、帰らせていただきます!
パリパリかぷちーの
恋愛
ある日、マリス王国の侯爵令嬢クロナは、王子が男爵令嬢リリィと密会し、自分を「可愛げのない女」と罵り、卒業パーティーで「婚約破棄」を言い渡そうと画策している現場を目撃してしまう。
普通なら嘆き悲しむ場面だが、クロナの反応は違った。