暴君陛下の溺愛妻になります〜悪女だと言われたので、それなら本当に悪女になりますね〜

みおな

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令嬢、逃亡する。

「それでは皆様、ごきげんよう」

 最後に、王国イチとまで言われたカーテシーを見せて、わたくしは皆様に背を向けました。

 皆様、呆然としています。
捕まっては面倒ですから、さっさと退散するに限りますわ。

 会場の外に出ると、少し小走りで学園の馬車乗り場のへと向かいます。

 正気に戻った彼らが、わたくしを捕えようと追ってくることは想定済みです。

「こちらです!ラファエル様」

 そこには漆黒の馬車が停まっており、外で待っていた従者がわたくしを見つけて声を上げます。

 従者の手を借りて馬車に乗り込もうとすると、馬車の中から手が差し出されました。

 わたくしがその手に自分の手を重ねると、ぐいっと馬車の中に引き込まれて、すぐに扉が閉まりました。

だったみたいだな」

「ええ、ラルク様。ラルク様のおっしゃっていた通りになりましたわ」

 銀髪銀目のラルク様の前に腰掛けます。

 ラルク・ジブリール様。

 大陸の絶対王者である大国、ジブリール帝国の若き皇帝陛下であり、わたくしの初恋の相手、ですわ。

 幼い頃に、お祖母様に連れられて行ったジブリール帝国で出会ったラルク様。

 ラルク様は、口数が少なく少しそっけない少年でした。

 ですが、公爵令嬢として周囲に厳しく育てられたわたくしには、ラルク様のお立場が手に取るように理解りました。

 ただ隣に座り、それぞれが別の本を黙って読むだけの関係ではありましたが、わたくしはラルク様の隣にいることがとても心地良く感じられたことを今でも覚えています。

 ネイサン様の婚約者になってからは、会うこともなかったのですが、卒業式の一ヶ月前にそのラルク様から手紙が届きました。

 わたくしが、卒業式で婚約者に冤罪で断罪され、家族からも見放され、公務だけをするためのお飾りの側妃にされる、と書かれた手紙が。

 その手紙を読んだ時・・・

 実際に聖女様に傾倒しているネイサン様を見ていたこともあったのですが、それよりもラルク様のお言葉だということで、わたくしはそれをストン!と納得してしまいました。

 わたくしとネイサン様の婚約は、王妃様からの申し入れ。

 本来なら、覆ることがないはずのことです。

 ですが、ネイサン様はわたくしのことを嫌っていますし、聖女様こそが自分に相応しいと言っているのを聞いたこともあります。

 両親と兄までもが、わたくしを切り捨てるということには、多少思うところはありましたが、わたくしはずっとお会いしていなくても、手紙のやり取りすらなくても、ラルク様のことを信用してしまったのです。
 





 
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