9 / 81
令嬢、呆れる。
わたくし、はっきり言って呆れておりますわ。
聖女様が、お勉強をなさっていないことにではありません。
ご一緒に遊んでいる王太子殿下や、それを許しているラファエル公爵家の人間、そして王家にですわ。
異世界から召喚された聖女様が、この世界でお買い物などに興味を持たれることは仕方ないことだと思います。
よく知りませんが、聖女様のいらっしゃった世界は、わたくしたちのようにドレスを着て生活するのではないそうです。
目新しいことに、興味を持たれるのは自然なことです。
しかし、それを周囲の人間が許容するのは別問題ですわ。
聖女様が恥をかくことのないように、周囲が手を差し伸べて差し上げるべきなのです。
王太子妃に相応しい立場として、ラファエル公爵家の養女にしたのではないのでしょうか。
わたくしにはあれほど厳しく、王太子妃に相応しくあるべきと教育されたのではないでしょうか。
「結局わたくしは、聖女様と比べたら大切にすべき存在ではなかったのですわね」
幼い頃、まだ王太子殿下の婚約者でなかった頃は、両親やお兄様にも大切にされていたと感じていました。
ですが聖女様が現れてからは、わたくしはまるで悪女のように言われ続けて来ました。
その結果が、あの卒業式の断罪です。
あの時、せめて両親とお兄様がわたくしのことを擁護してくだされば・・・
わたくしを信じていると言ってくだされば、わたくしは快く王太子殿下の婚約者の座からおりましたのに。
聖女様を養女として迎えることを快く受け入れ、聖女様をお支えすることにも協力いたしましたのに。
「いいえ、リルローズ。貴女は私たちにとって何よりも大切な娘よ。お義母様も旦那様もアランも、その聖女とやらなんかより貴女の方が何倍も何百倍も大切で愛すべき存在だわ」
「お母様・・・ありがとうございます」
会ったばかりのお母様がこんなふうに言ってくださるのに、十六年も育てて来た娘をどうしてラファエルの両親は信じてくださらなかったのかしら。
「あの阿呆たちがリルローズを悪女だと言うのなら、アイツらにとって我がサンダルフォン侯爵家は悪役になってやろう。何よりも気高い悪役にな」
「お父様」
「もうリルローズはラファエルの人間ではなく、我がサンダルフォン侯爵家の令嬢なんだ。ジブリール帝国はシャムエル程度の小国に悪と罵られようが、カケラも揺るがない。胸を張って悪女だと言ってやるが良いさ」
「まぁ!お兄様ってば」
でも、そうですわね。
彼らがわたくしを悪だと言うのなら、立派な悪女になって差し上げますわ。
聖女様が、お勉強をなさっていないことにではありません。
ご一緒に遊んでいる王太子殿下や、それを許しているラファエル公爵家の人間、そして王家にですわ。
異世界から召喚された聖女様が、この世界でお買い物などに興味を持たれることは仕方ないことだと思います。
よく知りませんが、聖女様のいらっしゃった世界は、わたくしたちのようにドレスを着て生活するのではないそうです。
目新しいことに、興味を持たれるのは自然なことです。
しかし、それを周囲の人間が許容するのは別問題ですわ。
聖女様が恥をかくことのないように、周囲が手を差し伸べて差し上げるべきなのです。
王太子妃に相応しい立場として、ラファエル公爵家の養女にしたのではないのでしょうか。
わたくしにはあれほど厳しく、王太子妃に相応しくあるべきと教育されたのではないでしょうか。
「結局わたくしは、聖女様と比べたら大切にすべき存在ではなかったのですわね」
幼い頃、まだ王太子殿下の婚約者でなかった頃は、両親やお兄様にも大切にされていたと感じていました。
ですが聖女様が現れてからは、わたくしはまるで悪女のように言われ続けて来ました。
その結果が、あの卒業式の断罪です。
あの時、せめて両親とお兄様がわたくしのことを擁護してくだされば・・・
わたくしを信じていると言ってくだされば、わたくしは快く王太子殿下の婚約者の座からおりましたのに。
聖女様を養女として迎えることを快く受け入れ、聖女様をお支えすることにも協力いたしましたのに。
「いいえ、リルローズ。貴女は私たちにとって何よりも大切な娘よ。お義母様も旦那様もアランも、その聖女とやらなんかより貴女の方が何倍も何百倍も大切で愛すべき存在だわ」
「お母様・・・ありがとうございます」
会ったばかりのお母様がこんなふうに言ってくださるのに、十六年も育てて来た娘をどうしてラファエルの両親は信じてくださらなかったのかしら。
「あの阿呆たちがリルローズを悪女だと言うのなら、アイツらにとって我がサンダルフォン侯爵家は悪役になってやろう。何よりも気高い悪役にな」
「お父様」
「もうリルローズはラファエルの人間ではなく、我がサンダルフォン侯爵家の令嬢なんだ。ジブリール帝国はシャムエル程度の小国に悪と罵られようが、カケラも揺るがない。胸を張って悪女だと言ってやるが良いさ」
「まぁ!お兄様ってば」
でも、そうですわね。
彼らがわたくしを悪だと言うのなら、立派な悪女になって差し上げますわ。
あなたにおすすめの小説
結婚式の翌朝、夫に「皇太子の愛人だろう」と捨てられました――ですが私は、亡き国王の娘です
柴田はつみ
恋愛
母の遺した薬草店を守りながら、慎ましく暮らしていたアンリ。
そんな彼女に求婚してきたのは、国内でも名高い騎士にして公爵家当主、アルファだった。
真っすぐな想いを向けられ、彼を信じて結婚したアンリ。
けれど幸せなはずの結婚式の翌朝、夫は冷たく言い放つ。
「君を愛していると本気で思っていたのかい? 」
彼はアンリが第一皇太子と深い仲にあり、自分との結婚は身を隠すための偽装だと誤解していたのだ。
アンリは実は、亡き国王の婚外子。
皇太子にとっては、隠して守らなければならない妹だったのである。
文句を言わない婚約者は、俺の愛する幼馴染みを許していなかった【完結】
星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
幼馴染を優先しても、婚約者アウローラは何も言わない。だから、これからも幼馴染みとイチャイチャできる──
侯爵令息トリスタンは、そんな甘い幻想を信じていた。
だが婿入りした瞬間、彼の“軽んじた態度”はすべて清算される。
アウローラは冷徹に、トリスタンの傲慢と欲望を1つずつ暴き、労働と屈辱を与える。
そして最後に残ったのは、誰にも必要とされない現実だけ。
「どうして……俺は、こんなにも愚かだったんだ」
これは愛を勘違いし、身分を過信し、自分の価値を見誤った男の終焉を描くダークドラマ。
⚠️ 本作は AI の生成した文章を一部に使っています。過激ざまぁタグあります。
4/1「エステルに対する殺意」の内容を一部変更しました。
悪役令嬢にされたので婚約破棄を受け入れたら、なぜか全員困っています
かきんとう
恋愛
王城の大広間は、いつも以上に華やいでいた。
磨き上げられた床は燭台の光を反射し、色とりどりのドレスが揺れるたびに、まるで花畑が動いているかのように見える。貴族たちの笑い声、楽団の優雅な旋律、そして、ひそやかな噂話が、空気を満たしていた。
その中心に、私は立っていた。
――今日、この瞬間のために。
「エレノア・フォン・リーベルト嬢」
高らかに呼ばれた私の名に、ざわめきがぴたりと止む。
「通訳など辞書で足りる」と追放された令嬢——三国会談で、婚約者は一言も話せなくなった
歩人
ファンタジー
宮廷通訳官エレノーラは五つの言語を操り、婚約者クラウスの外交を陰で支えてきた。
だがクラウスは言った。「通訳など辞書で足りる。お前は要らない」
追放されたエレノーラは隣国で新たな道を歩み始める。
一方、クラウスは三国会談の場で辞書片手に立ち往生。
誤訳が外交問題に発展し、窮地に陥ったその場に、隣国の通訳官として現れたのは——。
「その言葉は、もう翻訳できません」
白い結婚のまま、旦那様は薔薇のような美人に夢中になりました
柴田はつみ
恋愛
伯爵令嬢リディアは、美貌で有名な侯爵レオンハルトに嫁いだ。
けれど結婚して二年、夫婦は一度も結ばれないまま――白い結婚だった。
それでも旦那様は優しかった。
冷たいわけではない。気づかいの言葉も、穏やかな笑顔もくれる。
だからリディアは、愛されてはいなくても、いつか少しは夫婦になれるのではないかと信じていた。
そんなある日、彼女は知ってしまう。
旦那様が薔薇の君と呼ばれる絶世の美女に心を奪われていることを。
彼が触れなかったのは私にだけだったのだと。
都合のいい奥方として、役に立っていたと悟る
静かに離縁を決意したリディアは、実家へ戻ったあと、女子学院で働き始める。
すると侯爵夫人時代には当たり前だった実務のすべてが、外では驚くほど必要とされていた。
感謝され、認められ、自分の足で立ち始めた彼女は、少しずつ見違えるほど美しくなっていく
「離縁状の印が乾く前に、王太子殿下から花束が届きました」〜五年間「置物」と呼ばれた侯爵夫人、夫が青ざめるのは王家との縁が切れてからでした〜
まさき
恋愛
侯爵夫人として過ごした五年間、夫に名前を呼ばれたことが一度もなかった。
愛人を夜会に連れてきた翌朝、私は離縁状を置いて屋敷を出た。
夫は「すぐ戻る」と思っていたらしい。
でも届いたのは、王太子殿下からの白薔薇だった。
「五年、待ちすぎました。今度こそ私の隣に」
幼馴染の殿下は、いつも私を「アメリア」と呼んでくれた。
ただそれだけで、五年分の何かが、ほどけていった。
夫が全てを失うのはこれからの話。
私が本当の笑顔を取り戻すのも、これからの話。
結婚初夜、「何故彼女が死んでお前が生きているんだ」と夫に言われました
ましゅぺちーの
恋愛
侯爵令嬢のアリサは婚約者だった王太子テオドールと結婚した。
ちょうどその半年前、アリサの腹違いの妹のシアは不慮の事故で帰らぬ人となっていた。
王太子が婚約者の妹のシアを愛していたのは周知の事実だった。
そんな彼は、結婚初夜、アリサに冷たく言い放った。
「何故彼女が死んでお前が生きているんだ」と。
夫は私を愛していないそうなので、遠慮なく離婚します。今さら引き止められても遅いです
藤原遊
恋愛
王妃付き護衛騎士である夫に、「お前を愛したことはない」と告げられた。
理由は単純。
愛などなくても、仕事に支障はないからだという。
──そうですか。
それなら、こちらも遠慮する必要はありませんね。
王妃の機嫌、侍女たちとの関係、贈り物の選定。
夫が「当然のように」こなしていたそれらは、すべて私が整えていたもの。
離婚後、少しずつ歯車は狂い始める。
気づいたときにはもう遅い。
積み上げてきた信用は、静かに崩れていく。
一方で私は、王妃のもとへ。
今さら引き止められても、遅いのです。