60 / 81
令嬢、不敵に笑う。
「キースの公爵家の・・・前夫人ですか?」
戸惑った声を上げる夫人に、わたくしはにっこりと微笑みました。
「ええ、そうですわ。キースが賜る公爵家は新たなもの。本来なら領地を持たない爵位だけのものとなります。ですが、いずれキースとフルール様のお子が生まれた時のために領地付きの爵位にしてもいいと考えています。何故なら、メタトロン公爵家の領地は大きく、伯爵家となるメタトロンには分不相応。半分をキースの公爵家に与えようと思うのです。ですが、キースもフルール様も領地経営をする余裕はありません。そこで、夫人にお願いしたいと思いますの」
これも、メタトロン公爵の行いについて話し合った結果、案として出たものですわ。
キース様とフルール様は公爵位を賜りますが、領地はありません。
自分たちは、私たちから離れるつもりはないので領地経営ができないから、というのが理由です。
ラルク様がお若いということもあります。普通なら、まだ皇太子という年齢ですもの。
今までは皇太子の側近時代に結婚し、子が生まれたら侍女を退いて、妻が領地を見るというのが普通だったそうです。
キース様たちの場合もそれでいいと思うのですが、フルール様はやめないとおっしゃるのです。
ただ、子供が生まれたらその子供が継ぐ領地も必要でしょうから、王家管轄の領地を渡す予定でしたの。
夫人は驚いた様子でしたが、少し考えられた後小さく呟かれました。
「キースが・・・そしてイゼゼエル公爵令嬢様が嫌がらないでしょうか。特にキースは、リッドのために後継の座を譲ってくれたのに、私は息子を諌めることも出来ず・・・」
「キースの気持ちをわたくしが代弁することはできませんが、キースたちには陛下とわたくしが話すことになっております。その時に、キースたちが嫌だと言えばまた別の案を考えますわ。それでもよろしくて?」
「もちろんです。キースには、もう何も我慢したりせずに生きて欲しいと思っております」
お母様のおっしゃった通り、やはり夫人はできた方のようですわ。
このように素晴らしい方を妻に迎えていながら不貞をするなど、本当に公爵の地位に相応しくない方ですわね。
「では、キースたち次第ではありますが、引き受けてくださいますわね?」
「はい。謹んでお受けいたします」
ふふっ。
これで、メタトロン公爵家を降爵させても、公爵家は五家のまま継続できますわね。
ちなみにニーナ様の方は、侯爵位を賜ることになっております。
公爵位を与えるつもりだったのですが、ニーナ様から出来れば侯爵位にして欲しいと頼まれたのです。
伯爵令嬢の自分には、爵位だけとはいえ公爵夫人の名は重いとおっしゃって。
皇帝妃の侍女であり、ナレル伯爵家のご令嬢が何をおっしゃっているのやら。
戸惑った声を上げる夫人に、わたくしはにっこりと微笑みました。
「ええ、そうですわ。キースが賜る公爵家は新たなもの。本来なら領地を持たない爵位だけのものとなります。ですが、いずれキースとフルール様のお子が生まれた時のために領地付きの爵位にしてもいいと考えています。何故なら、メタトロン公爵家の領地は大きく、伯爵家となるメタトロンには分不相応。半分をキースの公爵家に与えようと思うのです。ですが、キースもフルール様も領地経営をする余裕はありません。そこで、夫人にお願いしたいと思いますの」
これも、メタトロン公爵の行いについて話し合った結果、案として出たものですわ。
キース様とフルール様は公爵位を賜りますが、領地はありません。
自分たちは、私たちから離れるつもりはないので領地経営ができないから、というのが理由です。
ラルク様がお若いということもあります。普通なら、まだ皇太子という年齢ですもの。
今までは皇太子の側近時代に結婚し、子が生まれたら侍女を退いて、妻が領地を見るというのが普通だったそうです。
キース様たちの場合もそれでいいと思うのですが、フルール様はやめないとおっしゃるのです。
ただ、子供が生まれたらその子供が継ぐ領地も必要でしょうから、王家管轄の領地を渡す予定でしたの。
夫人は驚いた様子でしたが、少し考えられた後小さく呟かれました。
「キースが・・・そしてイゼゼエル公爵令嬢様が嫌がらないでしょうか。特にキースは、リッドのために後継の座を譲ってくれたのに、私は息子を諌めることも出来ず・・・」
「キースの気持ちをわたくしが代弁することはできませんが、キースたちには陛下とわたくしが話すことになっております。その時に、キースたちが嫌だと言えばまた別の案を考えますわ。それでもよろしくて?」
「もちろんです。キースには、もう何も我慢したりせずに生きて欲しいと思っております」
お母様のおっしゃった通り、やはり夫人はできた方のようですわ。
このように素晴らしい方を妻に迎えていながら不貞をするなど、本当に公爵の地位に相応しくない方ですわね。
「では、キースたち次第ではありますが、引き受けてくださいますわね?」
「はい。謹んでお受けいたします」
ふふっ。
これで、メタトロン公爵家を降爵させても、公爵家は五家のまま継続できますわね。
ちなみにニーナ様の方は、侯爵位を賜ることになっております。
公爵位を与えるつもりだったのですが、ニーナ様から出来れば侯爵位にして欲しいと頼まれたのです。
伯爵令嬢の自分には、爵位だけとはいえ公爵夫人の名は重いとおっしゃって。
皇帝妃の侍女であり、ナレル伯爵家のご令嬢が何をおっしゃっているのやら。
あなたにおすすめの小説
結婚式の翌朝、夫に「皇太子の愛人だろう」と捨てられました――ですが私は、亡き国王の娘です
柴田はつみ
恋愛
母の遺した薬草店を守りながら、慎ましく暮らしていたアンリ。
そんな彼女に求婚してきたのは、国内でも名高い騎士にして公爵家当主、アルファだった。
真っすぐな想いを向けられ、彼を信じて結婚したアンリ。
けれど幸せなはずの結婚式の翌朝、夫は冷たく言い放つ。
「君を愛していると本気で思っていたのかい? 」
彼はアンリが第一皇太子と深い仲にあり、自分との結婚は身を隠すための偽装だと誤解していたのだ。
アンリは実は、亡き国王の婚外子。
皇太子にとっては、隠して守らなければならない妹だったのである。
悪役令嬢にされたので婚約破棄を受け入れたら、なぜか全員困っています
かきんとう
恋愛
王城の大広間は、いつも以上に華やいでいた。
磨き上げられた床は燭台の光を反射し、色とりどりのドレスが揺れるたびに、まるで花畑が動いているかのように見える。貴族たちの笑い声、楽団の優雅な旋律、そして、ひそやかな噂話が、空気を満たしていた。
その中心に、私は立っていた。
――今日、この瞬間のために。
「エレノア・フォン・リーベルト嬢」
高らかに呼ばれた私の名に、ざわめきがぴたりと止む。
文句を言わない婚約者は、俺の愛する幼馴染みを許していなかった【完結】
星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
幼馴染を優先しても、婚約者アウローラは何も言わない。だから、これからも幼馴染みとイチャイチャできる──
侯爵令息トリスタンは、そんな甘い幻想を信じていた。
だが婿入りした瞬間、彼の“軽んじた態度”はすべて清算される。
アウローラは冷徹に、トリスタンの傲慢と欲望を1つずつ暴き、労働と屈辱を与える。
そして最後に残ったのは、誰にも必要とされない現実だけ。
「どうして……俺は、こんなにも愚かだったんだ」
これは愛を勘違いし、身分を過信し、自分の価値を見誤った男の終焉を描くダークドラマ。
⚠️ 本作は AI の生成した文章を一部に使っています。過激ざまぁタグあります。
4/1「エステルに対する殺意」の内容を一部変更しました。
幼馴染が最優先な婚約者など、私の人生には不要です。
たると
恋愛
シュタイン伯爵家の長女エルゼは、公爵子息フィリップに恋をしていた。
彼の婚約者として選ばれた時は涙を流して喜んだが、その喜びもいまは遠い。
『君は一人でも大丈夫だろう。この埋め合わせは必ずする。愛している』
「……『愛している』、ですか」
いつも幼馴染を優先するアルベルトに、恋心はすっかり冷めてしまった。
白い結婚のまま、旦那様は薔薇のような美人に夢中になりました
柴田はつみ
恋愛
伯爵令嬢リディアは、美貌で有名な侯爵レオンハルトに嫁いだ。
けれど結婚して二年、夫婦は一度も結ばれないまま――白い結婚だった。
それでも旦那様は優しかった。
冷たいわけではない。気づかいの言葉も、穏やかな笑顔もくれる。
だからリディアは、愛されてはいなくても、いつか少しは夫婦になれるのではないかと信じていた。
そんなある日、彼女は知ってしまう。
旦那様が薔薇の君と呼ばれる絶世の美女に心を奪われていることを。
彼が触れなかったのは私にだけだったのだと。
都合のいい奥方として、役に立っていたと悟る
静かに離縁を決意したリディアは、実家へ戻ったあと、女子学院で働き始める。
すると侯爵夫人時代には当たり前だった実務のすべてが、外では驚くほど必要とされていた。
感謝され、認められ、自分の足で立ち始めた彼女は、少しずつ見違えるほど美しくなっていく
「通訳など辞書で足りる」と追放された令嬢——三国会談で、婚約者は一言も話せなくなった
歩人
ファンタジー
宮廷通訳官エレノーラは五つの言語を操り、婚約者クラウスの外交を陰で支えてきた。
だがクラウスは言った。「通訳など辞書で足りる。お前は要らない」
追放されたエレノーラは隣国で新たな道を歩み始める。
一方、クラウスは三国会談の場で辞書片手に立ち往生。
誤訳が外交問題に発展し、窮地に陥ったその場に、隣国の通訳官として現れたのは——。
「その言葉は、もう翻訳できません」
夫は私を愛していないそうなので、遠慮なく離婚します。今さら引き止められても遅いです
藤原遊
恋愛
王妃付き護衛騎士である夫に、「お前を愛したことはない」と告げられた。
理由は単純。
愛などなくても、仕事に支障はないからだという。
──そうですか。
それなら、こちらも遠慮する必要はありませんね。
王妃の機嫌、侍女たちとの関係、贈り物の選定。
夫が「当然のように」こなしていたそれらは、すべて私が整えていたもの。
離婚後、少しずつ歯車は狂い始める。
気づいたときにはもう遅い。
積み上げてきた信用は、静かに崩れていく。
一方で私は、王妃のもとへ。
今さら引き止められても、遅いのです。
結婚初夜、「何故彼女が死んでお前が生きているんだ」と夫に言われました
ましゅぺちーの
恋愛
侯爵令嬢のアリサは婚約者だった王太子テオドールと結婚した。
ちょうどその半年前、アリサの腹違いの妹のシアは不慮の事故で帰らぬ人となっていた。
王太子が婚約者の妹のシアを愛していたのは周知の事実だった。
そんな彼は、結婚初夜、アリサに冷たく言い放った。
「何故彼女が死んでお前が生きているんだ」と。