はい!喜んで!

みおな

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シリル・イグリットの場合

キャンディ・ワッケイン男爵令嬢

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 キャンディ・ワッケイン男爵令嬢。

 ツインテールにしたピンク色の髪と、同じ色の瞳をした、可愛らしい容姿の令嬢である。

 彼女がウォルター・アルトガン公爵令息に近づいたのには、理由がある。

 ウォルターと噂になり、彼の婚約を壊すのが、キャンディの目的だ。

 キャンディは、知っている。

 ウォルターが口では否定しながらも、シリル・イグリット伯爵令嬢のことを好きなことを、キャンディは見抜いていた。

 シリル・イグリット伯爵令嬢は、その美貌と無表情さから氷姫と呼ばれているが、決して内面まで冷たい人間ではない。

 その証拠に、マーガレット・カイサル公爵令嬢やセレーネ・ギュンター侯爵令嬢、ベルモット・ラックス侯爵令嬢という友人たちが常にシリルと共に行動している。

 結局のところ、ウォルターはシリルに好かれたいだけなのだ。

 優秀で美しいシリルから惚れられていると、自己顕示欲を満たしたいだけなのである。

 キャンディに言わせれば、好きな女の子にイタズラをする、恋心を拗らせたガキ、それがウォルターだ。

 シリルの方は全くといっていいほど、ウォルターに興味を持っていない。

 ウォルターが何を言おうと、何をしようと、完全なる無関心だ。

 だからこそ、つけ込む隙がある。

 普段から、シリルに対して冷たい言動を繰り返しているウォルター。

 本人は単に素直になれないだけのお子ちゃまだが、周囲からはシリルを疎んでいるように見える。

 だから、キャンディはうまくウォルターに近付いた。

 ウォルター本人はシリルに惚れているため、キャンディの誘いに乗ったりしない。

 だが、周囲の目にはウォルターがキャンディと恋仲のように見える。

 わざわざ、カップル限定のカフェに誘い、周囲に認識させたのだ。

 ウォルターが婚約者以外の令嬢と交際していると。

「ウォルター様は、カフェにご一緒してくださっただけですわ」

 交際していると明言はしない。

 ただ、カップル限定のカフェに一緒に行ってくれたのだと、周囲に話す。

 配慮したように聞こえる発言をして、味方を作る。

 ウォルターは噂を耳にしたら、きっと文句を言ってくる。

 その時に、キャンディは涙ながらに謝罪するつもりだ。

 そんなつもりはなかったのだ、と。

 ただ、ウォルターと一緒できたことが嬉しくて、話してしまったのだ、と。

 あとは、味方になった周囲がウォルターを責めてくれる。

 キャンディの味方をして、ウォルター浮気をしたように噂は広がるだろう。

 キャンディの狙い通りに。
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