40 / 79
シリル・イグリットの場合②
サリー・シュバイカー子爵令嬢
しおりを挟む
サリー・シュバイカー子爵令嬢。
真っ白な髪をハーフアップにしたグレーの瞳の令嬢は、常にシエルのそばにいた。
可愛らしい容姿で、エドワードの好みだったが、そのグレーの瞳の冷たさが気に入らなかった。
あの可愛らしい顔で、グレーの瞳を蕩けさせて自分を見るべきだと思うのに、サリーはシリルしか見ていない。
エドワードなど、そのへんの炉端の石扱いだ。
たかが子爵家風情がと思うが、お互いの交友関係に口を出さないというのは、エドワードが出した条件だ。
サリーがシリルといる限り、よほどのことがない限りはサリーに手出しできない。
約束を破った時には、ペナルティがある。
内容を尋ねたが、父親からも母親からも、約束を反故にしなければいい話だろうと教えてもらえなかった。
罰金程度で済めばいいが、あの両親の様子から見て、エドワードの私財で払えと言われることは間違いない。
それは癪なので、エドワードはサリーとお近づきになるのを諦めた。
サリーにこだわらなくても、可愛い子はたくさんいる。
それに、あくまでも遊びなのだから、婚約者有りきなことを理解できない相手は駄目だ。
シリルのことは気に入らないが、王命である以上、政略結婚は避けられない。
「あんなのが王太子って、国としてどうなんですか」
「サリー、聞こえるわよ」
「聞こえても理解りませんよ。我が国の言葉をアレが知っているとは思えません」
「それでも、万が一はあるわ。気をつけて」
シリルの叱責に、サリーは素直に詫びた。
自分の失言で、シリルに迷惑をかけるわけにはいかない。
「そういえば、あちらは無事に片付いたみたいですね」
「そうね。大丈夫だとは思っていたけど、ホッとしたわ。私も頑張らないとね」
「シリル様なら大丈夫です。私も、微力ながら、お力になりますから」
「ええ、ありがとう、サリー」
表情を変えず、小さな声で話す二人の会話は、周囲には聞こえていない。
まぁ聞こえたところで、サリーの言うところの『我が国の言葉』を理解できるものはいないだろうが。
サリーは、頭の中でエドワードがかかりそうな罠をいくつか思い浮かべた。
確かにエドワードは美形だとは思うが、所詮それだけだ。
女性関係はだらしないし、好みだか何だか知らないが、婚約者のことも契約ギリギリ程度にしか大切にしない。
子を成さなければいいという問題ではないのに、自分が王族だということを本当の意味で理解していない。
サリーに言わせれば、エドワードなど王族という看板を付けた男娼であった。
真っ白な髪をハーフアップにしたグレーの瞳の令嬢は、常にシエルのそばにいた。
可愛らしい容姿で、エドワードの好みだったが、そのグレーの瞳の冷たさが気に入らなかった。
あの可愛らしい顔で、グレーの瞳を蕩けさせて自分を見るべきだと思うのに、サリーはシリルしか見ていない。
エドワードなど、そのへんの炉端の石扱いだ。
たかが子爵家風情がと思うが、お互いの交友関係に口を出さないというのは、エドワードが出した条件だ。
サリーがシリルといる限り、よほどのことがない限りはサリーに手出しできない。
約束を破った時には、ペナルティがある。
内容を尋ねたが、父親からも母親からも、約束を反故にしなければいい話だろうと教えてもらえなかった。
罰金程度で済めばいいが、あの両親の様子から見て、エドワードの私財で払えと言われることは間違いない。
それは癪なので、エドワードはサリーとお近づきになるのを諦めた。
サリーにこだわらなくても、可愛い子はたくさんいる。
それに、あくまでも遊びなのだから、婚約者有りきなことを理解できない相手は駄目だ。
シリルのことは気に入らないが、王命である以上、政略結婚は避けられない。
「あんなのが王太子って、国としてどうなんですか」
「サリー、聞こえるわよ」
「聞こえても理解りませんよ。我が国の言葉をアレが知っているとは思えません」
「それでも、万が一はあるわ。気をつけて」
シリルの叱責に、サリーは素直に詫びた。
自分の失言で、シリルに迷惑をかけるわけにはいかない。
「そういえば、あちらは無事に片付いたみたいですね」
「そうね。大丈夫だとは思っていたけど、ホッとしたわ。私も頑張らないとね」
「シリル様なら大丈夫です。私も、微力ながら、お力になりますから」
「ええ、ありがとう、サリー」
表情を変えず、小さな声で話す二人の会話は、周囲には聞こえていない。
まぁ聞こえたところで、サリーの言うところの『我が国の言葉』を理解できるものはいないだろうが。
サリーは、頭の中でエドワードがかかりそうな罠をいくつか思い浮かべた。
確かにエドワードは美形だとは思うが、所詮それだけだ。
女性関係はだらしないし、好みだか何だか知らないが、婚約者のことも契約ギリギリ程度にしか大切にしない。
子を成さなければいいという問題ではないのに、自分が王族だということを本当の意味で理解していない。
サリーに言わせれば、エドワードなど王族という看板を付けた男娼であった。
410
あなたにおすすめの小説
白い結婚の末、離婚を選んだ公爵夫人は二度と戻らない』
鍛高譚
恋愛
白い結婚の末、「白い結婚」の末、私は冷遇され、夫は愛人を溺愛していた――ならば、もう要らないわ」
公爵令嬢 ジェニファー・ランカスター は、王弟 エドワード・クラレンス公爵 のもとへ政略結婚として嫁ぐ。
だが、その結婚生活は冷たく空虚なものだった。夫は愛人 ローザ・フィッツジェラルド に夢中になり、公爵夫人であるジェニファーは侮辱され、無視され続ける日々。
――それでも、貴族の娘は耐えなければならないの?
何の愛もなく、ただ飾り物として扱われる結婚に見切りをつけたジェニファーは 「離婚」 を決意する。
しかし、王弟であるエドワードとの離婚は容易ではない。実家のランカスター家は猛反対し、王宮の重臣たちも彼女の決断を 「公爵家の恥」 と揶揄する。
それでも、ジェニファーは負けない。弁護士と協力し、着々と準備を進めていく。
そんな折、彼女は北方の大国 ヴォルフ公国の大公、アレクサンダー・ヴォルフ と出会う。
温かく誠実な彼との交流を通じて、ジェニファーは 「本当に大切にされること」 を知る。
そして、彼女の決断は、王都の社交界に大きな波紋を呼ぶこととなる――。
「公爵夫人を手放したことを、いつか後悔しても遅いわ」
「私はもう、あなたたちの飾り人形じゃない」
離婚を巡る策略、愛人の凋落、元夫の後悔――。
そして、新たな地で手にした 「愛される結婚」。
婚約破棄されましたが、私はもう必要ありませんので
ふわふわ
恋愛
「婚約破棄?
……そうですか。では、私の役目は終わりですね」
王太子ロイド・ヴァルシュタインの婚約者として、
国と王宮を“滞りなく回す存在”であり続けてきた令嬢
マルグリット・フォン・ルーヴェン。
感情を表に出さず、
功績を誇らず、
ただ淡々と、最善だけを積み重ねてきた彼女に突きつけられたのは――
偽りの奇跡を振りかざす“聖女”による、突然の婚約破棄だった。
だが、マルグリットは嘆かない。
怒りもしない。
復讐すら、望まない。
彼女が選んだのは、
すべてを「仕組み」と「基準」に引き渡し、静かに前線から降りること。
彼女がいなくなっても、領地は回る。
判断は滞らず、人々は困らない。
それこそが、彼女が築いた“完成形”だった。
一方で、
彼女を切り捨てた王太子と偽聖女は、
「彼女がいない世界」で初めて、自分たちの無力さと向き合うことになる。
――必要とされない価値。
――前に出ない強さ。
――名前を呼ばれない完成。
これは、
騒がず、縋らず、静かに去った令嬢が、
最後にすべてを置き去りにして手に入れる“自由”の物語。
ざまぁは静かに、
恋は後半に、
そして物語は、凛と終わる。
アルファポリス女子読者向け
「大人の婚約破棄ざまぁ恋愛」、ここに完結。
白い結婚を捨てた王妃は、もう二度と振り向かない ――愛さぬと言った王子が全てを失うまで』
鍛高譚
恋愛
「私は王妃を愛さない。彼女とは白い結婚を誓う」
華やかな王宮の大聖堂で交わされたのは、愛の誓いではなく、冷たい拒絶の言葉だった。
王子アルフォンスの婚姻相手として選ばれたレイチェル・ウィンザー。しかし彼女は、王妃としての立場を与えられながらも、夫からも宮廷からも冷遇され、孤独な日々を強いられる。王の寵愛はすべて聖女ミレイユに注がれ、王宮の権力は彼女の手に落ちていった。侮蔑と屈辱に耐える中、レイチェルは誇りを失わず、密かに反撃の機会をうかがう。
そんな折、隣国の公爵アレクサンダーが彼女の前に現れる。「君の目はまだ死んでいないな」――その言葉に、彼女の中で何かが目覚める。彼はレイチェルに自由と新たな未来を提示し、密かに王宮からの脱出を計画する。
レイチェルが去ったことで、王宮は急速に崩壊していく。聖女ミレイユの策略が暴かれ、アルフォンスは自らの過ちに気づくも、時すでに遅し。彼が頼るべき王妃は、もはや遠く、隣国で新たな人生を歩んでいた。
「お願いだ……戻ってきてくれ……」
王国を失い、誇りを失い、全てを失った王子の懇願に、レイチェルはただ冷たく微笑む。
「もう遅いわ」
愛のない結婚を捨て、誇り高き未来へと進む王妃のざまぁ劇。
裏切りと策略が渦巻く宮廷で、彼女は己の運命を切り開く。
これは、偽りの婚姻から真の誓いへと至る、誇り高き王妃の物語。
冷遇する婚約者に、冷たさをそのままお返しします。
ねむたん
恋愛
貴族の娘、ミーシャは婚約者ヴィクターの冷酷な仕打ちによって自信と感情を失い、無感情な仮面を被ることで自分を守るようになった。エステラ家の屋敷と庭園の中で静かに過ごす彼女の心には、怒りも悲しみも埋もれたまま、何も感じない日々が続いていた。
事なかれ主義の両親の影響で、エステラ家の警備はガバガバですw
(完結)家族にも婚約者にも愛されなかった私は・・・・・・従姉妹がそんなに大事ですか?
青空一夏
恋愛
私はラバジェ伯爵家のソフィ。婚約者はクランシー・ブリス侯爵子息だ。彼はとても優しい、優しすぎるかもしれないほどに。けれど、その優しさが向けられているのは私ではない。
私には従姉妹のココ・バークレー男爵令嬢がいるのだけれど、病弱な彼女を必ずクランシー様は夜会でエスコートする。それを私の家族も当然のように考えていた。私はパーティ会場で心ない噂話の餌食になる。それは愛し合う二人を私が邪魔しているというような話だったり、私に落ち度があってクランシー様から大事にされていないのではないか、という憶測だったり。だから私は・・・・・・
これは家族にも婚約者にも愛されなかった私が、自らの意思で成功を勝ち取る物語。
※貴族のいる異世界。歴史的配慮はないですし、いろいろご都合主義です。
※途中タグの追加や削除もありえます。
※表紙は青空作成AIイラストです。
王子様への置き手紙
あおた卵
恋愛
フィオナは王太子ジェラルドの婚約者。王宮で暮らしながら王太子妃教育を受けていた。そんなある日、ジェラルドと侯爵家令嬢のマデリーンがキスをする所を目撃してしまう。ショックを受けたフィオナは自ら修道院に行くことを決意し、護衛騎士のエルマーとともに王宮を逃げ出した。置き手紙を読んだ皇太子が追いかけてくるとは思いもせずに⋯⋯
[完結]だってあなたが望んだことでしょう?
青空一夏
恋愛
マールバラ王国には王家の血をひくオルグレーン公爵家の二人の姉妹がいる。幼いころから、妹マデリーンは姉アンジェリーナのドレスにわざとジュースをこぼして汚したり、意地悪をされたと嘘をついて両親に小言を言わせて楽しんでいた。
アンジェリーナの生真面目な性格をけなし、勤勉で努力家な姉を本の虫とからかう。妹は金髪碧眼の愛らしい容姿。天使のような無邪気な微笑みで親を味方につけるのが得意だった。姉は栗色の髪と緑の瞳で一見すると妹よりは派手ではないが清楚で繊細な美しさをもち、知性あふれる美貌だ。
やがて、マールバラ王国の王太子妃に二人が候補にあがり、天使のような愛らしい自分がふさわしいと、妹は自分がなると主張。しかし、膨大な王太子妃教育に我慢ができず、姉に代わってと頼むのだがーー
虐げられた令嬢は、耐える必要がなくなりました
天宮有
恋愛
伯爵令嬢の私アニカは、妹と違い婚約者がいなかった。
妹レモノは侯爵令息との婚約が決まり、私を見下すようになる。
その後……私はレモノの嘘によって、家族から虐げられていた。
家族の命令で外に出ることとなり、私は公爵令息のジェイドと偶然出会う。
ジェイドは私を心配して、守るから耐える必要はないと言ってくれる。
耐える必要がなくなった私は、家族に反撃します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる