「殿下、人違いです」どうぞヒロインのところへ行って下さい

みおな

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悪役令嬢回避編

攻略対象宰相子息

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 街で偶然出会ったマリウス殿下とヒロインは、そのまま街を散策する。
 その中で、ヒロインに似合う物をプレゼントするという選択肢があった。

 ライトノベルの中では、細かく語られなかったけど、確か乙女ゲームの中ではその時の好感度に応じてプレゼントが変わってた。

 好感度が高いと、マリウス殿下の瞳の色のネックレスで、そこから順に、ブレスレット、髪飾り、ハンカチ、お菓子という風になってた。

 髪飾りってことは、好感度はまあまあ高いってことよね?

「あ、ありがとうございます」

 お礼を言ってるマリアが、すごく嬉しそうだし、2人が並んでいるのを見ると、やっぱりお似合いだなと思う。

 ゲームの画面の中で、何度も見た2人のスチル。クランたちには悪いけど、やっぱり王道ルートのカップルが推しだわ。

 それに、ニコラスはフィリアに頭が上がらないみたいだし、レイノルドもイザベラ・ファレノプシス伯爵令嬢にメロメロだって噂を聞いたわ。

 あの2人のルートはないって思っても大丈夫そう。

 ん?そういえば、もう1人いたっけ、攻略対象。
 宰相であるルビス・ロードデンドロン侯爵の子息。

 ルビスとは、どうやって知り合ったっけ。考え込んでいた私の耳に、聞こえてきたのはー

「あれ?殿・・・じゃない、マリウス様じゃない。あ。アニエス嬢とマリア嬢も一緒?」

 レイノルドがにこやかに、こちらに向かってやって来る。
 一緒にいるのは、ニコラスと・・・ルビスだった。
 何で、3人が一緒にいるわけ?

「ごきげんよう、ノックス様。お揃いでいかがされましたの?」

「もうすぐタラクサカム嬢の誕生日なんだって。でも、何あげたらいいかわからないって言うから、ルビスと一緒に手を貸してあげることにしたんだ」

「まぁ、お友達思いなのですね。ロードデンドロン様もノックス様も」

「ちょ、ちょうどオリビアに渡したいものを探していたんだ。つ、ついでだ」

 私の言葉に、ルビスは吃りながらふいっと横を向く。

 あー。
そうだった。ルビスって、ツンデレさんだったわ。
 周囲には常にキツい物言いだったりするくせに、本当は友達思いで、ヒロインのこともすごく大切にしてた。

 乙女ゲームでは、ヒロインに攻略されなかったら、婚約者であるオリビア・ナルシサス侯爵令嬢と学園卒業後に政略結婚する。
 攻略された場合は、オリビア様を捨てて、そのことでナルシサス侯爵家に睨まれて、確か他国へと手に手を取って逃げるのよね。

 ラノベでは、マリアと結ばれることはないけど、ルビスはオリビア様が私と一緒にマリアをいじめていたって言って、婚約破棄をする。

 ナルシサス侯爵はオリビア様のことをすごく溺愛しているから、リリウム公爵家と共に、ロードデンドロン家や王家に反旗を翻すことになってた。

 私は、ルビスとはほとんど接点がないけど、出来ることなら誰も悲しまない未来を選んで欲しいと思う。

 婚約者に贈る物を探してるっていうのなら、今のところは良好な関係みたい。ホッとしたわ。




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