2度目の人生は好きにやらせていただきます

みおな

文字の大きさ
28 / 122

本当に愚かな〜セオドア王国宰相視点〜

しおりを挟む
「は?イングリス公爵がいない?」

 先日、イングリス公爵令嬢様とエリック殿下の婚約は白紙撤回となった。

 それでも王家はイングリス公爵家にこだわっているのか、今日私は公爵家を訪問するようにと言われた。

 そして、王宮に戻った私は国王陛下に伝えたのだ。

「アウグスト・イングリス殿は公爵家にいない」と。

 正確に言えば、そろそろ国境は越えた後だから、この国にはいない、だが、そこはギリギリまで伏せておくことになっている。

 馬での強行軍だと言っていた。

 イングリス公爵令息や、騎士団長のキンブル侯爵家のご長男は大丈夫だろうが、文官長のご次男や公爵、侯爵にはキツいだろうな。

 私は先日、宰相の座に就いたばかりだ。

 前任のキンブル侯爵が、妻の体調不良を理由に退職された。

 国王陛下は随分と渋られていたが、田舎に引き上げると言われたら止めきれなかったのだろう。

 そして、補佐をしていた私がその責務を引き継ぐことになった。

 もちろん、キンブル侯爵夫人が体調不良など、嘘だ。

 夫人は早々にご令嬢たちとローゼンタール王国に向かったと聞く。

 公爵たちが残っていたのは、引き継ぎと後始末のためだと聞いた。

 王太子殿下のエリック殿下は、あの聡明でお美しい、非のつけどころのないご令嬢を婚約者にしていながら、男爵令嬢と不貞を働いた、と聞く。

 馬鹿だろう。
まもなく学園に入学し、三年後には婚姻予定だったというのに、何を考えているんだ?

 男爵家のご令嬢が、王太子妃になんかなれるわけがないだろう?

 国交はどうする?

 三年でどれだけのことを身につけられる?

 あのイングリス公爵令嬢ですから、幼い頃から王宮で淑女教育に王子妃教育を受けていたんだぞ?

 それに、自国のご令嬢たちとの交流はどうする?
 身分が下の者が上の者に声をかけることがマナー違反だと分かっているのか?

 王太子殿下の婚約者といえど、婚姻するまではあくまでも婚約者。男爵令嬢でしかない。

 他家の、身分の高いご令嬢が相手にしてくれるわけがないだろう?

 それでも、イングリス公爵様たちはその男爵令嬢とエリック殿下を婚約させると準備をされていた。

 セオドア王家には、エリック殿下しかお子様はいない。

 その王太子殿下の妻、王太子妃が公務ひとつも出来ないとなると、この国はどうなる?

 たとえ王族が愚かでも、そこに住まう貴族や平民たちに罪はない。

 だからこそ、私はキンブル侯爵の跡を継いだ。

 この後どうなるか、どうすべきか、全ての策は授かっている。

 新たなイングリス公爵の力を借りて、この国を支えなくてはならない。

 

しおりを挟む
感想 248

あなたにおすすめの小説

奪われる人生とはお別れします 婚約破棄の後は幸せな日々が待っていました

水空 葵
恋愛
婚約者だった王太子殿下は、最近聖女様にかかりっきりで私には見向きもしない。 それなのに妃教育と称して仕事を押し付けてくる。 しまいには建国パーティーの時に婚約解消を突き付けられてしまった。 王太子殿下、それから私の両親。今まで尽くしてきたのに、裏切るなんて許せません。 でも、これ以上奪われるのは嫌なので、さっさとお別れしましょう。 ◇2024/2/5 HOTランキング1位に掲載されました。 ◇第17回 恋愛小説大賞で6位&奨励賞を頂きました。 ◇レジーナブックスより書籍発売中です! 本当にありがとうございます!

【完結】私が誰だか、分かってますか?

美麗
恋愛
アスターテ皇国 時の皇太子は、皇太子妃とその侍女を妾妃とし他の妃を娶ることはなかった 出産時の出血により一時病床にあったもののゆっくり回復した。 皇太子は皇帝となり、皇太子妃は皇后となった。 そして、皇后との間に産まれた男児を皇太子とした。 以降の子は妾妃との娘のみであった。 表向きは皇帝と皇后の仲は睦まじく、皇后は妾妃を受け入れていた。 ただ、皇帝と皇后より、皇后と妾妃の仲はより睦まじくあったとの話もあるようだ。 残念ながら、この妾妃は産まれも育ちも定かではなかった。 また、後ろ盾も何もないために何故皇后の侍女となったかも不明であった。 そして、この妾妃の娘マリアーナははたしてどのような娘なのか… 17話完結予定です。 完結まで書き終わっております。 よろしくお願いいたします。

【完結】優しいあなたに、さようなら。二人目の婚約者は、私を殺そうとしている冷血公爵様でした

ゆきのひ
恋愛
伯爵令嬢であるディアの婚約者は、整った容姿と優しい性格で評判だった。だが、いつからか彼は、婚約者であるディアを差し置き、最近知り合った男爵令嬢を優先するようになっていく。 彼と男爵令嬢の一線を越えた振る舞いに耐え切れなくなったディアは、婚約破棄を申し出る。 そして婚約破棄が成った後、新たな婚約者として紹介されたのは、魔物を残酷に狩ることで知られる冷血公爵。その名に恐れをなして何人もの令嬢が婚約を断ったと聞いたディアだが、ある理由からその婚約を承諾する。 しかし、公爵にもディアにも秘密があった。 その秘密のせいで、ディアは命の危機を感じることになったのだ……。 ※本作は「小説家になろう」さん、カクヨムさんにも投稿しています ※表紙画像はAIで作成したものです

公爵令嬢の辿る道

ヤマナ
恋愛
公爵令嬢エリーナ・ラナ・ユースクリフは、迎えた5度目の生に絶望した。 家族にも、付き合いのあるお友達にも、慕っていた使用人にも、思い人にも、誰からも愛されなかったエリーナは罪を犯して投獄されて凍死した。 それから生を繰り返して、その度に自業自得で凄惨な末路を迎え続けたエリーナは、やがて自分を取り巻いていたもの全てからの愛を諦めた。 これは、愛されず、しかし愛を求めて果てた少女の、その先の話。 ※暇な時にちょこちょこ書いている程度なので、内容はともかく出来についてはご了承ください。 追記  六十五話以降、タイトルの頭に『※』が付いているお話は、流血表現やグロ表現がございますので、閲覧の際はお気を付けください。

【完結】私の望み通り婚約を解消しようと言うけど、そもそも半年間も嫌だと言い続けたのは貴方でしょう?〜初恋は終わりました。

るんた
恋愛
「君の望み通り、君との婚約解消を受け入れるよ」  色とりどりの春の花が咲き誇る我が伯爵家の庭園で、沈痛な面持ちで目の前に座る男の言葉を、私は内心冷ややかに受け止める。  ……ほんとに屑だわ。 結果はうまくいかないけど、初恋と学園生活をそれなりに真面目にがんばる主人公のお話です。 彼はイケメンだけど、あれ?何か残念だな……。という感じを目指してます。そう思っていただけたら嬉しいです。 彼女視点(side A)と彼視点(side J)を交互にあげていきます。

【完結160万pt】王太子妃に決定している公爵令嬢の婚約者はまだ決まっておりません。王位継承権放棄を狙う王子はついでに側近を叩き直したい

宇水涼麻
恋愛
 ピンク髪ピンク瞳の少女が王城の食堂で叫んだ。 「エーティル様っ! ラオルド様の自由にしてあげてくださいっ!」  呼び止められたエーティルは未来の王太子妃に決定している公爵令嬢である。  王太子と王太子妃となる令嬢の婚約は簡単に解消できるとは思えないが、エーティルはラオルドと婚姻しないことを軽く了承する。  その意味することとは?  慌てて現れたラオルド第一王子との関係は?  なぜこのような状況になったのだろうか?  ご指摘いただき一部変更いたしました。  みなさまのご指摘、誤字脱字修正で読みやすい小説になっていっております。 今後ともよろしくお願いします。 たくさんのお気に入り嬉しいです! 大変励みになります。 ありがとうございます。 おかげさまで160万pt達成! ↓これよりネタバレあらすじ 第一王子の婚約解消を高らかに願い出たピンクさんはムーガの部下であった。 親類から王太子になることを強要され辟易しているが非情になれないラオルドにエーティルとムーガが手を差し伸べて王太子権放棄をするために仕組んだのだ。 ただの作戦だと思っていたムーガであったがいつの間にかラオルドとピンクさんは心を通わせていた。

復讐のための五つの方法

炭田おと
恋愛
 皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。  それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。  グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。  72話で完結です。

お望み通り、別れて差し上げます!

珊瑚
恋愛
「幼なじみと子供が出来たから別れてくれ。」 本当の理解者は幼なじみだったのだと婚約者のリオルから突然婚約破棄を突きつけられたフェリア。彼は自分の家からの支援が無くなれば困るに違いないと思っているようだが……?

処理中です...