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王都への帰還

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 街の異変は、生活に使う井戸の水に毒草の種が入ったことが原因だった。

 種の時は毒素を出していなかったが、井戸の底で成長した。

 そしてたまたま落とした桶が毒草を傷つけたことで、毒素が水に混じった、と思われる。

 井戸水と井戸自体を聖女の力で浄化し、毒草も取り除いたことでことなきを得た。

 あのハーブは、ハーブティーが苦手な人間にも摂ってもらうために、食事や果実水に混ぜるように進言した。

 命の恩人の、聖女の意見である。
町長も必ず実行すると約束してくれた。

 毒草自体が何故井戸に生息したのかはわからないけど、人為的なものにしろそうでないにしろ、同じことがまた起きないとは限らない。

 有効な対策があるのなら、やるべきだろう。

 無事?に私たちは新たな街へと旅立った。

 いろんな街を見て、国内のほとんどの街を巡り終わる頃には、旅に出てから一年が経とうとしていた。

「一旦、王都に戻りましょうか。フロラリアの結婚式もしなくてはね」

「お、お姉様!」

 フロラリアとエモンド様は、旅の間に随分と仲を深めた。

 女神が与えた聖女の力は、処女であることを求めない。

 だから、フロラリアが結婚して子供を産んで、それから年老いても、死ぬまで彼女は聖女のままだ。

 それこそ、悪きことをしたとしても、フロラリアが聖女の力を失うことはない。

 まぁ、人として天罰は受けるかもしれないけど。

 私から見ても二人はお似合いだし、それにフロラリアのことをとても大切にしてくれているのが分かる。

 なので、王都に戻った機会に結婚式をあげようと考えたのだ。

 ちなみに私の方は、一進一退というところだ。

 ルーカス様のことは好きだけど、それが異性としての好きかと言われると、どうにもはっきりしない。

 まぁ、旅の始まりよりは気持ちの距離は近づいたような・・・変わらないような?

 ルーカス様は、私が恋愛感情に疎いと理解してくれているので、異性として好きでなくてもかまわないと言ってくれている。

 そんなルーカス様の気持ちは、正直言って嬉しいと思う。

 私も一緒に結婚式を挙げようかしら?

 しばらく王都で過ごしたらまた旅に出ようと考えているし、そうすると家族に参列してもらえる時にしておくべきよね。

 今度は、フロラリアは置いていくつもりだ。

 結婚するからには、ヴェルザンディ公爵家を継ぐ者としてエモンド様には当主教育を受けてもらわなきゃだし、子供もすぐに授かるかもだし。

 それに次は他国へ行くつもりだから、にはマクシミリアン王国にいてもらいたい。

 国王陛下にあまり心労をかけたくないしね。

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