決めたのはあなたでしょう?

みおな

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はじめての・・・

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「どう?アリス。楽しい?」

 マリンティア様の問いかけに、コクコクと頷きます。

 私はお父様のご指示通りに、婚約解消から二日後、他国へと向かっていました。

 まず訪問するのは、馬車で四日ほどの、サザンスイート王国です。

 今日、サザンスイートの王国内に入ったのですが、すごいです。
 この国はとても自然が多くて、自然の花々も咲き乱れています。

 蝶や小鳥、小動物の姿も見えます。
まだ辺境の村だと思うのですが、他国の馬車の私たちに、子供たちが手を振ってくれています。

 この国は、心豊かに国民が暮らせている、そう思わせてくれるものがこの国にはありました。

「サザンスイート王国というのは、とても自然豊かな国なのですね。国民の皆様もとても生き生きとされている気がします」

「そうね。この国は精霊の国ととても深い繋がりがあって、だから自然も豊かなのだそうよ」

「マリンティア様。勉強不足で申し訳ございません。精霊の国とは?」

 学園に入ってまだ間もないとはいえ、勉強不足です。
 出発までに、訪問国のことはいくらか勉強しましたが、まだまだ不足していたようです。

「謝る必要はないわ。精霊の国のことは、知らなくても当たり前よ。このことはサザンスイート王国の王族にのみ伝わる伝承のひとつなのよ。実はサザンスイートの王太子殿下は下のお兄様のご友人でね。私も何度かお会いしたことがあって、その時に彼からこの話を聞いたのよ」

「そうなのですね。あ。でもそれなら、私がお聞きしてはいけないのでは?」

「構わないわ。だって伝承ですもの。一応、王族のみに伝わるってことらしいけど、話しちゃいけないことなら、私にだって話してはくれなかったはずよ。それに、私はアリスを信じてるもの」

「あ、ありがとうございます」

 マリンティア様に信じていると言われて、嬉しくて涙が出そうです。
 そのお気持ちを裏切ることなく、私は精進しなければなりませんね。

「それで、その伝承にある精霊の国にはね、精霊たちがいるんですって。そして、その国を治める精霊の王の先祖が、このサザンスイート王国に嫁いだことがあって、そのおかげで、この国は自然が豊かなんですって」

「精霊様というのは、人の姿をされているんですね。嫁がれたということですから」

「上位の精霊や王は、人の姿をしているんですってよ。一生に一度でいいから、会ってみたいわね」

「はい。私もそう思います」

 サザンスイートの王族の方は、お会いしたことがあるのかしら?

 あと二日ほどで、最初の目的地の王都に着きます。
 精霊の国のお話が聞けると嬉しいのですが、マリンティア様が私に話したと分かったら問題かもしれませんし、聞くことは難しいですね。

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