決めたのはあなたでしょう?

みおな

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見えるし、触れるわ

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「見えてはいけないのでしょうか?」

 話しかけられたのだと思って、思わず返事をしてしまいましたが、人に見えたら問題があるのかもしれません。

 どうしましょう。危害を加えるつもりがないと、信じてくれるかしら?

「あ、あの!見えてしまいましたけど、危害を加えるつもりはありません!わ、私はあのっ・・・」

『ねぇ、ねぇ。僕の手に触れる?』

 慌てる私と対照的に、妖精さんはワクワクした顔で私を見ています。

 え?手ですか?
というか、私の話を聞いて下さっていますか?

 震える人差し指を、そっと妖精さんの手に近づけます。

 妖精さんは、手すりに座ったまま、足をブラブラさせています。可愛いですわ。

 私の手のひらに乗りそうなくらい、小さいので、力加減を誤ったら手すりから落としてしまいそう。

 ちょん!と指先が触れたところで、妖精さんが感嘆の声をあげます。

『わぁ!触ってる!僕が見えるんだよね?僕の声が聞こえるんだよね?』

「え、ええ」

 妖精さんは、とても嬉しそうに私の周囲をぐるぐると飛び回られますけど、どうしてそんなに嬉しそうなんでしょう?

『わぁ!わぁ!すごい!すごい!!』

「あ、あの・・・」

 ペタペタと私の髪に触れたり、顔を覗き込んで来たりと、妖精さんは大忙しです。

 ですが、そんなにぐるぐる回られたら、私の目が回ってしまいそうですわ。

『そうだ!報告!報告しなきゃ!きっと喜ぶぞ~!じゃあ、またね~』

「え?あ・・・」

 私の周囲を回っていた妖精さんは、突然思い出したように、手を振って庭の方へとあっという間に飛んで行ってしまいました。

 何だったのでしょうか。
報告とおっしゃっていましたわ。何か、報告しなきゃいけないことがあったのに、私が引き留めてしまったのかもしれませんね。

 そっと扉を閉めて、部屋に戻ります。

 また、会えるかしら?
お名前があるのなら、伺っても良いのかしら?

 妖精さんのおかげで、私はとても温かな気持ちで、その夜眠りにつくことができたのでした。

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