決めたのはあなたでしょう?

みおな

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王宮にいる理由

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「いやいや、良かった。マリンティアもジョージアナ嬢も素晴らしいお相手と婚約出来たようで、何よりだ」

 国王陛下のお言葉に、顔が熱くなります。絶対、赤くなっていますわ。

 でも。サザンスィート王国でご一緒している間ずっと、私に誠実にそして優しく接してくださったカイン様。

 お父様に対しても、精霊王様だというのに、真摯にお願いして下さったカイン様のことを、心から信頼できると思います。

「やれやれ。マリンティアを泣かすなよ」

「分かってる。ティアのことは絶対に幸せにする」

「はぁ?もう愛称呼びか?お前は極端なんだよ」

 隣では、ケルヴィン殿下が、ジュリアン王太子殿下とお話をされています。

 ええ。
最初からジュリアン王太子殿下は、マリンティア様のことを可愛がっているご様子でしたが、それが溺愛に変わったのは一瞬でしたわ。

 愛称呼びなんて、可愛いものと思うくらい・・・いえ。
 マリンティア様がお幸せそうなのです。だから、問題ありませんわ。

「それで、お父様。どうして王宮にいらっしゃるの?」

 お出迎え・・・というわけではないのですよね?
 帰国の日はもちろん伝えてありましたが、王宮に寄るとは私も思いませんでしたもの。

 お父様は、何やら複雑そうな渋いお顔をされています。
 あら?国王陛下もケルヴィン殿下も顔を顰められていますわ。

 何故かクリスティアン殿下だけは、満面の笑みですけど。

「お父様?」

「それがな、アリス。スペンサー侯爵家から勘当されたサイード殿が・・・」

「サイード様が?」

「我が家に住みついたのだ」

「は?」

 思わず、淑女としてあり得ない声が出てしまいました。

 え?ええ?
今、お父様は住みついたとおっしゃいました?

 は?
どういうことですか?

「ど、どういうことですか?」

「それが、最初のうちは侯爵家から持ち出した金で過ごしていたらしい。だが、金が無くなり、懸想していた男爵令嬢にもフラれたらしくてね。自分の面倒をみるのは当たり前だと言って乗り込んできたのだよ」

「ふふふっ。馬鹿だよねぇ。何故、自分が侯爵家から勘当されたのかも理解せず、しかも婚約解消を申し出ておきながら、自分が困ったら、婚約者だから?ふふふっ。馬鹿すぎて救いようがないよねぇ」

 お父様のおっしゃっていることに愕然としますが、それよりも・・・

 黒い笑みを浮かべながら話されるクリスティアン殿下が、怖いです。

 言ってることは本当にその通りなのですが、その笑みが怖すぎます。

「大丈夫だ。アリス嬢は僕の婚約者。誰にも渡さない」

 震える私を、カイン様が後ろから抱きしめて下さいました。



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