決めたのはあなたでしょう?

みおな

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勢揃い

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「きゃあああ!何っ!なにこれっ!」

「うわぁぁぁぁぁぁ!」

 座り込む二人の周りを、炎が取り囲みます。
 立った男性の腰辺りまでありますから、飛び越えるのは不可能ですわね。

 お互いが抱き合って座り込む程度の半径ですから、ナターシャ様の蜂蜜色の豊かな髪に、火花が飛んでしまったようです。

「きゃあああ!私の髪が!サイード!何とかしてッ!」

 火は髪をほんの少し焦がしただけで消えたようでしたが、ナターシャ様はヒステリックに叫ばれます。

 何とかしてとおっしゃられても、同じように火の円の中にいるのに、どうしろと思われてるのかしら。

『じゃあ、消してあげるわ』

 ザバーッ。

 そんな音を立てて、空中から大量の水が現れ、周囲の火を消しました。

 ただし、お二人とも濡れ鼠ですけど。
お風邪をひかれないうちに、帰られた方がいいのではないかしら。

「なんなの・・・何なのよ!アンタ、もしかしてアンタがやったの?こんなおかしなことできるなんて、アンタ魔女なんじゃ・・・え?」

 豊かな髪も、ドレスも水で濡れたナターシャ様が、私を睨みつけるように立ち上がり・・・
 私の隣に立つカイン様に気付きました。

 私を魔女と呼んだことも、隣にサイード様がいることも忘れて、うっとりとした瞳でカイン様を見つめています。

「あのぉ~、私ぃ、ナターシャって言いますぅ」

「・・・」

 なんでしょうか。なんだかイラッとします。

『王様に触れていいのは、アタシたちと番様だけー!』

 あら?イラッとしたのは、私だけではなかったようですわ。

 地面から蔓のようなものが次々と現れて、ナターシャ様とついでにでしょうか、サイード様を拘束していきます。

「きゃああ。なに、何なのよ!」

『うるさい~!ボルト、黙らせちゃって!』

『わかった』

 パリッと音を立てて、光が走りました。

 現在、ナターシャ様たちはびしょ濡れ状態です。そこに、電気が走るということは・・・

 静かにはなりましたけど・・・
死んだりしてませんよね?

『もぉ!私の蔓まで痺れちゃったじゃない!まぁいいわ。今のうちにぐるぐる巻きにしとこ』

 プンプンと怒ってみせながら、蔓で二人をぐるぐる巻きにするのは、植物の精霊様でしょうか。

 ボルト様というのは、雷の精霊様ね。
水を降らせたのは、アクア様という水の精霊様で、炎を出されたのがイグニス様でしょうか。

 精霊様たち、勢揃いですのね。

『アリス~大丈夫だった~?』

「アエラスくん。大丈夫ですわ。助けてくださりありがとうございます」

 触られたくなかったので、本当に助かりましたわ。

『アエラス、アエラス!この人が番様?うわっ!本当に触れる~っ』

『番様、声も可愛いーっ』

「お前ら、近いっ!」

『えーっ!王様、横暴~!番様は私たちにとっても大切な人なのにぃ』

『トレニア。あれは嫉妬。やきもちというやつだ』

 私の周囲に集まった精霊様たちを、カイン様が牽制していますわ。

 皆さん、仲良しさんですのね。私とも仲良くして下さるかしら。


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