決めたのはあなたでしょう?

みおな

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嫌いにならないで?

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「私は、死なせて欲しいと願うほどに、生きて償ってもらいたいと思います」

 処刑なんてかわいそうだなんて、優しい気持ちはありません。

 あっさりと処刑されて終わるなんて、嫌なだけです。

 私は。
別にサイード様にもナターシャ様にも、特別な感情はありません。

 もちろん、婚約者になったときは、これからこの人と一緒の時を過ごすのだと思っていました。

 優しくして下さいましたし、この方となら穏やかな家族になれる、そう思ってのです。

 それが、あんな形で裏切りを耳にし目撃して、私の心は冷めてしまったのだと思います。

 お父様もサイード様のことは気に入っていましたから、学園内だけでの事だと、卒業したなら誠実に私と向き合ってくれるならと、そう考えていました。

 婚約解消を求められたことは、仕方のないことだと思います。

 私も他の女性を好きな方に、触れられるのは嫌です。

 貴族の娘として、政略結婚は理解しています。
 ですが、いくら政略結婚でもお互いに誠実ではあるべきですもの。

 マリンティア様に、貴族としてキチンと慰謝料を請求することなどを諭されましたが、まさかそのことで、彼の本性を知ることになるとは思いませんでした。

 そうです。
私がサイード様を許せないと思っているのは、彼が慰謝料を払いたくないから私とまた婚約と言ったからです。

 ナターシャ様が真実の愛のお相手だったのでしょう?

 それなのに、その方と一緒にいながら、私と婚約し直すとおっしゃるその精神が理解できません。

 好きだったはずなのに。
ずっと一緒にいたいと思えてた人のはずなのに。

 そんな相手を苦しめたいなんて、なんてひどい女だと思われてしまわないかしら。

 アエラスくんたちも、こんな醜い人間のこと、番だと認めてくれないんじゃないかしら。

 カイン様のお顔を見上げると、カイン様は優しく私を見つめていて下さいました。

「カイン様・・・」

「どうした?」

「こんな・・・ことを言った私のこと、醜いと思われます・・・よね」

 私は、嫉妬もするし、人を憎んだり恨んだりする、そんな人間です。

 なのに。

「お願い・・・嫌わないで・・・」

 嫌われたくないなんて。
カイン様に、アエラスくんたちに、嫌われたくない・・・

「どうして、アリス嬢を嫌うんだ?」

『そうだよ、アリス!王様はキモいくらいアリスのことが大好きなんだから!』

『アエラス!キモいは駄目よ。でも、番様!王様は番様を嫌ったりしないわ!私たちだって、大好きよ』

 でも、それは私が番だからですよね。
私が番でなければ、こんな風には言ってもらえない・・・


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