拝啓、婚約者様。婚約破棄していただきありがとうございます〜破棄を破棄?ご冗談は顔だけにしてください〜

みおな

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紹介されたのは

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 お兄様が私の新たな婚約者候補を連れて来たのは、前回の皇太子殿下の来訪から二週間後でした。

 私はこの時ほど、兄の行動力と交友関係の広さに驚いたことはありません。

 この人ほんとに、子爵令息?

「あ、あの・・・お兄様」

「ミリムも、会ったことはなくても名前くらいは知っているな?辺境伯ユリウス・グラナード閣下だ。閣下、妹のミリムです」

「お目にかかれて光栄です。アデライン子爵が娘、ミリムです」

 我がヴァルフリーデ王国で、辺境伯家は公爵家と侯爵家の間の地位だと言われています。

 その辺境伯グラナード家のご当主、ユリウス・グラナード様。

 紺碧色の髪を襟足で束ね、軍服を着ていらっしゃいます。

 髪と同じ色の瞳が鋭いからでしょう。

 噂では、氷の辺境伯様と呼ばれているそうです。

 というか、お兄様?
皇太子殿下の次がどうして辺境伯ご当主なの?

 私にそんなにアデライン子爵家を継がせたくないの?

 辺境伯様は、お兄様と同い年だったかしら。
 でも、ご当主をお継ぎになったのにご結婚されていなかったのね。

 でも辺境伯様だし、このご容姿だもの。
 婚約者がいるのではないかしら?

 いえ。
お兄様が婚約者がいらっしゃる方を、私に紹介しようとするわけがないわよね。

「お初にお目にかかる。ユリウス・グラナードだ」

 高位貴族の方々って・・・
男の方でも皆さまとても容姿の整った方ばかりなのね。

 デルモンド様も容姿は優れていらっしゃったし。

 私・・・こんなに綺麗な男の人、初めて見たわ。

 うちはお兄様が美形だから、見慣れていると思っていたけど、中身は腹黒でも見た目は優しげな風貌のお兄様と違って、辺境伯様は名工が作られたお人形みたい。

 そのあとは、三人でたわいもない話をしたのだけど・・・

「私はすでに、辺境伯家を継いでいることもある。できれば婚約期間は最短で、嫁いできてくれるとありがたい」

「と、嫁・・・え?」

「わかりました。両親と話しておきましょう。ただ、嫁入り修行が出来ていませんが」

「かまわない。嫁いで来てから、使用人に教わってくれれば良い。私もできる限り教えるとしよう」

 え?あれ?ちょ、ちょっと待って下さい。

 婚約すること、決定です?
というか、婚約期間は最短で嫁ぐことが決定?

 確かに子爵家の我が家が、辺境伯家にお断りしたり異論を唱えたりすることは出来ません。

 普通なら。

 でもお兄様は、普通じゃありませんよね?
 隣国の皇太子殿下の申し出を、あっさり拒否しましたよね?

 え?

 私、女子爵になるんじゃなくて、辺境伯夫人になるんですか?



 
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