拝啓、婚約者様。婚約破棄していただきありがとうございます〜破棄を破棄?ご冗談は顔だけにしてください〜

みおな

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幸せな時間を〜本編完結〜

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「ありがとうございます。ムースなら食べやすいとお母様から勧められましたの」

 バーバラ様はそう言って、私の前に綺麗なエメラルドグリーンのムースを置かれました。

「綺麗な色・・・」

「味も爽やかでさっぱりしているんですよ」

 最近、食欲の落ちた私のために、バーバラ様は少しでも食べやすいものを色々と作ってきてくださるようになりました。

 ありがたいことですわ。

 グラナード辺境伯家のシェフも、色々と工夫してくれるのですが、バーバラ様のお母様が教えてくださり、バーバラ様が手作りしてくださるお菓子は口当たりも良く食べやすいのです。

「少しでもお食事も召し上がって下さいね?柑橘系のさっぱりしたソースを使うと良いと母が言っていました」

「シェフに伝えておきます」

「果物や、炭酸水なども良いとか。ミリム様が食べたいと思われるものを少しでも摂るのが良いそうです」

 バーバラ様の言葉をメリアがメモに取っています。
 何だか面倒をかけて申し訳ないわ。

「明日は、ゼリーにしますね」

「毎日申し訳ないですわ。うちのシェフに作らせますから、あまりご無理なさらないで」

「いえ!是非私に作らせて下さい。私、今とてもやりがいを感じていますの」

 そう言ってくださるなら、お願いしたいですけれど。

 バーバラ様が作ってくださるデザートは、女性目線のせいなのか、比較的食べやすいのですわ。

「ミリム・・・っと、ゴーマン伯爵令嬢、いらしていたのか」

 軽いノックの後、ユリウス様がお部屋に入っていらっしゃいました。

「お仕事は終わられましたの?」

「少し、休憩だ。ああ。今日もお菓子を持って来てくれたのか。いつもありがとう」

「いえ!少しでもお役に立てているのなら、良かったです」

 現在、私は妊娠七週目で悪阻で食が細くなっています。

 それを心配したゴーマン前伯爵夫人が、色々とアドバイスをくださるのです。

 ユリウス様のお母様はお亡くなりになっておりますし、私のお母様も、兄となった元デルモンド侯爵子息の婚約者選びで忙しいのですわ。

 悪阻は病気ではありませんもの。
いずれは終わるものですから、私がお母様に来なくて良いと伝えましたの。

 デルモンド侯爵家嫡男でいらした時に婚約者はいらっしゃったそうです。

 ですが、弟様の例の婚約破棄騒動のことをお知りになった婚約者様から、解消も求められたそうで・・・

 ご本人の罪でも何でもありませんのに。
 
 現在はアデライン子爵子息になられたましたので、大量の釣書が届いているそうです。

 婚約解消の件で、ご自身に自信がなくなってしまったようで、お母様に一任されているとか。

 なので、出産の時には来ていただきますけど、今はお断りしましたの。

 まだ膨らみのないお腹をそっと撫でます。

 お父様とお母様を事故で亡くされ、ずっとお一人で頑張ってこられたユリウス様に、家族を作ってあげられますのね。

 そう考えると、悪阻も悪くありませんわ。

 元婚約者様には、このことだけは感謝しますわ。
 あの方が愚かにも婚約破棄をしてくださったから、ユリウス様と出会うことができました。

「ユリウス様、幸せですわ」

 きっと、明日も一週間先も一年先も、そう言える自信があります。

 私はにっこりと微笑みました。


*****end******


 これにて本編完結です。
この後、二人の子供の話や、お兄様の結婚、セシリア嬢の話など番外編が数話続きます。
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