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闇魔法と聖なる力
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やばいっ!!
焦っていて、反応が遅れる。礫が私たちに届く寸前ー
「宵闇の障壁!」
低い声が響き、私たちの周囲を、薄い膜が覆った。
その、薄い膜に触れると、礫はあっさりと消滅していく。
黒髪の長身が、実技場の入口に現れていた。
「レティシア!!」
「シオン様!」
駆け寄ったシオン様が、私の肩に触れる。
うわーん、怖かったよーって抱きつきたいけど、ドラゴンから目が離せない。
「あ、兄上?え?兄上がなぜ、ここに・・・」
レインハルト王子が、立ち上がれないまま、シオン様を凝視している。
あ。まずった。王子いたんだった。
「仮にも、王族とあろうものが、地べたに這いつくばるとは。立て。レインハルト!」
「兄上・・・」
「情けなくはないのか?ご令嬢方が、あれほどの恐怖に、立ち向かっているというのに!」
あー、シオン様、厳しい。やっぱり、彼は、王太子として厳しく教育を受けてきたんだろう。
7歳も年下だし、第2王子は甘やかされて育ったんだろうなぁ。
シオン様と、レインハルト王子の方を気にしながら、私は、ルティシアに近づいた。
額から汗がポタポタ落ちている。
まずい、魔力が枯渇し始めている。
「ルティシア!落ち着いて!一旦、術を編み上げるのをやめなさい!」
「・・・」
「・・・くっ・・」
私の声が、聞こえていないのか、ルティシアの伸ばされた両手の先で、魔力が編み上げられては消えていく。
実力行使で止めようと、手を伸ばそうとした私の横から、手が伸びてくる。
クロードが後ろから、ルティシアを抱き留めた。
伸ばした腕を、上から抱きとめると、編み上げられていた魔力が、クロードに移り、彼が苦悶の声をあげる。
その声に、ようやく、ルティシアが腕を下ろした。
「クロード・・・さま・・・」
焦点の合ってない目で、クロードの腕の中、ルティシアがくたり、ともたれかかる。
まずいな。今のルティシアには、もうほとんど魔力がない。
クロードと、レインハルト王子を戦力にはできないし、私も、まだ魔力はあるが、氷の魔力では、あのドラゴンには力及ばないことは、目に見えて明らかだ。
唯一の勝機は、シオン様の闇魔法。
闇魔法も、光と同じで、稀少な魔力だ。ルティシアと同じように、突発的に使い手が生まれる。
「シオン様、何か手はありますか?」
ルティシアを、クロードに任せて、私はシオン様の隣まで下がった。
あら、レインハルト王子が立ってる。
「レティシア!なぜ、兄上を名前で呼んでいるのだ!」
馬鹿なのかしら?何で、この状況で、それ言うの?
はぁぁ、と大きくため息をついた。なんかもう、繕う気にもならないわ。
「な、な、なんだ!その、馬鹿にしたような態度は!!」
「よくこの状況で、そんなこと言う気になれますね。ある意味、尊敬します」
「そ、そうか」
「嫌味です」
「!!」
馬鹿の相手をしている場合ではないわ。
シオン様は、ドラゴンから視線を外さないまま、その綺麗な眉間にシワを寄せる。
「倒すことなら、できるかもしれないが」
「勝機は?」
「7割程度だな」
7割か。いや、あのドラゴン相手に7割って、凄いことだけど。
仕方ない。できるなら、倒さずに正気に戻って欲しかったけど、このままでは全滅コースだ。
「みんなの防御は、私が」
「わかった。任せる」
シオン様の言葉に、クロードへと視線を向けると、ルティシアを支えたまま、うなづいてくる。レインハルト王子は・・・私とシオン様を睨んでいるけど、まぁ、彼は放置で。
「現れたまえ!水流の絶壁」
私たちを中心に、ドーム型で氷の氷壁が現れる。
私の防御魔法を確認して、シオン様は組んでいた魔法を解除した。
そして、防御魔法の外へと、足を進める。
グァァァァァ!!
ドラゴンが、シオン様を敵と認め、咆哮をあげる。
「深闇の浸食」
シオン様が、静かに言葉を紡ぐと、ドラゴンを中心に、闇が渦巻き始める。
すごい。
闇が、ドラゴンを包み込んで覆っていく。
いつしか、ドラゴンは、全身を闇に覆われていた。
勝った?
息をつこうとした、その時ー
ビシッと亀裂の入る音が響いた!
闇が、紙切れのように、ポロポロと剥がれ落ちていく。
グォォォォォ!!!
怒り狂った咆哮をあげ、ドラゴンがシオン様を狙って、降下してくる。
「やめてーーーっ!!」
何も、考えられないまま、シオン様の前へと飛び出した。
両手を広げたまま、シオン様とドラゴンの間に立ち塞がる。
その、瞬間ー
私の身体から、眩い光が溢れ出た。
焦っていて、反応が遅れる。礫が私たちに届く寸前ー
「宵闇の障壁!」
低い声が響き、私たちの周囲を、薄い膜が覆った。
その、薄い膜に触れると、礫はあっさりと消滅していく。
黒髪の長身が、実技場の入口に現れていた。
「レティシア!!」
「シオン様!」
駆け寄ったシオン様が、私の肩に触れる。
うわーん、怖かったよーって抱きつきたいけど、ドラゴンから目が離せない。
「あ、兄上?え?兄上がなぜ、ここに・・・」
レインハルト王子が、立ち上がれないまま、シオン様を凝視している。
あ。まずった。王子いたんだった。
「仮にも、王族とあろうものが、地べたに這いつくばるとは。立て。レインハルト!」
「兄上・・・」
「情けなくはないのか?ご令嬢方が、あれほどの恐怖に、立ち向かっているというのに!」
あー、シオン様、厳しい。やっぱり、彼は、王太子として厳しく教育を受けてきたんだろう。
7歳も年下だし、第2王子は甘やかされて育ったんだろうなぁ。
シオン様と、レインハルト王子の方を気にしながら、私は、ルティシアに近づいた。
額から汗がポタポタ落ちている。
まずい、魔力が枯渇し始めている。
「ルティシア!落ち着いて!一旦、術を編み上げるのをやめなさい!」
「・・・」
「・・・くっ・・」
私の声が、聞こえていないのか、ルティシアの伸ばされた両手の先で、魔力が編み上げられては消えていく。
実力行使で止めようと、手を伸ばそうとした私の横から、手が伸びてくる。
クロードが後ろから、ルティシアを抱き留めた。
伸ばした腕を、上から抱きとめると、編み上げられていた魔力が、クロードに移り、彼が苦悶の声をあげる。
その声に、ようやく、ルティシアが腕を下ろした。
「クロード・・・さま・・・」
焦点の合ってない目で、クロードの腕の中、ルティシアがくたり、ともたれかかる。
まずいな。今のルティシアには、もうほとんど魔力がない。
クロードと、レインハルト王子を戦力にはできないし、私も、まだ魔力はあるが、氷の魔力では、あのドラゴンには力及ばないことは、目に見えて明らかだ。
唯一の勝機は、シオン様の闇魔法。
闇魔法も、光と同じで、稀少な魔力だ。ルティシアと同じように、突発的に使い手が生まれる。
「シオン様、何か手はありますか?」
ルティシアを、クロードに任せて、私はシオン様の隣まで下がった。
あら、レインハルト王子が立ってる。
「レティシア!なぜ、兄上を名前で呼んでいるのだ!」
馬鹿なのかしら?何で、この状況で、それ言うの?
はぁぁ、と大きくため息をついた。なんかもう、繕う気にもならないわ。
「な、な、なんだ!その、馬鹿にしたような態度は!!」
「よくこの状況で、そんなこと言う気になれますね。ある意味、尊敬します」
「そ、そうか」
「嫌味です」
「!!」
馬鹿の相手をしている場合ではないわ。
シオン様は、ドラゴンから視線を外さないまま、その綺麗な眉間にシワを寄せる。
「倒すことなら、できるかもしれないが」
「勝機は?」
「7割程度だな」
7割か。いや、あのドラゴン相手に7割って、凄いことだけど。
仕方ない。できるなら、倒さずに正気に戻って欲しかったけど、このままでは全滅コースだ。
「みんなの防御は、私が」
「わかった。任せる」
シオン様の言葉に、クロードへと視線を向けると、ルティシアを支えたまま、うなづいてくる。レインハルト王子は・・・私とシオン様を睨んでいるけど、まぁ、彼は放置で。
「現れたまえ!水流の絶壁」
私たちを中心に、ドーム型で氷の氷壁が現れる。
私の防御魔法を確認して、シオン様は組んでいた魔法を解除した。
そして、防御魔法の外へと、足を進める。
グァァァァァ!!
ドラゴンが、シオン様を敵と認め、咆哮をあげる。
「深闇の浸食」
シオン様が、静かに言葉を紡ぐと、ドラゴンを中心に、闇が渦巻き始める。
すごい。
闇が、ドラゴンを包み込んで覆っていく。
いつしか、ドラゴンは、全身を闇に覆われていた。
勝った?
息をつこうとした、その時ー
ビシッと亀裂の入る音が響いた!
闇が、紙切れのように、ポロポロと剥がれ落ちていく。
グォォォォォ!!!
怒り狂った咆哮をあげ、ドラゴンがシオン様を狙って、降下してくる。
「やめてーーーっ!!」
何も、考えられないまま、シオン様の前へと飛び出した。
両手を広げたまま、シオン様とドラゴンの間に立ち塞がる。
その、瞬間ー
私の身体から、眩い光が溢れ出た。
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