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心配性と結末
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意識を取り戻して、3日経った。
私は、王太后様の離宮を訪れている。
お風呂と、ご不浄以外、片時も私から離れようとしないシオン様は、私が意識を失っていた10日間の仕事が、おそろしく溜まっているらしく、キース様にズルズルと引きずられて行った。
私も、一緒に連れて行かれそうになったけど、全力でご辞退した。
不満と、顔一面に書いてたシオン様だけど、王太后様の離宮に行くなら、という条件で、私を解放してくれた。
心配してくれてるのは、嬉しいけど、寮に戻ることも、学園に通うことも許してもらえない。
あんまり、長く休んだら、勉強ついていけなくなりそうで、不安なんだけど。
大型犬が、耳をペタンと伏せて、しゅんとしたような顔されると、とてもじゃないけど、強く言えない。
昨日、ルティシアが、クロードと共に顔を見せに来てくれた。
自分が不甲斐ないばっかりにと、泣くルティシアだったけど、私はそんなことはないと思う。
あの時、ドラゴンに立ち向かえていたのは、シオン様だけだ。
ろくに制御も学べていないルティシアが、必死に魔力を編んでいたことを、私は知っている。
その、ルティシアを責めたりするわけがない。
私が意識を失ってしまったのは、私の行動の結果であり、ルティシアには何の罪もない。
ルティシアたちは、1ヶ月後にある学期末試験の話や、授業の話を少しして、帰って行った。
帰り際に、ルティシアが、
「早く、お義兄さんの許可取って、学園に戻ってきてね」
と言っていた。今日、シオン様が戻ってきたら、もう一度お願いしてみよう。
そういえば、ルティシアに婚姻の話をしたと言っていたっけ。
お義兄さんか・・・なんか不思議な響きだわ。
「レティシア、身体の具合は平気かしら?」
「はい。お気遣いありがとうございます」
王太后様の言葉に、私はにっこりとうなづき返す。
10日も眠っていたため、少しふらつきがあったが、それもここ3日のうちに、だいぶ治まった。
うなづいた私に、王太后様は、少し躊躇したあと、あの日の結末を話始めた。
「あなたは、あの日、自分が意識を失ったことは、自分の責任であり、自分が選んだ結末だと言ったわね?」
「はい」
「だから・・・わたくしが今から伝えることは、あの子の責任であり、あの子自身が選んだ結末だと理解してちょうだい」
あの子・・・誰のことだろう?
「あの子は・・・レインハルトは、先日・・・処刑されました」
「!?」
何を言っているのか、理解できない。
心臓の音が、痛いほど鳴り、ヒューヒューと耳障りな音が聞こえる。
「レティシア!」
「ひゅっ・・・っ、ひゅっ」
シオン様の声が聞こえる気がする。
王太后様といたはずなのに。
「レティシア!聞こえるか?」
ああ、やっぱりシオン様の声が聞こえる。だけど、目の前が、真っ暗で、何も見えない。
「くそっ!レティシア、ごめんっ」
「ひゅっ・・・っ、んっ!んんっ!」
口の中に、何か温かいものが入ってくる。
口内を蹂躙され、完全に息が出来なくなる。
「っ、ゲホッ、ゲホッ」
酸素が欲しくて、塞がれたものが離れた瞬間、深く吸ってしまい、咳きこんだ。
「ゆっくりと吸うんだ」
唇を離し、シオン様は、私の背中を、そっと撫でてくれる。
ようやく、周りの景色が、呼吸と共に戻ってくる。
心配そうな表情の、シオン様と、王太后様が見えた。
「大丈夫・・・です」
「ごめんなさい、レティシア。わたくしの配慮が足りなかったわ」
王太后様の言葉に、静かに首を振る。
隠し通せることではない。
学園に戻れば、いや、このまま王宮にいれば、いつかは耳に入る。
そのあと、私は、シオン様と王太后様から、何故レインハルト様が断罪されることになったのか、説明を受けた。
私はー
彼を好きではなかった。
記憶にあるゲームの中とは違い、しつこくて、自分勝手で・・・
けれど、まだ13歳だった彼は、もしかしたら何年か後、第2王子にふさわしい人間になったかもしれない。
シオン様を支えて、王族として、立派に責務を果たす、そんな未来があったかもしれない。
だけど、そんな未来は、永遠に失われてしまった。
私の頬に、一粒の涙が溢れた。
私は、王太后様の離宮を訪れている。
お風呂と、ご不浄以外、片時も私から離れようとしないシオン様は、私が意識を失っていた10日間の仕事が、おそろしく溜まっているらしく、キース様にズルズルと引きずられて行った。
私も、一緒に連れて行かれそうになったけど、全力でご辞退した。
不満と、顔一面に書いてたシオン様だけど、王太后様の離宮に行くなら、という条件で、私を解放してくれた。
心配してくれてるのは、嬉しいけど、寮に戻ることも、学園に通うことも許してもらえない。
あんまり、長く休んだら、勉強ついていけなくなりそうで、不安なんだけど。
大型犬が、耳をペタンと伏せて、しゅんとしたような顔されると、とてもじゃないけど、強く言えない。
昨日、ルティシアが、クロードと共に顔を見せに来てくれた。
自分が不甲斐ないばっかりにと、泣くルティシアだったけど、私はそんなことはないと思う。
あの時、ドラゴンに立ち向かえていたのは、シオン様だけだ。
ろくに制御も学べていないルティシアが、必死に魔力を編んでいたことを、私は知っている。
その、ルティシアを責めたりするわけがない。
私が意識を失ってしまったのは、私の行動の結果であり、ルティシアには何の罪もない。
ルティシアたちは、1ヶ月後にある学期末試験の話や、授業の話を少しして、帰って行った。
帰り際に、ルティシアが、
「早く、お義兄さんの許可取って、学園に戻ってきてね」
と言っていた。今日、シオン様が戻ってきたら、もう一度お願いしてみよう。
そういえば、ルティシアに婚姻の話をしたと言っていたっけ。
お義兄さんか・・・なんか不思議な響きだわ。
「レティシア、身体の具合は平気かしら?」
「はい。お気遣いありがとうございます」
王太后様の言葉に、私はにっこりとうなづき返す。
10日も眠っていたため、少しふらつきがあったが、それもここ3日のうちに、だいぶ治まった。
うなづいた私に、王太后様は、少し躊躇したあと、あの日の結末を話始めた。
「あなたは、あの日、自分が意識を失ったことは、自分の責任であり、自分が選んだ結末だと言ったわね?」
「はい」
「だから・・・わたくしが今から伝えることは、あの子の責任であり、あの子自身が選んだ結末だと理解してちょうだい」
あの子・・・誰のことだろう?
「あの子は・・・レインハルトは、先日・・・処刑されました」
「!?」
何を言っているのか、理解できない。
心臓の音が、痛いほど鳴り、ヒューヒューと耳障りな音が聞こえる。
「レティシア!」
「ひゅっ・・・っ、ひゅっ」
シオン様の声が聞こえる気がする。
王太后様といたはずなのに。
「レティシア!聞こえるか?」
ああ、やっぱりシオン様の声が聞こえる。だけど、目の前が、真っ暗で、何も見えない。
「くそっ!レティシア、ごめんっ」
「ひゅっ・・・っ、んっ!んんっ!」
口の中に、何か温かいものが入ってくる。
口内を蹂躙され、完全に息が出来なくなる。
「っ、ゲホッ、ゲホッ」
酸素が欲しくて、塞がれたものが離れた瞬間、深く吸ってしまい、咳きこんだ。
「ゆっくりと吸うんだ」
唇を離し、シオン様は、私の背中を、そっと撫でてくれる。
ようやく、周りの景色が、呼吸と共に戻ってくる。
心配そうな表情の、シオン様と、王太后様が見えた。
「大丈夫・・・です」
「ごめんなさい、レティシア。わたくしの配慮が足りなかったわ」
王太后様の言葉に、静かに首を振る。
隠し通せることではない。
学園に戻れば、いや、このまま王宮にいれば、いつかは耳に入る。
そのあと、私は、シオン様と王太后様から、何故レインハルト様が断罪されることになったのか、説明を受けた。
私はー
彼を好きではなかった。
記憶にあるゲームの中とは違い、しつこくて、自分勝手で・・・
けれど、まだ13歳だった彼は、もしかしたら何年か後、第2王子にふさわしい人間になったかもしれない。
シオン様を支えて、王族として、立派に責務を果たす、そんな未来があったかもしれない。
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