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記憶を戻す必要はありません
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「レティシア嬢、本当に申し訳なかった」
ルティシアと共に王宮を訪れた私は、ルティシアをシオン様とレインハルト様に任せて、国王陛下に謁見している。
ルティシアは、ものすごく抵抗していたけど、レインハルト様にクロードを呼んで貰っていたので、私は何とか1人でお会いすることが出来た。
ルティシアは、クロードに懐いている。まぁ、同い年で幼なじみを懐くと言うのも変だけど。
「陛下、滅相もありません」
一国の主である国王陛下に、謝罪していただくことなどない。でも、子供である私にすら、謝って下さる懐の大きさが、国王陛下の人間としての大きさなのよね。
「私からも、謝罪をー」
オーウェン侯爵が、私の前へと歩み出る。
「愚息たちのせいで、レティシア嬢には迷惑をおかけした。申し訳なかった」
深々と頭を下げてくる。
あの日、私が時魔法を使った時、オーウェン侯爵は、レインハルト様の進言により、防御の魔道具を身につけていたそうだ。つまり、前回を覚えているのである。
「・・・」
私は、肯定も否定もできなかった。
あの時、罪を犯したのは、クラウス、クラウド兄弟であり、オーウェン侯爵ではない。
だけど、父親である彼が、もっとちゃんと息子たちを見ていたら、ルティシアとクロードが、その命を落とすことはなかったのだ。
私は、偽善者ではない。そんなことはない、誰も悪くないなどと言うことはできない。
「今日、来てもらったのは、シオンのことだ。シオンの付けていた魔法具に傷があった。どうやら、そのせいで、記憶が混在しているようだ」
国王陛下の言葉のあとを、オーウェン侯爵が続ける。
「今回は、レティシア嬢やルティシア嬢の容姿に変化が現れているせいで、シオン王太子殿下は、ルティシア嬢の瞳の中に、レティシア嬢を探しているのだと思われます」
ああ!
私は、ルティシアが言っていた「私を見ていない」という言葉の意味を、理解した。
シオン様は、かつての『私』の瞳を探しているんだ。
私と、ルティシアは双子だ。髪と瞳の色を除けば、容姿はそっくりなのだ。
シオン様が、ルティシアの中に私を探すのは、当然なのかもしれないー
「魔道具の修理は終わっております。あとは、レティシア嬢にもう一度、魔法を行使して頂ければ、王太子殿下は『戻って』来られると思われます」
私が、『時魔法』を使えば、私を愛してくれたシオン様が戻ってくるー
だけど、私は首を左右に振った。
「時魔法は未知数です。私たちの容姿が変わったように、何が起こるかわかりません。次は、『私が』シオン様を忘れるかもしれない・・・」
そう、何ひとつ、絶対はない。
次は私がシオン様を忘れ、そしてまた、私を愛してくれているシオン様を傷つけてしまうかもしれないのだ。
「陛下、お心遣いありがとうございます。ですが、どうか、このままで」
「しかし、シオンはこのまま、思い出さぬかもしれぬ」
国王陛下の言葉にも、私は首を左右に振る。
そう、思い出さないだろう。だけど。
「陛下。ルティシアが、シオン様を愛し、シオン様がルティシアを望むなら、どうか、シオン様のお妃様候補に、ルティシアをお願いします」
「いや、それは・・・」
「陛下。お願いします」
私が、ゆっくりと頭を下げると、国王陛下は、渋々、本当に渋々という感じで、わかったと言って下さった。
そのまま、ルティシアたちのもとへ戻った私は、私が辞したあと、謁見の間で発せられた陛下の言葉を知らない。
「オーウェン。なんとしてもシオンの記憶を戻せ。少々、手荒になっても構わん」
ルティシアと共に王宮を訪れた私は、ルティシアをシオン様とレインハルト様に任せて、国王陛下に謁見している。
ルティシアは、ものすごく抵抗していたけど、レインハルト様にクロードを呼んで貰っていたので、私は何とか1人でお会いすることが出来た。
ルティシアは、クロードに懐いている。まぁ、同い年で幼なじみを懐くと言うのも変だけど。
「陛下、滅相もありません」
一国の主である国王陛下に、謝罪していただくことなどない。でも、子供である私にすら、謝って下さる懐の大きさが、国王陛下の人間としての大きさなのよね。
「私からも、謝罪をー」
オーウェン侯爵が、私の前へと歩み出る。
「愚息たちのせいで、レティシア嬢には迷惑をおかけした。申し訳なかった」
深々と頭を下げてくる。
あの日、私が時魔法を使った時、オーウェン侯爵は、レインハルト様の進言により、防御の魔道具を身につけていたそうだ。つまり、前回を覚えているのである。
「・・・」
私は、肯定も否定もできなかった。
あの時、罪を犯したのは、クラウス、クラウド兄弟であり、オーウェン侯爵ではない。
だけど、父親である彼が、もっとちゃんと息子たちを見ていたら、ルティシアとクロードが、その命を落とすことはなかったのだ。
私は、偽善者ではない。そんなことはない、誰も悪くないなどと言うことはできない。
「今日、来てもらったのは、シオンのことだ。シオンの付けていた魔法具に傷があった。どうやら、そのせいで、記憶が混在しているようだ」
国王陛下の言葉のあとを、オーウェン侯爵が続ける。
「今回は、レティシア嬢やルティシア嬢の容姿に変化が現れているせいで、シオン王太子殿下は、ルティシア嬢の瞳の中に、レティシア嬢を探しているのだと思われます」
ああ!
私は、ルティシアが言っていた「私を見ていない」という言葉の意味を、理解した。
シオン様は、かつての『私』の瞳を探しているんだ。
私と、ルティシアは双子だ。髪と瞳の色を除けば、容姿はそっくりなのだ。
シオン様が、ルティシアの中に私を探すのは、当然なのかもしれないー
「魔道具の修理は終わっております。あとは、レティシア嬢にもう一度、魔法を行使して頂ければ、王太子殿下は『戻って』来られると思われます」
私が、『時魔法』を使えば、私を愛してくれたシオン様が戻ってくるー
だけど、私は首を左右に振った。
「時魔法は未知数です。私たちの容姿が変わったように、何が起こるかわかりません。次は、『私が』シオン様を忘れるかもしれない・・・」
そう、何ひとつ、絶対はない。
次は私がシオン様を忘れ、そしてまた、私を愛してくれているシオン様を傷つけてしまうかもしれないのだ。
「陛下、お心遣いありがとうございます。ですが、どうか、このままで」
「しかし、シオンはこのまま、思い出さぬかもしれぬ」
国王陛下の言葉にも、私は首を左右に振る。
そう、思い出さないだろう。だけど。
「陛下。ルティシアが、シオン様を愛し、シオン様がルティシアを望むなら、どうか、シオン様のお妃様候補に、ルティシアをお願いします」
「いや、それは・・・」
「陛下。お願いします」
私が、ゆっくりと頭を下げると、国王陛下は、渋々、本当に渋々という感じで、わかったと言って下さった。
そのまま、ルティシアたちのもとへ戻った私は、私が辞したあと、謁見の間で発せられた陛下の言葉を知らない。
「オーウェン。なんとしてもシオンの記憶を戻せ。少々、手荒になっても構わん」
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