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第三十九話
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どこをどうやったら、こんなご両親から常識あるご子息が育つのかしら?
ああ、でも王族も、あのご両親から第一王子殿下と第二王子殿下がマトモに育ってますわね。
ということは、親の教育は関係ないということかしら。
その日、ご両親を連れて帰られたブレンディ侯爵令息ですが、翌日に再び謝罪に訪れました。
「昨日は両親が本当に、申し訳ございませんでした。融資を取り止めたいお気持ちは理解しますが、どうか領民のためにお力をお貸しください」
彼って、私の五歳年下ですわよね?
なんてご立派なのかしら。ブレンディ侯爵様やイーサン様に、爪の垢を煎じて飲ませたらいかがかしら。
でも、ちょうど良かったですわ。
彼だけをどうやって呼び出そうかと、悩んでいましたのよ。
「謝罪は受け取りますわ、ジェレミー様。ちょうどお話したいことがございましたの。よろしいかしら?」
「はい、カリスタ伯爵令嬢様」
「ミリア。お母様をお呼びして」
昨日は侯爵ご夫妻がいらしたから話せなかったけれど、ジェレミー様にはお願いがありますの。
お父様は今日はお出かけなさっていますけど、ご本人の気持ちもありますし、早めに確認しておきたいので、この機会は逃せませんわ。
すぐにお母様は応接室にいらっしゃいました。
お母様は別のお客様のお相手をされていましたの。
なので、私がジェレミー様のお相手をしていたのです。
「お母様、お客様は」
「問題ないわ。納得の上でお帰りいただいたから。それよりもジェレミーくんとお呼びしても良いかしら?」
「もちろんです、カリスタ伯爵夫人」
「ありがとう。では改めて、ブレンディ侯爵令息ジェレミーくん、ご機嫌よう。失礼を承知で言うけれど・・・血は繋がっているのよね?」
お母様、失礼ですわ。
お気持ちは痛いほど分かりますけど。
ブレンディ侯爵家の、唯一の常識という感じですものね。
使用人の方はどうなのかしら?
あと、親戚の方々は?
苦笑いされたジェレミー様ですが、しっかりと頷かれました。
「残念ですが正真正銘、父と母の息子です。兄とも血が繋がっております」
「本当に残念ね。親戚の方々は、ジェレミーくんから見てどうかしら?ブレンディ侯爵家は分家が五つだったわね」
ブレンディ侯爵家の親戚は、全部で五家。
先代様のご兄弟ばかりですわ。
先代様はお子様が現当主様しかいらっしゃらなくて、しかも遅くに出来たお子様だったのだそうです。
少し気の弱いところのあるご子息に爵位を譲るべきか迷ってらして、結局お亡くなりになるまで爵位は先代様が持ったままだったそうです。
ご立派な方だったそうですが、もっと早く爵位を譲って、監督するべきでしたわね。
ああ、でも王族も、あのご両親から第一王子殿下と第二王子殿下がマトモに育ってますわね。
ということは、親の教育は関係ないということかしら。
その日、ご両親を連れて帰られたブレンディ侯爵令息ですが、翌日に再び謝罪に訪れました。
「昨日は両親が本当に、申し訳ございませんでした。融資を取り止めたいお気持ちは理解しますが、どうか領民のためにお力をお貸しください」
彼って、私の五歳年下ですわよね?
なんてご立派なのかしら。ブレンディ侯爵様やイーサン様に、爪の垢を煎じて飲ませたらいかがかしら。
でも、ちょうど良かったですわ。
彼だけをどうやって呼び出そうかと、悩んでいましたのよ。
「謝罪は受け取りますわ、ジェレミー様。ちょうどお話したいことがございましたの。よろしいかしら?」
「はい、カリスタ伯爵令嬢様」
「ミリア。お母様をお呼びして」
昨日は侯爵ご夫妻がいらしたから話せなかったけれど、ジェレミー様にはお願いがありますの。
お父様は今日はお出かけなさっていますけど、ご本人の気持ちもありますし、早めに確認しておきたいので、この機会は逃せませんわ。
すぐにお母様は応接室にいらっしゃいました。
お母様は別のお客様のお相手をされていましたの。
なので、私がジェレミー様のお相手をしていたのです。
「お母様、お客様は」
「問題ないわ。納得の上でお帰りいただいたから。それよりもジェレミーくんとお呼びしても良いかしら?」
「もちろんです、カリスタ伯爵夫人」
「ありがとう。では改めて、ブレンディ侯爵令息ジェレミーくん、ご機嫌よう。失礼を承知で言うけれど・・・血は繋がっているのよね?」
お母様、失礼ですわ。
お気持ちは痛いほど分かりますけど。
ブレンディ侯爵家の、唯一の常識という感じですものね。
使用人の方はどうなのかしら?
あと、親戚の方々は?
苦笑いされたジェレミー様ですが、しっかりと頷かれました。
「残念ですが正真正銘、父と母の息子です。兄とも血が繋がっております」
「本当に残念ね。親戚の方々は、ジェレミーくんから見てどうかしら?ブレンディ侯爵家は分家が五つだったわね」
ブレンディ侯爵家の親戚は、全部で五家。
先代様のご兄弟ばかりですわ。
先代様はお子様が現当主様しかいらっしゃらなくて、しかも遅くに出来たお子様だったのだそうです。
少し気の弱いところのあるご子息に爵位を譲るべきか迷ってらして、結局お亡くなりになるまで爵位は先代様が持ったままだったそうです。
ご立派な方だったそうですが、もっと早く爵位を譲って、監督するべきでしたわね。
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