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モブ、怒る。
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「は?婚約者?」
ヴェルハルトが、キョトンとした顔をする。
婚約者がいないと思ったから、多分ちょっかいかけて来てたんだろうなぁ。
この国では、婚約すると相手の髪か瞳の色の装飾品を必ず身につけるという習わしがあるので、私がそれらしき物を付けてないから、嘘だと思ったみたいだ。
さすがに、昨日の今日で、装飾品は準備出来てないだけなんだけど。
「そんな嘘を付かなくても・・・」
「嘘ではありません。今日、両親が国王陛下に婚約の許可証をいただきに行っています。装飾品はまだ何にするか相談している最中なんです」
「だ、誰と?」
そんなこと、ヴェルハルトには関係ないって言ってやりたい。
ゔゔっ。身分差がなければ、はっきり言ってやるのに。
「私の専属侍従です」
「は?侍従?冗談が上手いな、アイル嬢は。伯爵令嬢が侍従と婚約?」
あ。
何か、ムカッときた。
侍従の何が悪いっていうの。
お父様もお母様も、身分なんか気にしなくていいって言ってくれてるし、私だって別に貴族にこだわってない。
というか、むしろ平民の生活の方が気楽でいい。
それに、シキはヴェルハルトに負けず劣らずのイケメンだし、ヴェルハルトみたいな節操なしじゃないし、私に優しい・・・かどうかは微妙だけど、ちゃんと守ってくれるし、婚約したいって言ってくれたみたいだし。
大体、イレーヌという婚約者がいながら、他の女にちょっかい出すようなヤツに、シキのこと馬鹿にされたくないわよ。
「侍従の何が悪いと言われるんですか?私は、シキのことが好きだから、婚約したんです。父も母も、認めてくれています。シキは誠実な人です。少なくとも、婚約者がいながら、他の令嬢を名前で呼ぶようなことはしません!」
「え、あ、いや・・・」
「アイル様のおっしゃる通りですわ。殿下はわたくしが何も感じないとでも思っていらっしゃるのですか?そんなに他のご令嬢がよろしいなら、父に話して婚約を解消してもよろしいですわよ」
「は?イレーヌ、何を・・・」
私の作ったキャラのヴェルハルトは、もっと誠実で、ちゃんとした人間だったんだけど、どうやらこの世界のヴェルハルトは、馬鹿のようである。
ヴェルハルトが王太子でいられるのは、イレーヌのレジスタ公爵家の後ろ盾があるからだ。
それがなくなれば、王太子の座は弟か、もしくは従兄弟に奪われる可能性が出てくるというのに。
いや。あんなお馬鹿さんが、未来の国王になるくらいなら、いっそ婚約解消してもらって、王太子の座から転がり落ちた方がいいんじゃないだろうか。
ヴェルハルトが、キョトンとした顔をする。
婚約者がいないと思ったから、多分ちょっかいかけて来てたんだろうなぁ。
この国では、婚約すると相手の髪か瞳の色の装飾品を必ず身につけるという習わしがあるので、私がそれらしき物を付けてないから、嘘だと思ったみたいだ。
さすがに、昨日の今日で、装飾品は準備出来てないだけなんだけど。
「そんな嘘を付かなくても・・・」
「嘘ではありません。今日、両親が国王陛下に婚約の許可証をいただきに行っています。装飾品はまだ何にするか相談している最中なんです」
「だ、誰と?」
そんなこと、ヴェルハルトには関係ないって言ってやりたい。
ゔゔっ。身分差がなければ、はっきり言ってやるのに。
「私の専属侍従です」
「は?侍従?冗談が上手いな、アイル嬢は。伯爵令嬢が侍従と婚約?」
あ。
何か、ムカッときた。
侍従の何が悪いっていうの。
お父様もお母様も、身分なんか気にしなくていいって言ってくれてるし、私だって別に貴族にこだわってない。
というか、むしろ平民の生活の方が気楽でいい。
それに、シキはヴェルハルトに負けず劣らずのイケメンだし、ヴェルハルトみたいな節操なしじゃないし、私に優しい・・・かどうかは微妙だけど、ちゃんと守ってくれるし、婚約したいって言ってくれたみたいだし。
大体、イレーヌという婚約者がいながら、他の女にちょっかい出すようなヤツに、シキのこと馬鹿にされたくないわよ。
「侍従の何が悪いと言われるんですか?私は、シキのことが好きだから、婚約したんです。父も母も、認めてくれています。シキは誠実な人です。少なくとも、婚約者がいながら、他の令嬢を名前で呼ぶようなことはしません!」
「え、あ、いや・・・」
「アイル様のおっしゃる通りですわ。殿下はわたくしが何も感じないとでも思っていらっしゃるのですか?そんなに他のご令嬢がよろしいなら、父に話して婚約を解消してもよろしいですわよ」
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それがなくなれば、王太子の座は弟か、もしくは従兄弟に奪われる可能性が出てくるというのに。
いや。あんなお馬鹿さんが、未来の国王になるくらいなら、いっそ婚約解消してもらって、王太子の座から転がり落ちた方がいいんじゃないだろうか。
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