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何が間違いなのか〜王太子ランスロット視点〜
何度も、侍従から僕を諌める言葉が出た。
幼い頃から僕を支えてくれた侍従は、僕にとって兄にも等しい人だった。
だけど、その忠言すら僕は聞くことが出来なかった。
「殿下!貴方は王太子殿下。王族なのです。そして、婚約者がいることをお忘れですか!」
「分かっている。だが、どうしてもどうしても、チェリーが愛しいんだ。こんな気持ちでルチルと結婚など出来ない!」
「・・・婚姻後、一年待てば愛妾として召し上げることは出来ます。それまで、それまで節度ある距離をお保ち下さい」
彼の言うことは、正しい。
僕は国王の唯一の嫡子で、未来の国王。
だから、後ろ盾として公爵令嬢であるルチルとの婚約が成った。
だけど、チェリーと会って分かった。
僕は、ルチルのことを愛していない。
愛する女性と結ばれたい。
それはそんなに間違いなのか?
愛する女性を愛妾にだなんて。そんなこと、正しいことなのか?
だから、ルチルに告げた。
真実の愛を見つけたのだと。婚約を破棄させて欲しいと。
婚約破棄。
当人同士で唯一、婚約関係を無くせる方法。
父上や公爵が認めてくれるわけがないことは、分かっていた。
ルチルは素晴らしい女性だ。
優秀で、人望もあり、優しいが厳しいところもある。
未来の王太子妃、王妃として相応しい女性だから。
だからルチル本人に、破棄を望んだ。
「父を説得してくださるなら、破棄を飲みましょう」
やっぱり、ルチルは素晴らしい女性だ。
僕の気持ちを理解してくれた。
それに、ルチルが言った「婚約破棄された令嬢の行き先」には、僕も納得出来なかった。
五年も共にいたルチルが、修道院や後妻になるのは、心が痛む。
それにチェリーは男爵令嬢。
ルチルやクォーツ公爵が後ろ盾になってくれればと思った。
そう。
僕を愛してくれていたルチルなら、僕のためにチェリーを支えてくれると思ったんだ。
なのに、どうして・・・
どうしてルチルは、叔父上の婚約者に?
どうして僕は、父上に謹慎を言い渡されて、母上から毎日教育という名の指導を受けているんだ?
聞けば、チェリーもルチルの母親であるクォーツ公爵夫人から教育を受けているらしい。
らしいというのは、チェリーとは会わせてもらえないからだ。
「ランスロット、貴方自分が王太子という自覚はあるの?」
母上がため息混じりにそう尋ねてくる。
もちろんだ。だけど、愛する人と幸せになりたい。そう思うことは間違いなのか?
チェリーを、王太子妃になったチェリーをルチルが支えてくれれば、問題ないだろう?
なのに母上は、再びため息を吐いた。
「政略の意味も理解しない貴方に、王太子の資格があるのかしらね」
幼い頃から僕を支えてくれた侍従は、僕にとって兄にも等しい人だった。
だけど、その忠言すら僕は聞くことが出来なかった。
「殿下!貴方は王太子殿下。王族なのです。そして、婚約者がいることをお忘れですか!」
「分かっている。だが、どうしてもどうしても、チェリーが愛しいんだ。こんな気持ちでルチルと結婚など出来ない!」
「・・・婚姻後、一年待てば愛妾として召し上げることは出来ます。それまで、それまで節度ある距離をお保ち下さい」
彼の言うことは、正しい。
僕は国王の唯一の嫡子で、未来の国王。
だから、後ろ盾として公爵令嬢であるルチルとの婚約が成った。
だけど、チェリーと会って分かった。
僕は、ルチルのことを愛していない。
愛する女性と結ばれたい。
それはそんなに間違いなのか?
愛する女性を愛妾にだなんて。そんなこと、正しいことなのか?
だから、ルチルに告げた。
真実の愛を見つけたのだと。婚約を破棄させて欲しいと。
婚約破棄。
当人同士で唯一、婚約関係を無くせる方法。
父上や公爵が認めてくれるわけがないことは、分かっていた。
ルチルは素晴らしい女性だ。
優秀で、人望もあり、優しいが厳しいところもある。
未来の王太子妃、王妃として相応しい女性だから。
だからルチル本人に、破棄を望んだ。
「父を説得してくださるなら、破棄を飲みましょう」
やっぱり、ルチルは素晴らしい女性だ。
僕の気持ちを理解してくれた。
それに、ルチルが言った「婚約破棄された令嬢の行き先」には、僕も納得出来なかった。
五年も共にいたルチルが、修道院や後妻になるのは、心が痛む。
それにチェリーは男爵令嬢。
ルチルやクォーツ公爵が後ろ盾になってくれればと思った。
そう。
僕を愛してくれていたルチルなら、僕のためにチェリーを支えてくれると思ったんだ。
なのに、どうして・・・
どうしてルチルは、叔父上の婚約者に?
どうして僕は、父上に謹慎を言い渡されて、母上から毎日教育という名の指導を受けているんだ?
聞けば、チェリーもルチルの母親であるクォーツ公爵夫人から教育を受けているらしい。
らしいというのは、チェリーとは会わせてもらえないからだ。
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もちろんだ。だけど、愛する人と幸せになりたい。そう思うことは間違いなのか?
チェリーを、王太子妃になったチェリーをルチルが支えてくれれば、問題ないだろう?
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「政略の意味も理解しない貴方に、王太子の資格があるのかしらね」
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追記
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