乙女ゲームの正しい進め方

みおな

文字の大きさ
49 / 51

48

しおりを挟む
「アスターが止めに行ったね」

 シーダの声に兄様たちの方を見ると、アスター様とカトレア様が、サフィニア様に絡もうとしているデイジーを止めようとしている。

 止まらない・・・わよね、多分。
デイジーはおそらく転生者で、しかもお花畑ヒロイン。この世界が自分のためのものだって思っていそうだもの。

 というか、もし転生者でなかったら、逆に怖いわ。あんなふうに思い込めるって、常識じゃあり得ないもの。

「せっかくの舞踏会なのに、進行役の方のご迷惑になってしまいますね。私たちも行きましょうか」

「・・・分かった。けど、僕の後ろから出ないで。あと、トリヤとシーダはどうする?」

「僕は行くけど・・・トリヤはやめといた方がいいんじゃない?」

 シーダにそう言われて、トリヤ様は少し迷ったあと、首を横に振った。

「俺も行く。俺が曖昧な態度を取ってたから、デイジー・・・いやユーカリプタス嬢は勘違いしたのかもしれない。ちゃんとケジメをつけるべきだと思う」

 トリヤ様は、良くも悪くも真っ直ぐなのよね。

 だから、自分を頼ってくるデイジーを突き放せなかった。

 だから、今デイジーのしていることはデイジーの罪なのに、自分のせいだと思っている。

 甘いといえばそうだけど、そこがトリヤ様の良いところ、よね。

「お前は本当に優しいというか、なんというか。でも、お前がその優しさを使う相手は隣にいるリンデン嬢にじゃないのか?あんな危険な女のところに彼女を連れて行くのか?それとも、見知らぬこの場所にひとりで放置するつもりか?」

「・・・ッ!」

「あっ、あのっ!私は平気ですから!これでもリンデン伯爵家の娘です」

 トリヤ様を責めるシスルに、アゼリア様が声を上げる。

 アゼリア様の、リンデン伯爵家は武に長けたお家柄だ。

 だからこそトリヤ様の、女心を全く分かっていない、馬術や護衛術を教えるというデートに不満ひとつ持たなかったのだ。

 むしろ、楽しそうだった。
リンデン伯爵家では、いずれ嫁に行くアゼリア様が、武に長けていると婚約が決まらないかもしれないと、アゼリア様には武に関する教育はしていなかったそうだ。

 兄弟がしていることをさせてもらえないことは、アゼリア様には寂しいものだったようで、トリヤ様との交流が楽しかったのだと聞いた。

「わたくしがお側にいますわ。それならよろしいでしょう?フロックス様」

「シスル様。私、あの方のためにもキチンと話をつけた方が良いと思います。ダフォディル様が誰を選ぶのか。エルム兄様や、クリサンセマム様が誰を選んだのか。ちゃんと本人に理解させた方が良いです」

 ジニア様と私がそう言うと、シスルは大きくため息を吐いた。

「馬鹿に何言っても理解しないと思うけどね」

 
しおりを挟む
感想 8

あなたにおすすめの小説

どうしてあなたが後悔するのですか?~私はあなたを覚えていませんから~

クロユキ
恋愛
公爵家の家系に生まれたジェシカは一人娘でもあり我が儘に育ちなんでも思い通りに成らないと気がすまない性格だがそんな彼女をイヤだと言う者は居なかった。彼氏を作るにも慎重に選び一人の男性に目を向けた。 同じ公爵家の男性グレスには婚約を約束をした伯爵家の娘シャーロットがいた。 ジェシカはグレスに強制にシャーロットと婚約破棄を言うがしっこいと追い返されてしまう毎日、それでも諦めないジェシカは貴族で集まった披露宴でもグレスに迫りベランダに出ていたグレスとシャーロットを見つけ寄り添う二人を引き離そうとグレスの手を握った時グレスは手を払い退けジェシカは体ごと手摺をすり抜け落下した… 誤字脱字がありますが気にしないと言っていただけたら幸いです…更新は不定期ですがよろしくお願いします。

死を望まれた王女は敵国で白い結婚を望む。「ご安心ください、私もあなたを愛するつもりはありません」

千紫万紅
恋愛
次期女王として王位継承が内定していたフランツェスカ。 だが戦況の悪化を理由に父王に争いの最前線に送られた。 それから一年、命からがら王都へ戻った彼女を待っていたのは労いの言葉ではなく、敵国・シュヴァルツヴァルトの王太子への輿入れ命令。 しかも父王は病弱な異母妹アリーシアを王妃に据え、フランツェスカの婚約者レナードを王にするという。 怒りと絶望の中フランツェスカはかつて敵将であったシュヴァルツヴァルト王太子・フリードのもとへお飾りの妻として嫁ぐことを決意する。 戦地での過去を封じ、王族としての最後の務めを果たすために。

公爵令嬢を虐げた自称ヒロインの末路

八代奏多
恋愛
 公爵令嬢のレシアはヒロインを自称する伯爵令嬢のセラフィから毎日のように嫌がらせを受けていた。  王子殿下の婚約者はレシアではなく私が相応しいとセラフィは言うが……  ……そんなこと、絶対にさせませんわよ?

自業自得じゃないですか?~前世の記憶持ち少女、キレる~

浅海 景
恋愛
前世の記憶があるジーナ。特に目立つこともなく平民として普通の生活を送るものの、本がない生活に不満を抱く。本を買うため前世知識を利用したことから、とある貴族の目に留まり貴族学園に通うことに。 本に釣られて入学したものの王子や侯爵令息に興味を持たれ、婚約者の座を狙う令嬢たちを敵に回す。本以外に興味のないジーナは、平穏な読書タイムを確保するために距離を取るが、とある事件をきっかけに最も大切なものを奪われることになり、キレたジーナは報復することを決めた。 ※2024.8.5 番外編を2話追加しました!

【完結】引きこもりが異世界でお飾りの妻になったら「愛する事はない」と言った夫が溺愛してきて鬱陶しい。

千紫万紅
恋愛
男爵令嬢アイリスは15歳の若さで冷徹公爵と噂される男のお飾りの妻になり公爵家の領地に軟禁同然の生活を強いられる事になった。 だがその3年後、冷徹公爵ラファエルに突然王都に呼び出されたアイリスは「女性として愛するつもりは無いと」言っていた冷徹公爵に、「君とはこれから愛し合う夫婦になりたいと」宣言されて。 いやでも、貴方……美人な平民の恋人いませんでしたっけ……? と、お飾りの妻生活を謳歌していた 引きこもり はとても嫌そうな顔をした。

魔法のせいだから許して?

ましろ
恋愛
リーゼロッテの婚約者であるジークハルト王子の突然の心変わり。嫌悪を顕にした眼差し、口を開けば暴言、身に覚えの無い出来事までリーゼのせいにされる。リーゼは学園で孤立し、ジークハルトは美しい女性の手を取り愛おしそうに見つめながら愛を囁く。 どうしてこんなことに?それでもきっと今だけ……そう、自分に言い聞かせて耐えた。でも、そろそろ一年。もう終わらせたい、そう思っていたある日、リーゼは殿下に罵倒され頬を張られ怪我をした。 ──もう無理。王妃様に頼み、なんとか婚約解消することができた。 しかしその後、彼の心変わりは魅了魔法のせいだと分かり…… 魔法のせいなら許せる? 基本ご都合主義。ゆるゆる設定です。

溺愛最強 ~気づいたらゲームの世界に生息していましたが、悪役令嬢でもなければ断罪もされないので、とにかく楽しむことにしました~

夏笆(なつは)
恋愛
「おねえしゃま。こえ、すっごくおいしいでし!」  弟のその言葉は、晴天の霹靂。  アギルレ公爵家の長女であるレオカディアは、その瞬間、今自分が生きる世界が前世で楽しんだゲーム「エトワールの称号」であることを知った。  しかし、自分は王子エルミニオの婚約者ではあるものの、このゲームには悪役令嬢という役柄は存在せず、断罪も無いので、攻略対象とはなるべく接触せず、穏便に生きて行けば大丈夫と、生きることを楽しむことに決める。  醤油が欲しい、うにが食べたい。  レオカディアが何か「おねだり」するたびに、アギルレ領は、周りの領をも巻き込んで豊かになっていく。  既にゲームとは違う展開になっている人間関係、その学院で、ゲームのヒロインは前世の記憶通りに攻略を開始するのだが・・・・・? 小説家になろうにも掲載しています。

乙女ゲームの悪役令嬢の兄の婚約者に転生しましたが傷物になったので退場を希望します!

ユウ
恋愛
平凡な伯爵令嬢のリネットは優しい婚約者と妹と穏やかで幸福な日々を送っていた。 相手は公爵家の嫡男であり第一王子殿下の側近で覚えもめでたく社交界の憧れの漆黒の騎士と呼ばれる貴族令息だった。 結婚式前夜、婚約者の妹に会いに学園に向かったが、そこで事件が起きる。 現在学園で騒動を起こしている第二王子とその友人達に勘違いから暴行を受け階段から落ちてしまう… その時に前世の記憶を取り戻すのだった… 「悪役令嬢の兄の婚約者って…」 なんとも微妙なポジション。 しかも結婚前夜で傷物になる失態を犯してしまったリネットは婚約解消を望むのだが、悪役令嬢の義妹が王子に婚約破棄を突きつける事件に発展してしまう。

処理中です...