悪役令嬢は執事様と恋愛したい

みおな

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悪役令嬢の再会2

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「・・・あ、アイリス、その・・げ、元気か?」

 おずおずと、上目遣いに私を見るナルシス様に、ため息をついた。

「ナルシス様、お元気そうで何よりです」

「う、うん。アイリスも・・・」

「ナルシス様、クラウディアと呼んでいただけますか」

「す、すまない。クラウディア嬢」

 素直に呼び方を改めたナルシス様に、ああこの方も反省したのだなと思った。
 前回の時の、あの執着心や傲慢さは、今の彼からは感じない。
 事情を深くは知らないシャルロット様の前で、婚約者でないのだからとか言い募りたくはなかったから、彼があっさりと謝罪してくれてホッとする。

 ナルシス様のことを聞いた数日後、私はシャルロット様にお茶会に誘われた。
 場所はオスカール侯爵邸。明らかな意図を感じたけど、私はその誘いを受けた。
 シキは心配していたけど、今の私はナルシス様に何を言われたとしても傷つかないし、最悪の場合、留学を取りやめればいいだけだ。

 私は過去と決別したいのだ。
もうナルシス様に心を傾けたアイリスはいない。
 そして、ナナミ様に魅了されたナルシス様も、私に執着してシキに手を上げたナルシス様も、もういないのだ。
 彼にも、これから新たな出会いがあり、新たな人生を歩んでもらいたい。そのためにも、彼の言いたいことを聞いてあげるべきかもしれない。

「クラウディア嬢、その・・・彼は?」

「シキのことですか?今日は屋敷にいてもらってます。帰りには迎えに来ると思いますけど」

「そうか。その、怪我の方は大丈夫だっただろうか」

「しばらくは寝たきりでしたけど、今は元気です。シキはお兄様に鍛えられましたので、今はその辺の方には負けませんよ」

 実際、留学前はお兄様からも何本も勝ちを挙げていた。今のシキなら、王宮付きの騎士にも引けは取らないだろう。

「リューク殿に鍛えられたのなら、そうだろうな」

 ナルシス様が、ふっと笑みを浮かべる。多分、お兄様に稽古を付けてもらったことがあるのだろう。

「・・・クラウディア嬢。本当にすまなかった」

「ナルシス様」

「私は思い上がっていた。王子なのだから、君に愛されて当然なのだと。その思い上がりが、あのような傲慢で卑劣な行動を引き起こした。本当に、申し訳なかった」

 深々と頭を下げるナルシス様に、私は過去の全てが終わったのだと感じた。
 ナルシス様は、変わられた。自分の非を認め、謝罪した。かつて、私が好きになった彼に戻った。そう思えた。

 それでも、婚約は回避したと思うけど、このナルシス様なら友人になれたかもしれないし、廃嫡されるようなことはなかっただろう。

 だが、全ては終わったことだ。

 そのあと、シャルロット様と少しお茶を飲んでから、私はオスカール邸を後にした。

 私を迎えに来たシキに、ナルシス様は深く頭を下げ、シャルロット様も私とシキに謝罪した。

 どうやら今回の件は、ナルシス様に同情したシャルロット様の独断だったらしい。
 今回は事なきを得たが、侯爵家の人間としては間違いであった事だと、シキに改めて言われ、繰り返し謝られた。
 実際、その通りなので私も何も言わなかった。

 シャルロット様のその優しさは美徳ではあるけど、もし何かあれば、侯爵家取り潰しだけではことが済まないかもしれなかったのだ。
 まぁ、それでも近くでナルシス様を見ていたシャルロット様は、大丈夫と思ったのだろうけれど。

 こうして、私は過去との再会を終えた。ナルシス様が今回の謝罪を終えた事で、前を向いて進んで行ってくれることを願うばかりだ。


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