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失ったもの、手に入れたもの。

side尚哉8

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――それは、急に訪れた真実だった。

休日の面会開始時刻直後、沈んだ顔でやってきたのは美結ひとりだった。

ベッド脇のパイプ椅子に座りもしないで、とつと話し出した。

「尚。……尚に怪我させた人、自宅謹慎処分になったんだって」

怪我? ……って、今思い当たるの、足だけだよな……?

「謹慎? 俺を怪我させたくらいで?」

処分って……外じゃそんな大事になってるのか?

「ううん。……学校外での喫煙と飲酒が見つかったんだって。それで……」

おい。それはアウトだろう。ったく、同年代だけどそういうバカする奴らの気が知れない。

「……なんで美結が落ち込みながら言うわけ?」

俺に怪我させた奴のことを怒っていた美結だけど、落ち込む理由はわからない。

俺のなんとなしの問いに、美結は唇を噛んでうつむいた。

……美結? 美結は視線を床に落としたまま、口を開いた。

「……匿名で告発したの、想なの」

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