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失ったもの、手に入れたもの。
side尚哉13
しおりを挟む………。だって女子って面倒くさいし。
「俺ってそんな風に見える?」
特に女子を毛嫌いしている言動とかはしていないはずなんだけど。
「珍しいよ。尚に話しかけたいけど隙がないって言ってる子いるし」
「………」
それは俺に隙がないと言うより、お前らの世話焼いているせいで話しかけられる隙がないって意味じゃねえか?
「友達が増えただけだ。いいことだろ」
「それはまあそうなんだけど……」
もにゃっと言葉を濁す美結。
なんだってんだ。
「うん、ま、いーわ。そろそろ退院の日とか決まった?」
話の切り替えが早い美結に肯く。
「明日先生の診察あるから、それで大体決まると思う」
「よかった~」
「長かった~」
想と美結が同時に口にして、空気が抜けるようにへたりこんだ。……あ?
「どうしたよ」
「だって尚が怪我とか……健康優良児の尚が怪我とか……」
軽く顔をあげた美結の目には涙が浮かんでいる。はいはい。手のかかる妹よ。
「学校で尚がいないとなんか周りに距離取られてる気がして……」
そりゃお前のせいだよバカ天然。
俺、想とクラスメイトの通訳みたいな感じもあるからな……。
「退院決まったらすぐに連絡すっから、安心して待ってろって」
こらきれない苦笑と一緒に言うと、想も美結もほっとしたようにはにかんだ。
……病室を出るとき、美結は刹那、憂いの表情を見せた。
……想が勝手にやった件、そのものとしては終わっていても、美結の中では蹴りがつけられていないのだろう。
……それはこれから次第だ。俺と美結が、想をどう出来るか。
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