溺甘系朧咲夜【完】

桜月真澄

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side咲桜13

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どうしてか、先生の声は震えて聞こえた。

先生の鈍感とトンチンカン具合に怒っていた気持ちが、その頼りなげな声音に、愛しさに変えられてしまった。好きな人マジック。

「ほんと、ですよ……。いつからかは憶えてないくらい、ずっと前から……」

あ、やば。つられて私の声も震えてるし……。

「嘘だ、とか、あとから言わない?」

「言いませんっ。先生のこと好きだって昨日も言ったと思うんですけど、聞いてなかったんですか?――」

キーンコーン……

「ごめん、予鈴鳴ったな」

ふと、腕の力がゆるんだ。なんとなく視線は下げたまま、言葉を探す。

「えと……教室、戻っていいですか……? 今なら間に合うので――」

「うん。続きは今日の夜、うちで。迎えに行くから、ちゃんと待ってろよ?」

先生の瞳は、今まで見たことないくらいキラッキラしていた。

……これって、少しは進展を期待してもいいのかな? 先生は昨日、私が先生のことを好きって知らない(気づいていない?)状態だから、彼氏ではないって言ったのかな……?

「咲桜」

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