溺甘系朧咲夜【完】

桜月真澄

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side咲桜12

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相手の女性は振り向いてもらおうと頑張った。

でも、全然自分を見ない流夜くんを変えることは出来ずに、自分から別れを告げた。

それが繰り返されたんだよって、ふゆちゃんが後日談も話してくれた。

話を聞いたのはうちのリビングで、流夜くんたち三人揃っていた。

ふゆちゃんが話すのを止めなかったけど、話が進むうちに流夜くんは机に突っ伏していた。

当時私は小学一年生だったんだけど、よく憶えている。

平坦な瞳で、『お兄ちゃんってあたまいいのにばかなの?』って言ったのを……。

好きな人になんてこと言ってんだ私は。そしてそのときの流夜くんのショックを受けたカオ。……今思い出しても笑える。

以来、ふゆちゃんや降渡さん、果ては在義父さんや龍生さんまで、流夜くんのことを『頭のいいバカ』って言うようになった。

……名付けてしまった私は未だに複雑だ。

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