溺甘系朧咲夜【完】

桜月真澄

文字の大きさ
上 下
79 / 109

side咲桜27

しおりを挟む

龍生さんに問われて、笑満は苦笑する。

「生徒会から逃げ回ってます。次の会長選、今の生徒会は遙音くんを推したいらしくて。でも遙音くんは《白》の仕事優先したいから、生徒会に使える時間もないって断ってるんですけど、なかなかしつこくて。今日は遙音くん、いい加減断ってくるって乗り込んでいきました」

「突撃してんの、娘ちゃんじゃなくて遙音じゃねえか」

「「「あ」」」

龍生さんに呆れられて、三人今頃気づいた。ほ、ほんとだ……。

「しかし、なんで遙音がそんな役職に? あいつ、人を率いるの得意なタイプじゃねえだろ」

「あー、そこはやっぱ藤城主席の名前の所為かと……」

笑満が苦笑いしながら言う。だよねえ、と肯く私と頼。龍生さんも「大変だな」と呟いていた。

藤城主席は、つまり藤城学院高校で一番の成績の人ってこと。

二年生でそう呼ばれる遙音先輩は、かなり有望ってことだ。全国模試一位とかよく取ってる。

「でも、遙音くんが本当にやりたいのは学校内のそういうことじゃなくて、流夜さんたちの後継になることですから」

しおりを挟む

処理中です...