溺甘系朧咲夜【完】

桜月真澄

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side咲桜29

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日が暮れる前に、三人揃って《白》を出た。

帰ったら、流夜くんがうちに来るからご飯の準備だ。

箏子おばあちゃんも呼んで、一緒に夜々さんの帰りも待とう。

眠そうな頼は放っておいて、笑満となんでもないことを話しながら歩く。

「あ、咲桜―、笑満―」

呼びかけられて振り返れば、クラスの女の子三人が手を振っていた。

「おーい。今帰り?」

「そー。そっちは部活終わり?」

合流して話し出す。スポーツ鞄を肩から下げた三人は、バスケ部だ。

「うん。あ、ねね、咲桜たち見た? 神宮先生に見合い言い寄ってる女。なんか今日、学校まで来たって話、先輩たちがしてたんだけど」

「学校まで!?」

「それは行き過ぎじゃ……」

驚いた私とは裏腹に、笑満は冷静だった。

こ、行動力あり過ぎるだろう金髪美人さん。

もう一人がため息交じりにぼやく。

「なんかさー、やだよね。神宮先生って人気あるから取られるのもやだし、相手の仕事場まで来るってさすがに常識ないでしょ」

………。ごめんなさい。私が謝る筋かわからないけど、なんか居心地が悪い……。

「あ、神宮先生っ?」

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