上 下
221 / 249
七 ~~~流夜くん!

side流夜1

しおりを挟む

咲桜を抱きしめて、これほどまでに誰かに護られていると思ったことはない。

日義の問い詰めに対する咲桜の過激な発言には正直面喰ったが――自分がそうはさせない。

絶対に大丈夫にする。

卒業式まで待つというあの発言は、本当に全部咲桜のためだ。

そこが少し悔しいけど――長い友人は、咲桜を傷つけることは厭うのだろう。

アパートの駐車場に車を停めると、部屋の前に人影があった。

どう見ても俺を待っている姿は日義だった。

昼間の件、まさか気が変わったとかいって押しかけて来たのではないか。

日義の普段の生活態度からしてありうる。

車を降りた、その扉が閉まる音で気づいたのか、日義はゆっくり顔を向けた。

覇気のない表情。

これこそ俺の知る『通常運転の日義頼』だった。

「どうした」

しおりを挟む

処理中です...