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二 発覚

side水都4

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なんと、これ見てと言わんばかりに手にしたテキストを軽く振っているコガサクくんが、教室の後ろのドアからわたしのことを呼んでいた。

しかも今名前……?

「どうしたの、コガサクくん」

わたしが椅子から立ち上がると、コガサクくんは堂々と教室に入って来た。

「水都さん、総常いけるレベルあんでしょ? 勉強教えてほしいなって」

う……その辺りは触ってほしくないんだけど……。

「わたしに教えられる範囲なら……」

「うん。じゃあよろしく」

わたしが椅子に座り直すと、コガサクくんはその隣に両膝をついて高さを合わせて来た。

前の席の隣の席も、みんなご飯食べに行っていて空いてるから使ってもいいと思うんだけど……と思って勧めると、「俺はこれでいいよ」と少しの笑みとともに返された。

「おい、なんでコガサクが藤沢さんに勉強教えてもらってんの?」

「今、下の名前で呼んだよな? 藤沢さんも『コガサクくん』って……」

「うそうそ、まさか付き合ってるとか? 美少女とヤンキーとかケータイ小説のテッパンだし!」

……な、何やら言われているようですが、コガサクくんは一向に気にした様子がない。

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