龍神様とあの日の約束。【完】

桜月真澄

文字の大きさ
22 / 83
2 当代最高峰の陰陽師

しおりを挟む

「は、はい……」

美也は半ば呆然としながらうなずいた。ここまでくると、なるようになれと思ってしまう。

百合緋が導く形で、三人は歩き出した。天音は一番後ろをついてくる。

ただ、ひとつ確認しておきたかった。

「あの、水旧さん……」

「百合緋でいいですよ」

「……百合緋さん、どうして今日、私が来るってわかったんですか……?」

美也は、月御門という家の場所は教えられたが、百合緋と個人的に連絡が取れる方法はなかった。

だから、地図を頼りに月御門なる家まで行こうと思っていたら、見計らったように百合緋が駅にいた。

不思議でしかない。

百合緋はにこにこと答えた。

「白桜――月御門の当主が、そう言ったからです」

「……当主?」

当主って、時代劇とかに出てくるようなやつだろうか。

おじが、時代劇が好きでテレビで流していることがある。

「そう、月御門家の宗家である、御門流の当主が、私と同い年で一緒に住んでるんです。その人の言葉だから、私は疑わずに駅に行ったら、ぴったり美也さんが来たんです」

月御門は陰陽師だと言っていた。

美也は深く突っ込んで確かめねばならないことが多すぎて、どこから聞いて行けばいいのか頭の中で整理できなくなっていた。

色んな情報がぐるぐるしている。

「美也さんは今、何年生ですか?」

「あ……中学三年です」

百合緋が自己紹介のような簡単な話題を振ってくれたので、美也の脳内が少し落ち着いた。

「私高一だから、ひとつ上なんですね。美也さんって呼ばれるのは抵抗あります?」

年上だった。百合緋は小柄だけど、すごく落ち着きがあると美也は感じていた。

「いえ、なんだか……その……」

「うん、言って大丈夫ですよ?」

百合緋はゆっくり歩きながら、丁寧に対応してくれる。美也の視線は足元へ下がる。

「その……まだ現実味がないと言いますか……。百合緋さんは、陰陽師? なんですか?」

「あ、わたしは違うわ。わたしは月御門と縁のある家の人間で、わけあって月御門にお世話になってるんです。わたしはそうね……榊様のお供さんのおつかいを任された感じかしら」

(……また榊さんのこと、榊様って言った……)

百合緋は、榊の正体を知っているのかもしれない。

陰陽師に関係のある家の人が知っているとは……。

「じゃあ……榊さんとお知り合いなんですか……?」

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

6年前の私へ~その6年は無駄になる~

夏見颯一
恋愛
モルディス侯爵家に嫁いだウィニアは帰ってこない夫・フォレートを待っていた。6年も経ってからようやく帰ってきたフォレートは、妻と子供を連れていた。 テンプレものです。テンプレから脱却はしておりません。

断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜

深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。 処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。 なぜなら彼女は―― 前世で“トップインフルエンサー”だったから。 処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。 空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。 タイトルは―― 『断罪なう』。 王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。 すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、 国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。 そして宣言される、前代未聞のルール。 支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。 処刑台は舞台へ。 断罪はエンタメへ。 悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。 これは、 処刑されるはずだった悪役令嬢が、 “ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。 支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、 それとも――自由か。

お久しぶりです旦那様。そろそろ離婚ですか?

奏千歌
恋愛
[イヌネコ] 「奥様、旦那様がお見えです」 「はい?」 ベッドの上でゴロゴロしながら猫と戯れていると、侍女が部屋を訪れて告げたことだった。

僕は君を思うと吐き気がする

月山 歩
恋愛
貧乏侯爵家だった私は、お金持ちの夫が亡くなると、次はその弟をあてがわれた。私は、母の生活の支援もしてもらいたいから、拒否できない。今度こそ、新しい夫に愛されてみたいけど、彼は、私を思うと吐き気がするそうです。再び白い結婚が始まった。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い

青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。 神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。 もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。 生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。 過去世と同じ轍を踏みたくない……

完結 若い愛人がいる?それは良かったです。

音爽(ネソウ)
恋愛
妻が余命宣告を受けた、愛人を抱える夫は小躍りするのだが……

異世界に転移してしまった私、古民家をもらったのでカフェを始めたら大盛況。国王陛下が頻繁に来るのですが、どうしたらいいですか?

来栖とむ
ファンタジー
ブラック企業で疲れ果てた30歳の元OL・美里(みさと)が転移した先は、見渡す限りの深い森。 そこで彼女が授かったのは、魔女の称号……ではなく、一軒の**「日本の古民家」**だった! 亡き祖母が遺したその屋敷には、異世界では失われたはずの「お醤油」「お味噌」「白いお砂糖」という禁断の調味料が眠っていて――。 「えっ、唐揚げにそんなに感動しちゃうの?」 「プリン一口で、国王陛下が泣いちゃった……!?」 おにぎり、オムライス、そして肉汁溢れるハンバーグ。 現代日本の「当たり前」が、この世界では常識を覆す究極の美食に。 お掃除のプロな親子や、お忍びの王様、さらにはツンデレな宮廷料理人まで巻き込んで、 美味しい香りに包まれた、心もお腹も満たされるスローライフが今、始まります!

処理中です...