龍神様とあの日の約束。【完】

桜月真澄

文字の大きさ
32 / 83
2 当代最高峰の陰陽師

15

しおりを挟む

「あやかしが神になったり、人が神になったりすることがあるから、その境界は完全ではないが……あやかしの最高位は鬼、龍神は神に名を連ね、一方であやかしの性質もあるから、正直どっちつかずだな」

榊の説明を、白桜が陰陽師の立場から補足した。

「俺たちは鬼の上に龍神を置いている。鬼は神には数えられないから、やはり高位となると龍神になるんだ。そして龍神は天界と地上とに、住まう者が分かれる。美也の先祖は、天界における龍神の中でも最高神と呼ばれた存在、ということだったな?」

「ああ。彼の方の血脈は、天界には存在しない。だが、天界の龍神が、神として以外に地上に関わることは、今は禁忌とされてしまっている。そして美也の母親はあやかしの介入で亡くなってしまった。天界の龍神にとって、痛恨の極みだ」

「より一層、美也を護らなくてはいけなくなった。が、自分たちでは護ることが出来ない。そのため、地上の龍神で覇権を握っている榊に要請があった、といったところか」

「……それで大体合っている」

榊が、不満げな顔をしながらもうなずいた。

「覇権を握っているって……榊さん、すごいんですか?」

「すごいもなにも、天界の龍神に最高神がいるように、地上の龍神の最高神は榊だ」

白桜が教えてくれたことで、榊の情報がどんどん増えていく。

「榊さん、すごかったんですね……なのに……っ、くくっ」

「え……み、美也?」

いきなり、美也が口元に手を当てて、くくっと苦しそうにしだした。

「だ、大丈夫かっ?」

「だ、だいじょうぶ、です……ごめんなさい、ちょっと笑っちゃって……」

ぷぷぷっと口から笑声がもれる。

(そんなすごい神様が、自分のことくそじじいって言ったり、お使いさんからもくそじじって言われたり……笑うしかないよ……っ)

「ほらあ! 榊さまが変だから巫女さま笑ってるじゃないですかっ! このくそじじっ」

「くそじじいなのは認めるがお前は俺をなんだと思ってるんだ!」

べちっと、榊が使い龍の頭を引っぱたいた。

ぶべっとつぶれたような声を出して、叩かれた頭をさする使い龍。

その漫才のようなやり取りに、美也は臨界点を超えてしまった。

「ふふふっ、はははっ」

お腹を押さえて、しゃがみこんで笑い出した。

「美也!? ワライダケでも食べてしまったか!?」

榊が焦っている。美也自身、こんなに笑ったのは生まれて初めてかもしれない。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

6年前の私へ~その6年は無駄になる~

夏見颯一
恋愛
モルディス侯爵家に嫁いだウィニアは帰ってこない夫・フォレートを待っていた。6年も経ってからようやく帰ってきたフォレートは、妻と子供を連れていた。 テンプレものです。テンプレから脱却はしておりません。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜

深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。 処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。 なぜなら彼女は―― 前世で“トップインフルエンサー”だったから。 処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。 空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。 タイトルは―― 『断罪なう』。 王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。 すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、 国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。 そして宣言される、前代未聞のルール。 支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。 処刑台は舞台へ。 断罪はエンタメへ。 悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。 これは、 処刑されるはずだった悪役令嬢が、 “ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。 支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、 それとも――自由か。

お久しぶりです旦那様。そろそろ離婚ですか?

奏千歌
恋愛
[イヌネコ] 「奥様、旦那様がお見えです」 「はい?」 ベッドの上でゴロゴロしながら猫と戯れていると、侍女が部屋を訪れて告げたことだった。

異世界に転移してしまった私、古民家をもらったのでカフェを始めたら大盛況。国王陛下が頻繁に来るのですが、どうしたらいいですか?

来栖とむ
ファンタジー
ブラック企業で疲れ果てた30歳の元OL・美里(みさと)が転移した先は、見渡す限りの深い森。 そこで彼女が授かったのは、魔女の称号……ではなく、一軒の**「日本の古民家」**だった! 亡き祖母が遺したその屋敷には、異世界では失われたはずの「お醤油」「お味噌」「白いお砂糖」という禁断の調味料が眠っていて――。 「えっ、唐揚げにそんなに感動しちゃうの?」 「プリン一口で、国王陛下が泣いちゃった……!?」 おにぎり、オムライス、そして肉汁溢れるハンバーグ。 現代日本の「当たり前」が、この世界では常識を覆す究極の美食に。 お掃除のプロな親子や、お忍びの王様、さらにはツンデレな宮廷料理人まで巻き込んで、 美味しい香りに包まれた、心もお腹も満たされるスローライフが今、始まります!

僕は君を思うと吐き気がする

月山 歩
恋愛
貧乏侯爵家だった私は、お金持ちの夫が亡くなると、次はその弟をあてがわれた。私は、母の生活の支援もしてもらいたいから、拒否できない。今度こそ、新しい夫に愛されてみたいけど、彼は、私を思うと吐き気がするそうです。再び白い結婚が始まった。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い

青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。 神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。 もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。 生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。 過去世と同じ轍を踏みたくない……

処理中です...