40 / 83
2 当代最高峰の陰陽師
23
しおりを挟む「え、えと……」
それは美也が天界の龍神の子孫で、榊にとって庇護対象だったからだ。
……そうと、わかっているのに。
「あ、……りがとう、ございます……」
そこで美也ははっとした。
「あの……神様って信仰されて存在する……みたいな話を聞いたことあるんですけど……無人の神社にいて、そういう心配ってないんですか……?」
参拝客がゼロということはないかもしれないが、神社を管理する人がいないのは問題ではないだろうか。
「確かに、人の想いが神やあやかしに姿形を与える。存在を認識されないと、消えてしまう。俺のこの姿も、龍神とはかくあるもの、と、人間が思った姿ということだな。でも、龍神という存在の認識は各地にあるから、俺のようにずっといる者はそう危機にはならないんだ。地上の龍神より、天界の龍神の方がその危険性は高い。俺たちの役割は人々が生きていられる状態を作り続けることだが、天界の龍神は人の願いを聞き叶えるという役割がある。それを叶えられなかったり、願う人々がいなくなれば、存在は揺らいでいく。まさに美也の言った、信仰がないと神は消えてしまう状態だな」
「むずかしいんですね……」
やはり美也は歴史の授業を聞くように、ほうほう、と頭の中でうなずきながら聞いていた。
同じ龍神様といっても、どこに住んでいるかで役目が違うらしい。
そして人間が思った姿が今の榊なら、神様とはとんでもなく麗しく輝いていると考えられてきたのだろう。
「……これも今更になってしまうんだが、美也の両親は俺の事を知っていたんだ」
「お父さんとお母さんが……ですか?」
「そう。俺が龍神で、茉也(まや)――美也の母が龍神の子孫であることも知って、割と親しくしていた。だからぶっちゃけ、美也が生まれたときから知っている」
「へえ……えええっ!? そんな昔からのお付き合いだったんですか……!? 憶えてないとか私、申し訳なさすぎる……!」
「まあ、美也の霊力を封じたのは、茉也たちに頼まれたからでもあるんだ」
「お母さんに……?」
「そうだ。美也の霊力につられてやってくるあやかしが多くて、それを心配した茉也と友哉(ゆうや)が、俺にどうにか出来ないかって相談してきたんだ。それで、美也の霊力を封じた」
友哉とは父の名前だ。
母の名も父の名も、美也は久しぶりに聞いた。
……ぽろ、と涙がこぼれた。
0
あなたにおすすめの小説
6年前の私へ~その6年は無駄になる~
夏見颯一
恋愛
モルディス侯爵家に嫁いだウィニアは帰ってこない夫・フォレートを待っていた。6年も経ってからようやく帰ってきたフォレートは、妻と子供を連れていた。
テンプレものです。テンプレから脱却はしておりません。
断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜
深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。
処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。
なぜなら彼女は――
前世で“トップインフルエンサー”だったから。
処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。
空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。
タイトルは――
『断罪なう』。
王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。
すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、
国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。
そして宣言される、前代未聞のルール。
支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。
処刑台は舞台へ。
断罪はエンタメへ。
悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。
これは、
処刑されるはずだった悪役令嬢が、
“ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。
支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、
それとも――自由か。
僕は君を思うと吐き気がする
月山 歩
恋愛
貧乏侯爵家だった私は、お金持ちの夫が亡くなると、次はその弟をあてがわれた。私は、母の生活の支援もしてもらいたいから、拒否できない。今度こそ、新しい夫に愛されてみたいけど、彼は、私を思うと吐き気がするそうです。再び白い結婚が始まった。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
異世界に転移してしまった私、古民家をもらったのでカフェを始めたら大盛況。国王陛下が頻繁に来るのですが、どうしたらいいですか?
来栖とむ
ファンタジー
ブラック企業で疲れ果てた30歳の元OL・美里(みさと)が転移した先は、見渡す限りの深い森。
そこで彼女が授かったのは、魔女の称号……ではなく、一軒の**「日本の古民家」**だった!
亡き祖母が遺したその屋敷には、異世界では失われたはずの「お醤油」「お味噌」「白いお砂糖」という禁断の調味料が眠っていて――。
「えっ、唐揚げにそんなに感動しちゃうの?」
「プリン一口で、国王陛下が泣いちゃった……!?」
おにぎり、オムライス、そして肉汁溢れるハンバーグ。
現代日本の「当たり前」が、この世界では常識を覆す究極の美食に。
お掃除のプロな親子や、お忍びの王様、さらにはツンデレな宮廷料理人まで巻き込んで、
美味しい香りに包まれた、心もお腹も満たされるスローライフが今、始まります!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる