朧咲夜5-愛してる。だから、さようなら。-【完】

桜月真澄

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side…8

「……流夜くん」

「お願いします。咲桜を俺にください。咲桜以外には何も望みません。いりません。……咲桜だけ、いてくれればいいんです。お願いします」

「……流夜くん、私は、それには肯けないよ」

「――在義さん!」

「咲桜が……娘が望まなければ、君のところへはやれない。背中を押してやれないよ。流夜くん、今の咲桜が、見えているか?」

「………っ」

父さんが、流夜くんの腕の中から、私の肩を引く。

「せめて……少し、待ってもらえないか。咲桜の……意識がはっきりするくらい、までは……」



+++



誰かに抱きしめられている。それだけはわかった。

いるのは自分の部屋だ。それもわかった。

頭が動かない。現実を――生きることを拒否している。このまま……心臓なんか、止まってしまえば。こんな、血を動かしている心臓なんて。

「咲桜ちゃん……」

「さお……」

耳に馴染んだ声。

今は、遠い。

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