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一 休日は図書館で

side千波14

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左頬の、アザがある場所。

そこに触れた藍田くんは、ものすごく哀しげ……ううん、申し訳なさそうな顔をしている……。

「なにが……?」

「うん」

あの、うん、では答えになってないよ……?

「……もっと早くに見つけてたら……」

「藍田くん? さっきからどうし――」

「可愛いよ」

「……へ?」

「千波ちゃんは可愛い。すっごく。……だから、そんな淋しいこと言わないで」

「………~~~~っ」

な、なんてこと言うんだこの人は……!

「い、言いたいことはわかったから……離してくれる……?」

恐る恐る言うと、藍田くんに大天使の笑顔と後光が戻った。ほっと安心していると……

「やだ」

……大天使が堕天(だてん)してしまった。

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