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番外編2
side千波13
しおりを挟む「新垣先輩ですか……?」
「詳しく言うと、坂野の嫁が玲奈に頼んできて、俺が来たということだ」
あ、両方のお嫁さんですか。なんかテキパキとした人だなあ。
玲哉くんと見た目は似ているけど、雰囲気は全然違う……。
「で、坂野千波さんはあなたか」
玲哉くんとお父さんたちを見ていた玲哉くんのお父さんが、わたしを見て来た。ぴんと背筋がのびる。玲哉くんのお父さんは優しく目元をゆるめる。
「は、はいっ」
「玲哉の父の藍田尚哉です。不肖ではあるけれど、息子のことをよろしくお願いします」
「はっ、はい! こちらこそ足りないところばかりですがよろしくお願いしますっ」
勢いあまって畳に額を打ち付ける勢いで頭をさげた。
れ、玲哉くんのお父さんにこんなこと言ってもらっていいの……!?
というか、玲哉くんのご家族的にわたしでいいのかな……?
「はじめまして。玲哉くんのお父様。千波の姉の千聖(ちせ)と申します。私からも、妹のことよろしくお願い申し上げます」
わたしの隣のお姉ちゃんが、わたしと一緒に頭を下げてくれた。そして玲哉くんのお父さんがまた口を開く。
「ええ。末永いお付き合いになることを願っています」
+++
「びっくりしたねー」
「のんびり言ってるけど、お父さん来るって知ってたの?」
玲哉くんが家に帰るのを見送るという名目でわたしも一緒に家を出て、近くの自販機が並んだあたりで話していた。
あれから、玲哉くんのお父さんは用があるとすぐに帰った。
うちのお父さんはその登場にびびっていたけど帰られてからは平常心に戻ったのか、怒ったりびびったりもしなかった。
玲哉くんのお父さんが来るようにしてくれたのは玲哉くんのお母さんで、もとはうちのお母さんが玲哉くんのお母さんに相談したからだと、お母さんから聞いた。
だからお母さんは和室に入らずにいたんだ。
「千波ちゃんが父さんをそう呼ぶと、もう千波ちゃんのお父さんでもあるみたいだね」
「………! い、いや! そういう意味では――」
「そういう意味でいいんだよ」
う! わたしが勝てない微笑! 玲哉くんはすぐにその微笑みを引っ込めて、真剣な顔で見て来た。
「……もしかしてだけど、父さんをカッコいいとか思った?」
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