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3 見合い
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しおりを挟む「え、なにこれ」
ずいっと渡された薄い冊子のようなものを手にして、和仁は首を傾げた。
祖父は今日も、なんでもないふうに答える。
「見合い写真」
(………?)
「誰か見合いすんの?」
「お前」
その言葉の意味を噛み砕くのに、和仁は五秒ほど時間を要した。
「……………は?」
和仁、祖父を前にすると定番の据わった目になる。
「天瀬を背負っていく覚悟があるのなら、伴侶(はんりょ)は早めに決めて置け」
「ふ……ざけんなよくそじじい!」
いきり立ち上がるも祖父は意に介さない。はんと鼻で笑う。
「何を言うか。十六にもなって恋仲のひとりもおらんとは」
「二人以上いたら問題だよくそじじい」
言い返すが、祖父は和仁を見もしない。
「お前がぼんやりしとるからだ。政略させられたくなかったら自分で見つけてこい」
さすがにカチンときた。そんな理由で付き合うなんて相手に対して非道すぎる。
「見つけてるし。もういるし」
そう返すと祖父は、やっと和仁を見た。意外そうな顔で。
「ほお? まじか」
まじまじと和仁を見てくるので、和仁はやっと座った。
「い・る・の。彼女。つーか俺の結婚相手に口出しするならまた一族会議開くぞ――て父さんが言ってた」
その返しには、うっと息を詰まらせる祖父。そして急に哀愁をただよわせる。
「……あれはなんで当主のわしより権限持ってるんだ……?」
「父さんの実力だろ」
「……まあそうなんだが……」
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