陽華の吸血鬼➁【完】

桜月真澄

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1 いつもの朝

side真紅10

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学校の転校を機に、私は桜木真紅から、『影小路真紅』と名乗るようになった。

手続きは現在進行形なんだけど、ママとともに、ママの生家へ籍を移すことになった。

誰より何より、紅緒様が望んでいたこと。

ママが、当主夫妻に生まれた双児の姉という立場の直系長姫(ちょっけいちょうき)でありながら養子に出された理由は、占(せん)に出た凶兆(きょうちょう)だったらしい。

よく双児は忌まれるというけど、ママはそういう概念のものではなく、双児と関係なしに凶星(きょうせい)――まがつ星の運命を持っているとか。

私が力の覚醒を得て影小路に入ることになったとき、ママも小路の陰陽師たちと顔を合わせた。

ところが、紅緒様や対面したほかの小路の陰陽師は、誰も凶星をママに見いだせなかったそうだ。

最後に黒ちゃんが、私を――始祖の転生を産んだことで、星の運命が変わってしまったのだろうと言っていた。

天がさだめた運命すら変えてしまう始祖の転生。

その力を、私は自分に迎え入れることを決めた。

覚醒の前夜、私は月御門白桜――白ちゃんを訪ねている。

黎が鬼人であり、自分には陰陽師以外に退鬼師の血が流れていると知って、黎を失いたくないがために、退鬼師としての、陰陽師としての力を捨てることを考えた。

白ちゃんは否定しなかった。

つまり、私には選択肢があった。

二度とその力を得られないことを承知で力を捨てるか、力を己のものとして別の道を探すか。

ことは、私が選ぶ前に起こった。

一人の陰陽師の介入によって、私の力の目覚めと、私の力を封じた紅緒様の目覚めの時間が早まった。

それによって黎の命は助かったのだけど。

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