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2 月と影➁
side白桜6
しおりを挟む横目で見てくる黒に、いつものごとくため息を吐いた。
「……俺はいつお前の命を背負ったんだ」
「白が俺の名前を呼んだときかなー」
さっきまでのシリアスな雰囲気もどこへ行ったのか、黒はいつもの間延びた感じで言う。
それから何故かにやにやとしている。
……なんだってんだ。軽く睨んだ。
「いやー? 俺と双児だったかもって、それって俺と白が夫婦だったらすっげ仲良しだったってことだろ? 白が無意識にそう思ってくれてるんだなーって」
「? ………――――っ! そ、そういう話じゃないだろ! バカなこと言ってんな!」
「あはは。今気づいた? 白は可愛いなあ」
「もう黙れお前!」
無意識の失態に顔が熱くなる。そんな俺を見て、黒は楽しそうににやにやしている。
「白桜様。お茶の替えをお持ちしました。入ってもよろしいですか?」
「あ――ああ。結蓮(ゆいれん)、手間をかけるな」
いいえ、と、襖を開けてやってきた少女は、柔らかく微笑んだ。
現在、月御門別邸には、俺と幼馴染の百合緋のほかに、三人の家人がいる。
三人とも御門一派の人間なのだが、霊力が弱かったりなかったりと、陰陽師としては生きにくい者たちだ。
他にもじい様が別邸に、とつけた家人もいたが、そちらは一人前に巣立ちしている。
結蓮たち三人は霊力が弱いことを蔑視されていたと知り、当主を祖父から継いだときに別邸に呼んだわけだ。
俺は当主であったじい様とともにそのほとんどを別邸で過ごしていて、京都の本邸に帰るのは大きな用事があったときくらいだ。
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