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5 ご挨拶
side真紅7
しおりを挟む黎が呼びかけると、微かにその肩が揺れた。
「架くん……」
黎と私は急いでいた足を緩め、少しずつ距離を詰めた。
「……もしかして、兄貴が言った『総て』って、俺のことも入ってたの?」
架くんは私たちに背を向けたまま言って来た。
黎が誠さんに言った、『真紅には総て話してあります』という言葉。
黎がどう答えるのか心配になって隣を見上げた。
「……ああ。俺は、馨さんにも逢ったことがある。真紅には、そのことも美愛さんと誠さんのことも、話した」
包み隠さない黎。
架くんに話すつもりはないと言っていたけど、ことがあらわにされた今、黎は弟にそう接すると決めたようだ。
「じゃあさ……俺は、兄貴の――黎の弟じゃ、なかったんだね」
苦笑すら混じったように聞こえる声は、ただ哀しい。
架くんにとって兄は誇りですらあったのだろう。
私と話したことの端々から、尊敬しているのはよく見て取れていた。
一番ショックだったのは、そこなのかもしれない。
黎はため息をついた。
「何言ってんだお前」
「ちょ、黎っ」
突き放すような言い草に、私が焦った。今傷付いている架くんにそんな言い方――
「親が同じじゃなくたって弟に決まってんじゃねえか。俺はそう思ってるけど、お前は違うのか?」
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