転生して最強魔王になった俺は再び転生して英雄を目指します。

SKYbook

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第1章 英雄の始まり

第4話 目覚める力

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    2人はバウンティウルフに攻撃を仕掛ける。しかし2人が剣を振り下ろした直後、バウンティウルフはひらりとかわした。

 「くそっ!デカイ図体の割になんて速さだ!さっきまで戦っていたハンターウルフとは段違いだ!」

    そう驚いたのもつかの間、バウンティウルフはこちらに向かって突進してきた。俺とヌルはそれぞれ左右にかわしたが、かなりギリギリだった。回避して剣で攻撃をしてみたもののあまりダメージが入らず、魔法で攻撃しようにもこれだけの速さでは発動するのも難しい。

 「正直、今の俺のステータスでは奴に大ダメージは与えられないよな。さてどうしたものか。」

    ヌルは俺以上に華麗に回避して攻撃もしていた。だがヌル自身も防戦一方だった。
    俺はこの状況を切り抜ける方法を考えた。だが良い考えは浮かばない。いくら相手が飛び道具を持ってないとはいえ、あれだけの巨体であそこまで速く動ける敵を仕留めるのは今の俺には難しい。

 「前世の俺だったらこのくらいの魔獣、大した事は無いんだけどな…」

    実際、前にいた世界ではこれ以上の魔獣はそこらへんにたくさんいたりした。出てくる魔獣も駆け出しの冒険者が1人でも倒せるものから、複数のパーティで組むレイドパーティで挑むようなものまで多種多様な魔獣が存在していた。
    俺も最初の頃は弱い魔獣を倒していたが、漆黒の魔王と呼ばれるようになってからは本来、レイドパーティで無ければ倒すのは不可能な魔獣をたった1人で倒していた。
    もちろんその頃は最高クラスの魔法やスキル、装備を持っていたおかけで多少苦戦することはあっても負ける事は無かった。だが今はそのような物は一切無い状態だ。一歩間違えれば確実に命を落とす事になる。
    まだこの世界に転生して1日も経ってないのに、魔獣にやられてゲームオーバーなんていうのはシャレにならないし、せっかくこの世界に来て英雄になろうとしているやつが、こんな魔獣も倒せないのでは話にならない。
 
 「そうだ、こんな所で諦める訳にはいかないよな。今俺がこうしている間にもヌルはあの魔獣と戦ってくれている。
それに後ろにいる妹のメイや他の生徒に恥ずかしい姿を見せる事は出来ないしな。」

    俺はそう強く決心して、どうやってこの魔獣を倒すかを考えた。今の俺のステータス、スキルを思い出しながら試行錯誤を繰り返した。
    俺はふとEXスキルの付与魔法(エンチャント)を見てみた。効果は人間の肉体や武器などに魔法効果と性質を付与するものとなっている。そして、エンチャントに使えるのは現状覚えている魔法だけとのことだ。

「今俺が覚えているのはファイアーボール、アイスバレット、サンダーアローの3種類。付与させる武器も手元にある。こうなったら試しにやるしか無い。」

    ただし魔獣の攻撃を回避しながらエンチャントをするのは不可能。エンチャントするのに数秒必要だ。まず数秒間時間を稼いでくれる人が必要だ。そしてそれに該当する者が1人いる。それこそ

 「ヌル!悪いが少しの間、時間稼ぎをしてくれないか?」

 「レイ、何かいいアイデアが浮かんだのか?」

 「上手く行くかは分からない。だが恐れてやらないより、失敗を恐れずに前に向かって進むことが大切だ!そのためにもどうしてもヌルの力が必要なんだ!頼む!」

 「いいだろう、レイの言う可能性に賭けてみよう!」

    そう言ってヌルはバウンティウルフの周りを高速で移動しながら、攻撃を開始した。バウンティウルフはヌルに狙いを定めた。狙い通りだ。

 「ヌルが魔獣の気を引いている間にエンチャントを済ませよう。」

    俺は少し下がって剣を取り出し、エンチャントを開始する。

 「相手は素早く動き回るから、付与するなら機動力に特化した効果にしたい。この3つの魔法の中で1番適しているのはサンダーアロー。よしこの魔法を剣に付与しよう。」

    そうして俺は手をかざして、剣にサンダーアローを付与していく。数秒後、エンチャントを終えた。初めてのエンチャントだったが無事、成功だった。
    俺は強化した剣を強く握ると、今までとは違う感覚を味わった。本当に同じ剣かと疑うほど握った瞬間、身体全体が変化していくのを感じた。

 「よし、いける!」

    準備を整えた俺はバウンティウルフに向かってゆっくり歩いていった。バウンティウルフは俺が近づいたのに気が付き、こちらに視線を向けた。

 「よっしゃ!行くぜ犬コロ!俺に倒される覚悟は出来ているか!」

    俺はバウンティウルフに向かって叫びながら全速力で向かっていった。バウンティウルフは前足で俺を攻撃しようとしていたが、俺はそれをいとも簡単にかわした。

 「よし、どうやらこのエンチャントは成功だ!これで十分な機動力は確保出来た。ヌル!このまま一気に叩くぞ!」

 「さすがはレイ!早くもエンチャントを使えるようになるとはな!これは私も負ける訳にはいかないな!」

    勢いが出てきた俺とヌルはお互いに高速戦闘を繰り出して、バウンティウルフを圧倒した。

 「これだけの速さなら魔法も使えるな。行くぞ、ファイアーボール!」

    俺はバウンティウルフの周りを動き回りながら、魔法の遠距離攻撃と雷が付与されている剣での近接戦闘を交互に繰り出した。ヌルも素早い動きで相手を翻弄した。


    数分後、、、

    バウンティウルフはだいぶ体力を消耗していた。あと少しで討伐できるところで、ヌルは

 「レイ、君はこの短時間でよく成長した。そのご褒美に私の技を見せてあげよう。」

    そう言ってヌルは2本の剣を握り直す。その直後、2本の剣の刃が青白く光っていた。そして

 「行くぞ。」

    そう言ってヌルはバウンティウルフに向かって突進していった。そして

 「叛逆の爪(リベリオン・クロー)!!」

    その瞬間、2本の剣はまるで鋭い爪のように変化して、あっという間にバウンティウルフを切り倒していた。

 「今のは一体…何なんだ?」

    俺だけでなく後ろにいた生徒達も驚きを隠せないでいた。

 「今のが武器による特殊な技、ウェポンアーツだ。」

 「ウェポンアーツ?」

 「そうだ、これはその武器を極めることによって身に付ける事が出来る技だ。これは本来は魔法をあまり使わない近接型の人が使うものなんだ。」

    ウェポンアーツ、前世では存在しなかったものだ。初めて見る技に驚きはしたが、同時に興味が湧いてきた。もしウェポンアーツを覚えられたら、魔法と組み合わせて新しい戦闘スタイルを作れるかもしれないからだ。

 「レイ、君は素質がある。もしかしたら近いうちにウェポンアーツを習得出来るかもしれないな。」

 「ヌルにそう言ってもらえて自信がついたよ。俺もいつかウェポンアーツを使えるように頑張るよ。」

    そうして新しい目標ができた俺は、ヌルと一旦別れることにして後ろでずっと俺たちの戦いを見ていた妹の元へ静かに歩いていくのであった。


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