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第四章 それぞれの教師の在り方
10.心のSOS
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部屋の中は薄暗く、閉じたカーテンの隙間から薄い夕陽が漏れるだけだった。
いくつかの動物のクッションがベッドに並び、それに囲まれるように鈴木が座っていた。
大きな体を小さく丸め、青白い顔で俯いてる。
「ぐすっ...」
「鈴木...」
すぐにでも抱きしめてやりたい。
でもお母さん達の目があるため、それは出来なかった。
俺はおそるおそる鈴木の側に寄り、背中をさすった。
「会いにきたよ、鈴木…大丈夫か?」
林先生もそっと近づいた。
「鈴木君、1週間も休んでて、心配してたのよ。大丈夫?」
優しい声に、鈴木が目を伏せ、「うん…」と小さく呟く。
だが、声は弱々しく、昔の元気はどこにもなかった。
「鈴木、まて、これ...!?」
そのとき、俺は信じられないものを目にした。
瞬間、背筋がゾクッと冷たくなる。
鈴木の手首から赤い血がポタポタ滴っていた。
「鈴木!おまえっ...!」
林先生とお母さんの悲鳴が同時に聞こえた。
血のついた小さなカッターが床に転がっていて、ベッドのシーツには鮮血が落ちて染みが広がっていく。
「お、お母さん!すぐに包帯か!清潔なタオルありますか!?」
「すぐに持ってきます!」
バタバタとお母さんと林先生が部屋を飛び出した。
「それは違うだろ...」
涙で言葉がうまく出ない。
俺は赤子を抱くように優しく鈴木を抱き寄せた。
「山谷先生......」
小さい声で鈴木が呟く。
鈴木からは一番聞きたくない言葉だった。
「しにたい...」
なんでこんなことに...
縮こまってしまった背中を何度も撫でる。
すると、鈴木が小さい子供に戻ったみたいにわんわん泣き始めた。
震える肩が小さくて、涙がシャツに染みてきた。
「鈴木、大丈夫、もう泣いていいよ」
パタパタと足音が近づいてくる。
「山谷先生、私、手当て慣れてますから、少し手伝ってもらえますか?」
と落ち着かせるように言った。
頭がまだ混乱してたが、「もちろんです」と答えた。
俺が泣いてる場合じゃない。
俺がこんなんじゃダメだ!
袖で涙を拭って、気を強く持った。
お母さんが救急箱を持って戻り、「これです!」と渡す。
林先生が消毒液とガーゼを取り出し、「鈴木君、ちょっと痛いかもしれないけど我慢してね」と優しく言う。
鈴木の腕を拭くたび、「うっ…」と小さく呻き、涙が溢れる。
「鈴木、大丈夫だ。俺たちがいるからな」
肩をそっと握った。
俺が傷を消毒し、林先生が包帯を巻く。
「これで少しは楽になるよ。無理しないでね」
「裕斗…」
お母さんが涙ぐみながら鈴木の手を握る。
「ごめんなさい…」
そう呟き、俯いた。
血が止まり、大人たちに囲まれて安心したのか、鈴木がゆっくり深呼吸していた。
「いじめ?どうして、裕斗が...」
「それは...」
林先生が口篭って鈴木を見た後、俺の顔を見た。
鈴木が何か言いたくなさそうな顔をした。
俺は無い頭で必死に濁した。
「...玉井先生ご存知ですよね。鈴木が何かの拍子に転んで、それで、玉井先生に抱きついたことがあって、それを見た他の生徒が、鈴木のことをからかっていたようです...」
「そんなことが...。そのいじめていた、相手の子は?」
お母さんが心配そうに聞いて、その後ろで鈴木も心配そうな目を俺に向けていた。
「加賀山という子が特に酷くて...ちょうど、鈴木が休む前に叱ったところです。あと...、玉井先生も、今厳しく加賀山君の指導に当たってくれてます。」
鈴木の涙が再び溢れたようだった。
玉井も動いてくれていることがわかって、嬉しかったのかな。
俯いて何度も袖で涙を拭う。
「そうですか...。山谷先生には頭が下がります」
「あ、いえ...」
ふと、鈴木を見ると、手にタオルを握っていた。
そのタオルに俺は見覚えがある。
玉井の汗拭きタオルだ。
鈴木と玉井の距離がどんどん深く、親密になってる気がする。
「鈴木が学校に復帰できるように、俺たちもサポートします」
「はい、よろしくお願いします...」
このあとも少し話し合ったあと、林先生と鈴木の家を後にすることにした。
玄関に立つと、お母さんと、鈴木自身も見送りに出てくれた。
「山谷先生...」
車に乗る直前、鈴木が俺を呼んだ。
「ん?」
「また、来る...?」
俺は自然と笑顔になった。
「もちろん」
いくつかの動物のクッションがベッドに並び、それに囲まれるように鈴木が座っていた。
大きな体を小さく丸め、青白い顔で俯いてる。
「ぐすっ...」
「鈴木...」
すぐにでも抱きしめてやりたい。
でもお母さん達の目があるため、それは出来なかった。
俺はおそるおそる鈴木の側に寄り、背中をさすった。
「会いにきたよ、鈴木…大丈夫か?」
林先生もそっと近づいた。
「鈴木君、1週間も休んでて、心配してたのよ。大丈夫?」
優しい声に、鈴木が目を伏せ、「うん…」と小さく呟く。
だが、声は弱々しく、昔の元気はどこにもなかった。
「鈴木、まて、これ...!?」
そのとき、俺は信じられないものを目にした。
瞬間、背筋がゾクッと冷たくなる。
鈴木の手首から赤い血がポタポタ滴っていた。
「鈴木!おまえっ...!」
林先生とお母さんの悲鳴が同時に聞こえた。
血のついた小さなカッターが床に転がっていて、ベッドのシーツには鮮血が落ちて染みが広がっていく。
「お、お母さん!すぐに包帯か!清潔なタオルありますか!?」
「すぐに持ってきます!」
バタバタとお母さんと林先生が部屋を飛び出した。
「それは違うだろ...」
涙で言葉がうまく出ない。
俺は赤子を抱くように優しく鈴木を抱き寄せた。
「山谷先生......」
小さい声で鈴木が呟く。
鈴木からは一番聞きたくない言葉だった。
「しにたい...」
なんでこんなことに...
縮こまってしまった背中を何度も撫でる。
すると、鈴木が小さい子供に戻ったみたいにわんわん泣き始めた。
震える肩が小さくて、涙がシャツに染みてきた。
「鈴木、大丈夫、もう泣いていいよ」
パタパタと足音が近づいてくる。
「山谷先生、私、手当て慣れてますから、少し手伝ってもらえますか?」
と落ち着かせるように言った。
頭がまだ混乱してたが、「もちろんです」と答えた。
俺が泣いてる場合じゃない。
俺がこんなんじゃダメだ!
袖で涙を拭って、気を強く持った。
お母さんが救急箱を持って戻り、「これです!」と渡す。
林先生が消毒液とガーゼを取り出し、「鈴木君、ちょっと痛いかもしれないけど我慢してね」と優しく言う。
鈴木の腕を拭くたび、「うっ…」と小さく呻き、涙が溢れる。
「鈴木、大丈夫だ。俺たちがいるからな」
肩をそっと握った。
俺が傷を消毒し、林先生が包帯を巻く。
「これで少しは楽になるよ。無理しないでね」
「裕斗…」
お母さんが涙ぐみながら鈴木の手を握る。
「ごめんなさい…」
そう呟き、俯いた。
血が止まり、大人たちに囲まれて安心したのか、鈴木がゆっくり深呼吸していた。
「いじめ?どうして、裕斗が...」
「それは...」
林先生が口篭って鈴木を見た後、俺の顔を見た。
鈴木が何か言いたくなさそうな顔をした。
俺は無い頭で必死に濁した。
「...玉井先生ご存知ですよね。鈴木が何かの拍子に転んで、それで、玉井先生に抱きついたことがあって、それを見た他の生徒が、鈴木のことをからかっていたようです...」
「そんなことが...。そのいじめていた、相手の子は?」
お母さんが心配そうに聞いて、その後ろで鈴木も心配そうな目を俺に向けていた。
「加賀山という子が特に酷くて...ちょうど、鈴木が休む前に叱ったところです。あと...、玉井先生も、今厳しく加賀山君の指導に当たってくれてます。」
鈴木の涙が再び溢れたようだった。
玉井も動いてくれていることがわかって、嬉しかったのかな。
俯いて何度も袖で涙を拭う。
「そうですか...。山谷先生には頭が下がります」
「あ、いえ...」
ふと、鈴木を見ると、手にタオルを握っていた。
そのタオルに俺は見覚えがある。
玉井の汗拭きタオルだ。
鈴木と玉井の距離がどんどん深く、親密になってる気がする。
「鈴木が学校に復帰できるように、俺たちもサポートします」
「はい、よろしくお願いします...」
このあとも少し話し合ったあと、林先生と鈴木の家を後にすることにした。
玄関に立つと、お母さんと、鈴木自身も見送りに出てくれた。
「山谷先生...」
車に乗る直前、鈴木が俺を呼んだ。
「ん?」
「また、来る...?」
俺は自然と笑顔になった。
「もちろん」
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