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プロローグ 永遠の命を得た少女
01.少女と母親
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パチリ。
ふと目が覚めた、そんな朝方。
少女は寝ていたソファーの上、パチパチと目を瞬きそっと己の腹を抑えた。そうしてまさぐるように手を動かし、もう一度目を瞬いてから起き上がる。
なんだか、とっても悪い夢を見ていた気分だ。
小首を傾げて考え込む。そんな少女に、「あら、起きたの?」と声がかかった。優しいそれに振り向けば、そこには金色の髪と美しい青色の瞳を持つ女性がいる。
女性は手にした白い、陶器のカップを片手、少女の方へ。新緑色のソファーの空いた箇所に腰掛けると、「おはよう、私の子」と優しく笑った。
自然豊かな森の中。動物たちの声と近くに流れる川の音が耳に優しいそこには、一軒の小さな家がある。
誰にも見つからないようにひっそりと建てられたその家には、三人の、仲睦まじい家族が住んでいた。
一人は体の弱い成人男性。一人は龍神と崇められる美しき女性。そうして最後の一人は、二人の間に産まれた禁忌の子……。
人と龍と、その狭間の者とが住む家は、優しさに満ちた、三人にとっては、とても幸せな場所だった。
「御話の途中で寝ちゃうから驚いちゃったわ。アナタは本当によく寝る子ね」
「……」
「あら、良いのよ?寝る子は育つって言うし、存分に寝て大丈夫。なにも不安なことなんてないわ。それに、ココにいるのは私とアナタ。それにあの人だけですもの。この家の中に入れば、怖いことは何も無いわ」
女性の言葉に、何か言いたげに手を動かした少女の頭を撫で、彼女は笑った。優しさ溢れるそれに、少女は目を瞬いてからへらりと笑う。
「……さ、起きたならご飯にしましょう。お腹すいたでしょう?アナタは特に、沢山食べるからたーんと料理作らないとね」
「!」
青ざめブンブンと首を振る少女に、「あら、お腹すいてないの?」と女性。少女はその言葉に同意を示すようにコクコクと激しく頷いてみせた。女性は笑う。
「じゃあ、あの人が帰ってくるまで、御話の続きでも読みましょうか」
微笑む女性に頷く少女。どこかホッとした様子の少女に気付かぬまま、女性は立ち上がると、手にしたカップを机の上へ。コトンと起き、代わりに、その横に置かれていた本をそっと手に取る。
「じゃあ、続きからね?」
こくり。
頷く少女に、女性は笑って、栞を挟んだページを開いて見せた。
『──そして、神はヒトに恋をする。
純情なるその恋心は、熱を持って、愛しきヒトへと向けられた。
神はヒトへと愛を紡ぎ、ヒトはそれに頷き答えた。
決して入り交じることの無いふたつの種族は、そこでひとつとなったのだ。
これには多くの者が手を叩き、喜びをあらわにした。
神とヒトが手を取り合う姿は、人々に勇気と希望を与えたのだ。
神はヒトを、ヒトは神を愛し、そしてふたりの間に子が産まれる。
産まれた子は“イヴ”と名付けられ、後にその子は、神とヒトとを繋ぐ、特別な存在になるのであった』
パタン、と閉じられた本に、少女は顔を上げた。ガラスをはめ込んだような青の瞳がキラキラと輝き、少女の肩まである艶やかな黒髪がサラリと揺れる。
女性は微笑み、少女を撫でた。そして、告げる。
「アナタも、特別な存在になるのかしらね」
小首を傾げた少女に目を伏せ、女性は視線を本へ。そっとその背表紙を撫でると、悲しそうに、僅かに瞳を揺らがせた。
ふと目が覚めた、そんな朝方。
少女は寝ていたソファーの上、パチパチと目を瞬きそっと己の腹を抑えた。そうしてまさぐるように手を動かし、もう一度目を瞬いてから起き上がる。
なんだか、とっても悪い夢を見ていた気分だ。
小首を傾げて考え込む。そんな少女に、「あら、起きたの?」と声がかかった。優しいそれに振り向けば、そこには金色の髪と美しい青色の瞳を持つ女性がいる。
女性は手にした白い、陶器のカップを片手、少女の方へ。新緑色のソファーの空いた箇所に腰掛けると、「おはよう、私の子」と優しく笑った。
自然豊かな森の中。動物たちの声と近くに流れる川の音が耳に優しいそこには、一軒の小さな家がある。
誰にも見つからないようにひっそりと建てられたその家には、三人の、仲睦まじい家族が住んでいた。
一人は体の弱い成人男性。一人は龍神と崇められる美しき女性。そうして最後の一人は、二人の間に産まれた禁忌の子……。
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「……」
「あら、良いのよ?寝る子は育つって言うし、存分に寝て大丈夫。なにも不安なことなんてないわ。それに、ココにいるのは私とアナタ。それにあの人だけですもの。この家の中に入れば、怖いことは何も無いわ」
女性の言葉に、何か言いたげに手を動かした少女の頭を撫で、彼女は笑った。優しさ溢れるそれに、少女は目を瞬いてからへらりと笑う。
「……さ、起きたならご飯にしましょう。お腹すいたでしょう?アナタは特に、沢山食べるからたーんと料理作らないとね」
「!」
青ざめブンブンと首を振る少女に、「あら、お腹すいてないの?」と女性。少女はその言葉に同意を示すようにコクコクと激しく頷いてみせた。女性は笑う。
「じゃあ、あの人が帰ってくるまで、御話の続きでも読みましょうか」
微笑む女性に頷く少女。どこかホッとした様子の少女に気付かぬまま、女性は立ち上がると、手にしたカップを机の上へ。コトンと起き、代わりに、その横に置かれていた本をそっと手に取る。
「じゃあ、続きからね?」
こくり。
頷く少女に、女性は笑って、栞を挟んだページを開いて見せた。
『──そして、神はヒトに恋をする。
純情なるその恋心は、熱を持って、愛しきヒトへと向けられた。
神はヒトへと愛を紡ぎ、ヒトはそれに頷き答えた。
決して入り交じることの無いふたつの種族は、そこでひとつとなったのだ。
これには多くの者が手を叩き、喜びをあらわにした。
神とヒトが手を取り合う姿は、人々に勇気と希望を与えたのだ。
神はヒトを、ヒトは神を愛し、そしてふたりの間に子が産まれる。
産まれた子は“イヴ”と名付けられ、後にその子は、神とヒトとを繋ぐ、特別な存在になるのであった』
パタン、と閉じられた本に、少女は顔を上げた。ガラスをはめ込んだような青の瞳がキラキラと輝き、少女の肩まである艶やかな黒髪がサラリと揺れる。
女性は微笑み、少女を撫でた。そして、告げる。
「アナタも、特別な存在になるのかしらね」
小首を傾げた少女に目を伏せ、女性は視線を本へ。そっとその背表紙を撫でると、悲しそうに、僅かに瞳を揺らがせた。
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