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第三章 強さを求めて
39.食卓を囲んで
しおりを挟む「おいしー!」
真っ白な家の中、アジェラの感動したような声が響いていた。
綺麗に整頓された食卓にて、白い机の上に並べられた料理は、豪華とまではいかないものの、そこそこ良い見た目を保っていた。香ばしい香りに誘われるよう各々料理に手を伸ばせば、食べた一口目から「美味しい」の言葉が頭を占めるわけで……。
「リレイヌさまっ! これとっても美味しいですっ!」
素直に感想を伝えるアジェラに、食事を用意した張本人であるリレイヌは笑った。失敗しなくて良かったと、ホッと安堵する彼女を横、シアナが「あらほんと。美味しいわ」と和やかにスープを飲む。
「リレイヌって頭も良ければ料理も出来て、それに加えてセラフィーユの子……全く、将来有望だね」
「未来の旦那様が羨ましいですね!」
「それはそう」
アジェラの言葉に頷いたリオルが、黙々と食事をとるリックと睦月を見てニヤッと笑う。
「未来の旦那様、ね」
シアナは目を細めて、食卓を囲む子供たちを視線だけで見回した。
「……そういえば、リオルくん。『妖精の森』について、ご当主様からなにか教わったりしてるかしら?」
「ようせいのもり……?」
ごくりと口の中の物を飲み込み、リオルは考えるように上を向く。
「『妖精の森』って、確かアレですよね? 太古の昔に精霊王フェルシスにより作られたダンジョン。森には魔獣などが住み、それらはそこに居る妖精や精霊たちを守っているとか……」
「そう。それに加えて、妖精、精霊たちは警戒心がつよく滅多に人の前には姿を表さない。でも、魔導を得るためには、精霊と契約しなければならない……」
「魔導には精霊の力が必要なんですか?」
「ええ。具体的にいえば、各属性の主精霊の力が必要なの」
「主精霊……?」
アジェラが問えば、それに匙を置いたリックが答える。
「各属性の精霊の主。それが主精霊だ。例えば水のウンディーネ、火のイフリート、風のシルフに土のノーム。これらは四大精霊と呼ばれている」
「他にも光のルナや闇のシャドウ。氷のセルシウス、雷のヴォルトなどがいて、これらが加われば八大精霊なんて言われることもあるとかないとか……」
「へー」、とリレイヌとアジェラが頷いた。それに、そんなことも知らないのかと言いたげに、睦月がフンッと鼻を鳴らす。
「主精霊の知識はあって当然の常識問題。お前ら全くそんなことも知らないなんて……」
「睦月も知らなかったろ」
「うるせえ黙れ」
ケラケラ笑うリオルに、睦月はムスッとした顔で腕を組んだ。
「みんなよく勉強してて偉いわね」
にこやかに告げたシアナに、リレイヌが片手を上げた。「はい」と示された彼女は、質問よろしく口を開く。
「主精霊のことはわかったけど、それらとどうやって契約するの?」
「ええ、戦うの」
「戦う……?」
キョトンと目を瞬いた子供たちに、シアナはにこやかに笑って言い放つ。
「精霊との契約には力を示さなければならないの。つまり、戦って勝利するのが契約の必須条件」
「……俺らみたいなガキが、精霊と戦って、んでもって勝利しろって?」
「そういうこと」
ボトリと、各自が匙を取り零す。
そんな少年たちに、笑顔のシアナは「まあでも、大丈夫よ」と言ってのけた。「なにが!?」と驚くアジェラに、シアナは微笑みリレイヌを撫でる。
「試されるのは主に、この子だと思うから……」
サッと少年たちの顔から血の気が引く中、リレイヌは不思議そうに小首を傾げ、やがて「がんばる!」と無邪気に力こぶを作るのだった……。
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