死にたがりの神様へ。

ヤヤ

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第三章 強さを求めて

42.力を欲するその理由

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「では、第二の素養を持ち得ているか確かめるその前に、君たちにひとつ問いたいことがある」

 なぜ君たちは魔導という力を欲するのか。

「答えてもらえるかな?」

 問われたそれに、一番に前に出たのがリックだった。

「リピト家には頭脳はあれど力がない。この後、さらに上を目指すならば魔導という非科学的な力が必要だと、そう思った」

「なるほど。つまり、君はお家のためにここに居ると?」

「そうだ」

「ふむ……」

 考える老人。その視線に射抜かれるリックは、まるでそれが当然だとばかりに強い瞳を持って老人を見つめ返している。

「……君は家が、家族が好きなのかね?」

「え……?」

「まあ良かろう」

 目を見開くリックをよそ、老人は次に視線を睦月へ。「君はなぜ?」と問われたそれに、睦月は己を指さし軽く答える。

「そりゃもちろん興味があるから! ヒトに扱えねえもん扱うのって楽しいしな!」

「なるほどな。素直でいい事だ。では次、君は?」

「え、え!? ぼ、僕は……」

 アジェラが情けない顔で下を向く。

「ぼ、ぼくは、シェレイザ家の役に、少しでもたちたいから……な、何も出来ないままは、良くないなって、思って……!」

「はははっ、向上心があるのは良きことだ。では次、君は?」

「僕ですか?」

 問うたリオルに老人は頷く。リオルはそんな老人にニヤリと笑うと、「決まってる」と一言。腰に手を当て胸を張った。

「僕が今以上の僕でいるために、力が欲しい。そうすればきっと、守れないものもなくなってくると思いますからね」

「なるほどな。悪くない考え方だ。さて、では最後。君はなぜ魔導を求める?」

 振られた質問。突き刺さるように向けられる全ての視線。
 リレイヌはギュッと両手を握り合わせると、やがて静かに顔を上げた。透明度の高い青色の瞳が、覚悟を灯して老人へと向けられる。

「守りたい。母様を、家族を、友達を。たくさんの人たちを、守りたい。……だから強くなりたい。力が欲しい。今のままじゃいけないんだって、そう、すごく感じたから……」

「……そうか」

 いい答えだ。

 告げた老人の声に呼応するように、周囲を眩い光が覆った。その直後、パチンッ、パチンッ、と音を立てて、老人の周りに、八つの光の玉が現れる。青や赤、緑といったそれらは、少ししてから人型に。やがて八人の精霊が、その場に姿を現した。
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