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三皿目 ろくろ首の母娘と水羊羹
その9 状況視察
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「夕さりのスタッフさんも、どうぞお座りください。麦茶をどうぞ」
清美が冷えた麦茶を注いだ硝子のコップをちゃぶ台の上に並べて、にっこり笑った。
「間宮さんに、何かいい仕事はないでしょうか。気は優しいんですが、面倒くさがりだがら、仕事が続かないんですよ。こうして家でも、テレビを見るかゲームをするか寝ているかなんです」
「困った人ですね。あはは」
蘭丸が無邪気に笑っているが、菜々美は呆れて言葉が見つからない。
(清美さん、この間宮というチャラ男に騙されているんじゃ……?)
仕事もせず、結婚もしない。それでも家に上がり込んでゴロゴロしているなんて、ヒモ男としか思えなかった。
「そうだわ。夕さりさんに先ほどいただいた水羊羹を食べましょう」
清美が水羊羹を切り分け小皿に取ると、間宮はアカリは並んで座り、二人とも水羊羹を見て笑顔になる。
間宮が一番に水羊羹を頬張り、垂れ目をさらに垂れた顔で、満足そうに頷いた。
「うわぁ、ひんやりとした喉越しが最高だね。アカリちゃんも食べているかい?」
「うん、間宮さん。なめらかでつるんとして、おいしい」
水羊羹は口に入れると滑るようになめらかで、しっかりした食感とコクのある味わいが魅力だ。夕さりの水羊羹の種類は、豆の食感を楽しむ「小倉」、黒砂糖の風味を活かした「黒砂糖」があり、どれも舌の上でつるりと溶けていく口どけ感がひんやりと心地いい。
「これまでにない食感ね。ああ、いくらでも入るわ」
ぱくぱく頬張る清美も、アカリが食べている姿を見て目を細めている。
ふいに蘭丸が立ち上がった。
「すみません、ちょっとトイレをお借りします」
「ああ、どうぞ。廊下の突き当りです」
「どうも。行こう、菜々美ちゃん」
蘭丸は清美に礼を言うと、菜々美の手を引っ張り、居間を出た。
「あの……二人でトイレって……?」
蘭丸は明るく笑い、声を低める。
「ちょっとね、作戦会議。ねえ、菜々美ちゃんはアカリちゃんの様子を見て、どう思った?」
菜々美も同じくらい小さな声で返す。
「そうですね。清美さんも間宮リュウスケさんも、アカリちゃんが可愛くて仕方がないという雰囲気で、アカリちゃんものびのびしてますね」
清美もチャラ男の間宮も、アカリを虐待しているような、そんな様子は見られなかった。
何より、アカリが安心して食べ、くつろいだ表情でテレビを見ている。
「うーん、もしかすると、家じゃない場所かもしれないね。例えば、学校とか」
アカリ本人に訊いてみて、教えてくれればいいが、出会ったばかりの菜々美たちに話す可能性は少ないだろう。
「よし、思い切って、二人に聞いてみようか」
清美と間宮の可能性が低くなったので、蘭丸が二人に、アカリの傷について相談することにした。
アカリは、その場にいないほうがいいだろう。その間、菜々美がアカリを散歩に連れ出すことにする。
菜々美は、水羊羹を食べ終わり、くつろいでいるアカリに、散歩に行こうと誘った。
「この辺り、初めてなの。一緒に散歩しようよ、アカリちゃん」
「散歩? うん、いいよ、。夕さりのお姉ちゃんと一緒にお散歩、楽しみ」
「まあ、すみませんね。アカリ、外は暑いから帽子を忘れないでね」
「はあい、行ってきます」
清美が冷えた麦茶を注いだ硝子のコップをちゃぶ台の上に並べて、にっこり笑った。
「間宮さんに、何かいい仕事はないでしょうか。気は優しいんですが、面倒くさがりだがら、仕事が続かないんですよ。こうして家でも、テレビを見るかゲームをするか寝ているかなんです」
「困った人ですね。あはは」
蘭丸が無邪気に笑っているが、菜々美は呆れて言葉が見つからない。
(清美さん、この間宮というチャラ男に騙されているんじゃ……?)
仕事もせず、結婚もしない。それでも家に上がり込んでゴロゴロしているなんて、ヒモ男としか思えなかった。
「そうだわ。夕さりさんに先ほどいただいた水羊羹を食べましょう」
清美が水羊羹を切り分け小皿に取ると、間宮はアカリは並んで座り、二人とも水羊羹を見て笑顔になる。
間宮が一番に水羊羹を頬張り、垂れ目をさらに垂れた顔で、満足そうに頷いた。
「うわぁ、ひんやりとした喉越しが最高だね。アカリちゃんも食べているかい?」
「うん、間宮さん。なめらかでつるんとして、おいしい」
水羊羹は口に入れると滑るようになめらかで、しっかりした食感とコクのある味わいが魅力だ。夕さりの水羊羹の種類は、豆の食感を楽しむ「小倉」、黒砂糖の風味を活かした「黒砂糖」があり、どれも舌の上でつるりと溶けていく口どけ感がひんやりと心地いい。
「これまでにない食感ね。ああ、いくらでも入るわ」
ぱくぱく頬張る清美も、アカリが食べている姿を見て目を細めている。
ふいに蘭丸が立ち上がった。
「すみません、ちょっとトイレをお借りします」
「ああ、どうぞ。廊下の突き当りです」
「どうも。行こう、菜々美ちゃん」
蘭丸は清美に礼を言うと、菜々美の手を引っ張り、居間を出た。
「あの……二人でトイレって……?」
蘭丸は明るく笑い、声を低める。
「ちょっとね、作戦会議。ねえ、菜々美ちゃんはアカリちゃんの様子を見て、どう思った?」
菜々美も同じくらい小さな声で返す。
「そうですね。清美さんも間宮リュウスケさんも、アカリちゃんが可愛くて仕方がないという雰囲気で、アカリちゃんものびのびしてますね」
清美もチャラ男の間宮も、アカリを虐待しているような、そんな様子は見られなかった。
何より、アカリが安心して食べ、くつろいだ表情でテレビを見ている。
「うーん、もしかすると、家じゃない場所かもしれないね。例えば、学校とか」
アカリ本人に訊いてみて、教えてくれればいいが、出会ったばかりの菜々美たちに話す可能性は少ないだろう。
「よし、思い切って、二人に聞いてみようか」
清美と間宮の可能性が低くなったので、蘭丸が二人に、アカリの傷について相談することにした。
アカリは、その場にいないほうがいいだろう。その間、菜々美がアカリを散歩に連れ出すことにする。
菜々美は、水羊羹を食べ終わり、くつろいでいるアカリに、散歩に行こうと誘った。
「この辺り、初めてなの。一緒に散歩しようよ、アカリちゃん」
「散歩? うん、いいよ、。夕さりのお姉ちゃんと一緒にお散歩、楽しみ」
「まあ、すみませんね。アカリ、外は暑いから帽子を忘れないでね」
「はあい、行ってきます」
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